超特急危険区域行き
ピピッ
『Sophy-01、Comet4-6に続いて離陸せよ』
ピッ
「Yes,sir!Enjoy a comfortable air travel!!」
『Sophy-01、これは訓練だ、遊覧飛行ではないぞ』
「Of course I know! Rudder flap slats meters Everything is ok. President Tryden, I can fly!」
『こちらはComet4-6、Sophy-01準備はいいか?』
私は航空宇宙戦術魔導戦闘機『PS-01』のコックピットから、同じ空母の右斜め前で発艦準備をしている米軍の極秘試作魔導戦闘機『Pseudonym F-14M』のコックピットに居るパイロットにサムズアップを送り、準備完了を伝えた。
「Stand-by····· 『Comet4-6』、bon voyage」
『ははは、それはフランスの言葉だ、俺の母ちゃんはイタリア人だからちょっと違うぜ、まぁ行ってくるぜ、可憐な少女を案内するのがイタリアの紳士の礼儀だからな』
『Comet4-6、発艦を許可する』
そして右斜め前の、私が大好きな形状をした、推進システムが魔導式と燃料式のハイブリッドとなった型落ちのF14戦闘機の2つのジェットエンジンが輝き白紫色のショックダイヤモンドで飾られた炎を爆音とともに後方に噴出させ、空母のカタパルトによって一瞬で時速300km近くまで加速すると空へと飛び立っていった。
『Sophy-01、発艦を許可する、Comet4-6の後についていけ』
「Roger」
『Good Luck』
キュィィィィイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイイインッッッ!!!!
ギュォアンッ!!
発艦許可が出た私は、米軍が絶賛開発中で完成を目指している魔導戦闘機の完成形である『PS-01』の魔導式エンジン及び重力制御ユニット及び魔導力加速推進システムのスロットルを上昇させ、機体後方に紫焔と何十にも重なる白い光環を出現させた。
『Ready····· GO!』
次の瞬間、カタパルトが動いた。
ズゴォォォォオオオオオッ!!
ギュォオンッ!!
「Take off!! Game of tag Start!!I am "it"!!!」
そして、太平洋上で世界初となる2機の魔導戦闘機の飛行実験が開始された。
◇
高度1600m、眼下には広大な海と米軍の空母艦隊が浮かび、様々な計器でこちらを観測してデータを集積しているのが見て取れた。
『その機体、本当にキミの手作りなのかい?それにしてはよく出来ている、·····だが本当に超極音速飛行が可能なのか?専門家は絶対に不可能だと喚いているが』
「んっふっふ、魔法があればなんでも出来ちゃうんですよ」
今の無線は大統領からで、どうやら米軍の関係者の皆さんも私が作った試験用の機体では無い本物の魔導戦闘機に興味津々らしい。
ちなみに前に説明したけど、この機体は超極音速域に達すると魔導的に形状が変化してノーズコーンが長く鋭くなり、エンジン内部の形状も変化する事でスクラムジェット方式になる、まさに『魔導戦闘機』に相応しい代物となっている。
それに加え、何度も飛行テストをした結果ブラッシュアップを加えてて、材質を大気圏内の極音速飛行に耐えられるよう耐熱性が最も高く排熱効率が極めて高い『ヒヒイロカネγ』に変更し、大気圏突入にさえ耐えられる構造にしたりしている。
私の戦闘機は日々進化するのよ!
『それにしても、君、本当に一般人なのか?元退役軍人か前世は伝説の飛行機乗りとかだったんじゃないのか?一応俺もアメリカ海軍戦闘機兵器学校出身で戦闘機には乗れるが、その操縦テクニックは口を開けば説教しか出ない教官から賞賛の言葉が出るレベルだぞ?』
「あー、あはは····· 前世は普通のブラック企業のサラリーマンですよ·····」
『本当か?本当はどこかの秘密組織のスパイなんかじゃないのかい?』
「それトム・ク〇ーズじゃないですかヤダー」
『おっと失礼、そうだ君の斜め前に居る彼のあだ名はトミー・クルーザーだ、趣味がクルージングだからな、それに操縦が慎重すぎてクルージングしてるみたいだからそう呼んでるんだそうだ、だからこそ光栄にも貴重な試験機のパイロットに選ばれたのさ、なぁクルーザー君』
『お褒めに預かり光栄です、大統領』
·····で、大統領が仄めかすくらいでだけど言ってる通りこのフライトの目的はドッグファイトではなくテスト飛行だ。
私がプレゼントした魔石や魔法の金属、そして異世界の魔法の使い方を記したデータを解析して、丁度良く退役し戦闘機の墓場行きになっていたF-14戦闘機を好き放題に改造して、魔導カスタムを施した『F-14M』を完成させ、魔導式の飛行が可能かの実証実験を行う事になったのだ。
そんで戦闘機への改造が完了し、前に戦闘機とか攻撃機とか爆撃機が好きって言ってたのを覚えてくれてて私をテストに招待してくれたのだ。
私はそのお礼に、私が開発した魔導戦闘機を持って来てみたところ、同時に飛行することになったのだ。
ちなみにテスト前に方式を聞いたりしたんだけど、完全魔導式ではなく風魔法と炎魔法を利用した物理式エンジンの燃焼効率を向上させる試験らしくて、他にも重力魔法による姿勢制御システムのテスト、新型の攻撃システムの試験なんかも兼ねてるんだとか。
まぁたぶん技術不足で完全魔導化はまだ厳しかったから、とりあえず理論上で飛べるギリまでエンジン機能を魔法に置き換えて飛ばしてデータを集めるつもりなのだろう。
『Comet4-6、性能はどうだ』
『良好、訓練で乗ってたF-14と大差ありません、最高の乗り心地です』
『そうか、Sophy-01、Comet4-6で何か気になった事はないか?』
「んー、左右で魔力の出力に差がありますね、現状では問題ないと思いますが、超音速にまで加速したり魔導力だけで推進すると異常が発生すると思います、見た所右エンジンの魔法の出力が弱いので、そのままだとまっすぐ飛んでても若干右に曲がると思います」
『なるほど、観測班はどうだ?·····よくやったSophy-01、こちらでは観測できていなかった貴重なデータだ、有益に使わせてもらうぞ』
「イェッサー」
·····でも完成と言ってもまだ試作機に未知の技術である魔導ハイブリッドジェットエンジンを搭載しただけなので、左右の出力に若干の差があった。
現在は両方ともエンジン出力は80%に絞ってそれを魔法の力で強化して稼働させているようだけど、右エンジンの魔力-魔法変換効率が1%くらい悪いせいで左右の出力に差が出てしまっていた。
まぁ両方をピッタリにそろえるのは難しいから仕方ないとは思うけど、この誤差は流石に実戦導入するには見過ごせないレベルだ。
ただ、初の実証実験でほぼ完璧に元の推力を再現できてるのは流石は米軍の技術力と言ったところかな。
これならあっという間に完全魔導化も、反重力推進も出来ちゃうかもしれない。
『Comet4-6、運動性能のテストを行ってくれ、軽くでいい、F14と同じデータが取れたら十分だからな』
『了解』
「私は?」
『離れておいてくれ、こちらが指示を出すまで快適な空の旅を楽しんでくれ、ではComet4-6、テストを始めてくれ』
まぁ実験飛行には問題ないだろうし、ついでに邪魔だからあっち行ってろと言われてしまったので暇つぶしすることにした。
◇
試作魔導戦闘機F-14Mが飛行を行っている空域から離れた私は、洋上でトンボのように好き勝手に飛び回っていた。
·····そう、蜻蛉のように。
「急制動ッ!!」
ギュォォォオオッ
ズガンッ!!!
私は完全魔導式のエンジンを使ってマッハ1.2程度で飛行していたが、魔法の力で制動距離1mで時速0kmまで減速し、垂直に落下すると思いきや落下しながら方向を180度転換して海面すれすれを瞬間的に音速まで加速し、海面を爆散させながら飛行を再開した。
『·····Holy shit』
「まだまだぁ!!」
ギュオンッ!!
そして空母と空母の間に音速で突っ込むと、突如方向を90度真上に変えてロケットのように空へと飛んで行った。
普通なら暴風が吹き荒れて艦が揺れるだろうけど、この戦闘機は周囲の大気を魔法で制御しているため人の1m上を飛んでも風が来ないから安心して飛んでいられるのだ。
「よっと、上空5000m到達、絶音速飛行開始っ!!」
そんで今度はエンジン2つをスクラムジェットエンジンに切り替え、更に中央のロケットエンジンを起動し、魔力光環現象による魔法の強制加速システムを用いた絶音速飛行を開始した。
ギュァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!
『おいおい、時速何マイル出てるんだアレは』
『ちょっと待ってください····· f○ck、この観測機器では計測しきれないです』
「いまマッハ15、20、30····· このくらいですね、まだまだいけますよ!!」
『どうなってるんだそれは·····』
「魔法の力ですよー」
『·····我々の魔導戦闘機もいつかあのレベルまで辿りつけるのだろうか』
『無理です、あんなの作らされたら死にます』
「まぁ程々にやれば十分使えると思いますよー?」
そう言いながら私はマッハ50で上空を旋回し、一気に速度を落とすと秒速だいたい9.8m/sで海面に墜落していった。
ドッパァァァァアアアアアアンッ!!!
『おい墜落したぞ!?』
『救護隊急げ!』
「大丈夫でーす、これ水陸海空宇宙地中異次元兼用の汎用戦闘機型万能乗物なんでー」
ザッバァァァアアンッ
そして私の乗った魔導戦闘機は海中から垂直離着陸のように水平を保ったまま出てきて、魔法の力で空中でピッタリと静止した。
『·····頼む、本命の測定がそれどころじゃなくなるから艦の上で休んでてくれ、Sophy-01、着艦を許可する』
「はぁい·····」
でも流石に好き勝手やり過ぎたのか実験の指揮をしていた軍の偉い人に怒られてしまい、私はアレスティング・ワイヤーを使わないで自転車くらいの速度でゆっくりと空母に着艦したのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「いやーやっぱり空を飛ぶの楽しいよねぇ!このあと戦闘のテストもやるみたいだし、しかも参加させてくれるみたいだしめっちゃ楽しみ!!」




