副町長秘書代理のソフィさんっ!
私の18歳の誕生日まで残り3日となったとある日の事。
私は実家の仕事の手伝い、つまりは町政の手伝いをしていた。
「·····にしても、ソフィが手伝ってくれるなんて珍しいな、あんまりこういうデスク仕事はやらないのにな」
「まぁ今日はエビちゃんが居ないし、理由が理由だからさ·····」
「誕生日パーティーの準備をしてるんだったか····· お前ら相変わらず仲が良いよなぁ、これからも友達のことを大事にしてあげろよ?」
「わかってるって、私たちはなかよし組だから大丈夫だよ、もうずっと一緒に居るから家族みたいなもんだし」
ぶっちゃけ言うと私はデスク仕事は苦手で、外で何かやったりする方が好きで手伝う時も基本的に外でやる仕事が多かった。
でも今日に関しては珍しくデスクでの仕事をやらざるを得なくて、ちょっと気合いを入れてきた。
今の私の格好はカジュアルな仕事着みたいな感じのシャキッとしてる服を身にまとい、ちょいと伸び気味だった髪を後ろで束ねてポニーテールにして、オシャレなアンダーリムのメガネを掛けてうっすらメイクをした、事務員さんとか秘書さんっぽい感じにしてみた。
·····まぁ私は町長の娘だから私服でもOKだったんだけど、どうせならお洒落したかったし、私は形から入るタイプだから着替えちゃったのよね。
ちなみにスーツを着るとブラック企業時代がフラッシュバックして発作を起こして倒れる。
んで私が手伝ってる理由は、いつもは仕事をやってるお兄ちゃんとエビちゃんが私の誕生日パーティーの準備をするために仕事を休んでしまい、私たちの誕生日パーティーではいつも祝われる側が追い出されてしまって暇なのでこうして手伝いにきたのだ。
「·····あんまりこうして一緒に仕事することは無かったですけど、ソフィちゃんって意外と仕事できるんですね」
「まぁ、そりゃ····· うん、慣れてるんで」
だって私、転生前は主にオフィスで働いてたサラリーマンだったし。
こう見えても一応結構ちゃんと仕事ができて優秀だったんだよ?
だからこういう仕事もよくやってたしプログラムも営業も謝罪も土下座も飲み会も飲み会の幹事も残業も残業も残業もあはははははははははははは
「ソフィ、ピセットと一緒に少し休んできなさい、目がヤバいぞ」
「えっ?あっはーい、ちょっと休憩して来まーす」
「私もですか?確かに少し疲れたので休ませてもらいますね」
そしてまたトラウマがぶり返した私は、お父さんに言われて少しだけ休みを取る事にしたのだった。
◇
今日の休憩場所は、町役場の2階にあるちょっとしたバルコニーだ。
元々は伝書鳩とかを受け取る場所だったらしいけど、今ではあまり使われていないため専ら職員の休憩所となっているエリアだ。
·····ちなみに伝書鳩が廃れた理由だけど、ほぼ全部ドラゴンとか魔物に喰われて届かなかったかららしい、今は生き残った5羽の鳩がバルコニーの鳩小屋の中でのびのびと暮らしている事でその名残を見る事ができる。
「はふぅ····· お茶が美味しい·····」
「まさかソフィちゃんが外回りだけじゃなくてデスク仕事もできるなんて思ってもなかったですよ、本当に優秀だね」
「ピセット姉さん、それってお世辞?」
「本心ですよ、母親が違くても君は可愛い妹だからね」
そして一緒に仕事をしてて今も一緒に休憩しているこの女性の正体は、私の異母姉妹のピセット姉さんだ。
見た目は私とちょっと似ていて、特に髪の質が私そっくりなクセッ毛ではねやすい髪みたいで、ルーベさん寄りの綺麗なブロンドの長髪なんだけど、所々爆発して跳ねている髪をしている。
瞳の色は薄いブルーで目元が母親そっくりなんだけど、お父さんの血が入ってるからなのかどっか私と似ていた。
そしてシュテイン侯爵家の貧乳の呪いが掛かってないからなのか胸は結構大きくて、高身長でキリッとした中々な美人さんだ。
·····乳に関してはお父さん側の遺伝子受け継ぎたかったなぁ、チチだけに。
っとと話が逸れた。
ちなみに彼女も私と同じで普段は受け付けとかの仕事をしてるんだけどお兄ちゃんが抜けた穴を埋めるために私と一緒に事務仕事をしていた。
·····んで実は、私にはお兄ちゃんとイデアの他にもう一人だけ兄妹が居て、それこそがルーベさんの娘のピセット姉さんなのだ。
ピセット姉さんはお兄ちゃんと同い年で3日違いで後に産まれた、シュテイン家の次女なのだ。
·····でもピセット姉さんはお父さんがヤンチャだった頃にルーベさんと不倫して産まれた子供なのよね。
で、よりにもよって危険日にゴニョゴニョ·····している所でお母さんに現場を抑えられて不倫が発覚、シュテイン侯爵家の娘であるお母さん経由で本家にも不倫がバレて、許す条件でお母さんともゴニョゴニョしてお兄ちゃんを授かったらしい。
·····それでもお父さんはおじいちゃんにブチ殺されかけたり、ルーベさんはクビの危機になったりで結構な大騒動の末に産まれたという出自故に、最近まで私にもその存在を教えてもらえなくて秘密にされていた人物だ。
まぁ一応ルーベさんに娘が居るっていう噂はしってたけど、その父親がお父さんだと知ったのは数年前だしそこら辺の事情を聞かされて口をふさがれていたんだよね。
で、なんでようやく登場かっていうとお兄ちゃんが副町長になって仕事にも慣れてきたし、あれから20年近く経ったからそろそろ良いでしょってなったからだ。
あっ、でもこれあんまり口外しないでね?
今でもウチでは割とタブーな感じだからこの件って。
「そういえば、普段働いてる時のエビちゃんってどんな感じなんです?お兄ちゃんに聞いても答えてくれなくって·····」
「エヴィリンちゃんですよね?凄く真面目に働いていますよ、ソフィちゃんといつもケンカしてると聞いて信じられないくらい静かで大人しい子ですよ」
「へぇ、意外とちゃんと仕事してるんだ·····」
そんで私は普段あんまり会話ができないピセット姉さんと雑談をしていた。
ついでに絶対に話してくれない仕事中のエビちゃんの様子も聞いちゃったけど、意外と普通らしい。
「そういえば、今年も聖女見習い様を受け入れるんだってね」
「あーさっき受け入れの申請書がナンチャラって言ってたような·····」
「聖女様かぁ、私も出自が違えば目指したかったなぁ·····」
「今からでも遅くないと思いますよ?」
「私はもう21ですし、能力も高くないので諦めてるんでいいですよ、この町で静かに暮らせたらそれで充分です」
そして話題は仕事の話に移って、そっからまた別の話に変わった。
一から解説すると、サークレット王国の聖地にある聖女様を育成する学校では一定の年齢になった生徒を町の教会に派遣して実習をさせるという制度があって、このフシ町では毎年····· ここ3年は毎年だけど、時々聖女学校に通う見習い聖女様を私たちが結婚式を挙げたフシ町の教会に受け入れているのだ。
そんでいくら優秀な子供しか入れない聖女学校とはいえ、子供な事に変わりはないのでやってきた聖女ちゃん達はわたわたしたり緊張してたりして、見ていて凄く微笑ましくて時々見に行ってしまうような可愛らしさがある。
·····で、実はピセット姉さんには聖女の才能があった。
まぁ聖女の才能というか治癒魔法が使えて珍しい聖属性魔力に適性があって、包丁で指を切るくらいの怪我だったら魔法で治せるし、ちょっとした悪霊くらいなら祓える才能があるだけなんだけどね。
でも不倫相手の子という事もあって聖女学校には行かせてもらえなかったみたいだ。
まぁ聖属性はちょっと使えるくらいだから、あの問題児3人組が居る聖地の聖女学校には通えていなかったと思うけど、やっぱり憧れはあるみたいで、年末の教会のイベントの手伝いをしたり聖歌隊に参加したりはしている。
·····ちなみに、私の結婚式の時も聖歌隊で参加してたりする。
だからまだ諦めきれていないところがあるんだろう。
「聖女様かぁ····· 私は嫌かなぁ、自由じゃなさそうだし」
「そういえばソフィちゃんは自由が好きだったね、冒険者とかも自由で楽しい?」
「楽しいですけど、命を奪う仕事なんで辛い所もありますね、魔物の死に際でも結構心に来ますよ?」
「そうですか·····」
「それに自由って感じられてるのは私が雑にしかやってないからですし·····」
冒険者は本来は魔物の命を奪い、時に自身の命を奪われ、そして町の人々の命を守る仕事だ。
雑用依頼もあるけど、基本的には危険な魔物を殺して町の平和を守るのが冒険者の役割で、依頼とか徴収とかで意外と自由な仕事ではない。
特に冒険者登録したてのランクなんかはそれだけで稼ぐのは難しくて、護衛とか色々な仕事をやってやっと食い扶持を稼げるような仕事だ。
自由って言われてるのは、自由に町の外に出れている様子から言われているだけだろう。
冒険者は死と隣り合わせの仕事だから、意外と街中でできる仕事の方がいいという冒険者も居るくらい大変だ。
「だから見かけによらず聖女様の仕事も意外と大変かもですよ?」
「そう言われると町政の仕事も悪くないと思えますね、それじゃあ戻りますか」
「はぁい」
って雑談してたら気分転換にもなったし、結構休んだので私たちは仕事に戻って行ったのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「まっさかピセット姉さんが出る日が来るなんてねぇ····· ビックリだわぁ」
名前:ピセット
ひと言コメント
「えっ、ひと言コメントですか?何をすればいんでしょう?ソフィちゃん、ちょっといきなりだとわからないですよ?·····適当に何か言えばいいんですか?ええと、よろしくお願いしますね····· でいいでしょうか?」




