走って飛んでキノコの森の中っ!
「ひゃっほーいっ!!」
ビュンッ!ギュオッ!!
キィィィィイイイイイイインッ!!!
「ねぇエビちゃん、あれ本当に僕の妻のソフィちゃんだよね?この前まで何やっても何処かに叩き付けられてた気がするんだけど·····」
「知らんのじゃ!それより!もっと強く引っ張るのじゃぁぁああいてててって!!強すぎる、強すぎるのじゃあっ!!」
ここはマグウェル街の西側に存在する山脈を超えた先にある、キノコ神拳の道場がある迷いの森と呼ばれるエリアだ。
その鬱蒼とした森の中で、何人かの少年少女の声が響き渡っていた。
そんな中で一番の歓声をあげているのは、なんとつい先日まで箒に乗る事さえ覚束なかったこの小説の天才的でプリチーで美人で良妻賢母で可愛いソフィ・シュテインだった。
彼女は乗るのが難しいと言われている山間用の箒を乗りこなし、木々の間を縫うように高速で移動していた。
流石に連続してカーブするため速度はそこまで出ておらず最高でも時速80kmで、最高速度の時速170kmの半分程度であるが、それでも森の中を飛ぶには物凄い速度でマウンテンブルームのプロ選手でもなければ不可能な速度である。
「よいしょーっ!ありゃ?エビちゃんどうしたの?」
「木に突っ込んじゃって角が抜けなくなっちゃったんだって、結構しっかり刺さってて抜けないんだけど、ソフィちゃんも手伝ってくれない?」
「エビちゃんって箒乗るの上手だった気がするんだけど·····」
「デッキブラシを使ったワシがアホじゃった、次からは魔導バイクを使うのじゃ·····」
·····そう、普通なら箒の練習をしはじめて1週間程度だとこうなるはずなのに、私はビュンビュンと乗りこなせていたのだ。
まぁエビちゃんは操作性が最悪でFPSがクソ低いバイクレースゲームをやらされているような感覚に陥る、デッキブラシをつかってたせいなんだろうけど。
それはそうとして、エビちゃんの角を引っこ抜こう。
「そんじゃ失礼して·····」
「いっててててて!痛いのじゃ!無理やりやると折れる!折れるのじゃ!」
「アンチマテリアルライフルが直撃しても折れないんだから大丈夫だって、ふんっ!!」
ボキィッ!!
「「「あっ·····」」」
折れた。
·····木が。
「ま、まぁ、抜け出せられたから良かったじゃん」
「うむ、じゃがもう少し丁寧に扱うのじゃ!うぅ付け根が痛いのじゃ·····」
「·····ソフィちゃん、避けないの?」
「えっ?ぎゃんっ!!!」
\ゴスッ!!!/
そして折れた木が私の頭を直撃し、私は地面に墜落していったのだった。
◇
「あいててて····· マッチョマッシュたちありがと、助かったよ」
『Muuuuusshhhhh!!!』
『『Muscle!!!!』』
だが地面に叩き付けられた私は完全に無傷だった。
なにせ地面には私の弟子であるマッチョマッシュたちが集まっていて、私を受け止めてくれたからだ。
「流石はマッスルマッシュの『ホワイトソード』さん、見事な指揮だったよ、ありがとね」
『Atta!!MUsh!!』
そして実はマッチョマッシュから進化して新たなマッスルマッシュが産まれていた。
名前は私が付けたホワイトソードで、かつて私が倒した『ノーススター』さんとは同じ菌輪出身のキノコでキノコ神拳を究極奥義まで使えるかなりな才能があるキノコだ。
かつてはリリアに喰われて敗れ、いつか復讐すると誓って兄のようなキノコになるとキノコ出汁が滲むようなトレーニングを続け、ついに進化するに至った最強のキノコ、それこそがこのホワイトソードさんだ。
ちなみに名前は私が名付けるときにキノコの入ったホワイトソース煮込みと食べたかったけど、露骨なのは嫌だったからソースをソードにしたのが名前の由来だ。
剣と白ではない。
「そんじゃもう一回行ってくるね!助けてくれてありがと!」
『『Musscluuoommmm!!!』』
キノコたちに支えられて立ち上がった私は、再び箒に乗って空へと飛んで行ったのだった。
◇
上空に戻ってくると、魔導バイクに乗り換えたエビちゃんと初心者用で私が実験的に改造を施した杖に乗っているフィーロ君が私の事を待っていた。
「おまたせー、いやぁビックリしたわぁ·····」
「キノコさん達が受け止めてくれたんだよね?でも怪我は無い?」
「どうせ大丈夫じゃろ、それよりもほれ、アルムがなんか言っておるのじゃ」
「ん?アルムちゃーん!どうしたのー!?」
『ソフィちゃーんっ!!タマヤンさん見なかったー!?』
「見てなーい!!」
そんで戻ってくるとすぐにエビちゃんからアルムちゃんが何か私を呼んでると伝えられた。
そしてアルムちゃんに話を聞くと、どうやら一緒にキノコ狩りに来ていた従業員のタマヤンさんが行方不明になってしまったようだ。
ちなみにアルムちゃんとホンタさんとタマヤンさんとウナちゃんはこの山にキノコ狩りにやって来てて、さっきからぽんぽんと籠の中にキノコを入れていた。
もちろん売るために集めているらしい。
そうそう、この山はキノコ神拳の道場があるからキノコがほぼ一年中物凄い量生えていて、ベニテングダケやカエンタケやスパーッツァといった毒キノコから、マツタケやトリュフやポルチーニと言った高級キノコ、マッチョマッシュやポイゾネスファンガスとかマッシュ・ノ・ブナガーといったキノコの魔物まで沢山ある面白い山だ。
物理的要因ではなく魔法的な要因で沢山生えているらしい。
そして4人はキノコ神拳の道場に所属するマッチョマッシュたちに案内されながら山でキノコを採っていたのだ。
でもタマヤンさんが行方不明になってしまったらしい。
『探してー!!』
「はいよー!!んじゃちょっと探してくるわ」
「いってらっしゃいソフィちゃん」
「ワシも行くのじゃ、魔導バイクじゃったらお主の箒に負けんのじゃ」
「おっいいね!どっちが先に見つけるかレースしようよ!」
「うむ!面白そうじゃな!では行くのじゃ!」
「あっちょ!フライングずるい!!フィーロ君はアルムちゃん辺りからあんまり離れないでね!じゃーいってくるー!!」
って訳で、私とエビちゃんは行方不明のタマヤンさんを探すついでに、森の中でレースを始めたのだった。
◇
ヒュンッ
ヒュンッ
ビュオッ
「そこだっ!」
「危ないのじゃ!ええい!喰らえ!」
ギュオアッ!
「どっひゃぁぁああああっ!!?」
·····で、なんでか知らないけど私とエビちゃんはスター〇ォーズのあのシーンみたいに森の中を飛び回って魔法を撃ちあっていた。
当然もうタマヤンさんを探す事なんて完璧に忘れ、お互いに魔法を撃ちあって戦っていた。
そして私たちが夢中になっちゃうことからわかると思うけど、これめっちゃ楽しいのよね。
帰ったら庭に箒バトル用のフィールドでも作ろうかなって思っちゃったレベルだ。
「エビちゃん!これさ!市街地でやっても絶対面白いよね!」
「うむ!フシ町とかマグウェル街みたいなのも良いが、日本みたいな、東京みたいな都市でも面白そうなのじゃ!!」
「いいねそれ!専用の町でも魔法で作ってみるよ!!」
「頼むのじゃ!ついでに死ねっ!」
「そっちこそ堕ちろっ!!」
ズドンッ!
ギュアッ!
私たちは接近してつばぜり合いするように飛びながら話をしていたが、木に遮られて二手に分かれると再び攻撃を開始した。
「やっぱ楽しいねコレ!よっし!本気だすよ!」
「ワシもギアを1段あげるのじゃ!付いてこいソフィ!」
「·····ってアホかぁ!!ウチを探しにきたんやろがいっ!!」
\バキャアッ!!!/
「いでっ!」
「ふべっ!」
·····が、探しにきていたはずのタマヤンさんに2人ともコメリカ流のツッコミを入れられ、共に撃墜したのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「ねっ?言ったでしょ?私って修得したら上達するのは早いってさ!んっふふ·····私の箒操作テクニックはもう達人並だよっ!!」
名前:エビちゃん
ひと言コメント
「これヤッバイくらい楽しいのじゃ、めっちゃ流行りそうなのじゃ!」
名前:タマヤン
ひと言コメント
「何してるんやこの2人·····」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「魔法の箒って木の高い所にあるキノコも取りやすくて意外と便利なんだよね」
名前:アルム
ひと言コメント
「そうそれ!そのキノコ!いやぁワタシ木登りできなくてさ····· おっぱいが邪魔で木に貼り付けないんだよね!」
名前:ホンタ
ひと言コメント
「あっそれアタシも分るわぁ、せやからタヌキの体やないと昇れんのよね~」




