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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第六章 TS賢者は母になるっ!
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運んで運んで便乗して



 季節も夏の下旬になった頃、私は予定や仕事が立て続けにやってきて忙しくなっていた。


 ぶっちゃけ言ってやりたくない。

 だって最近フェニカがつかまり立ちできるようになって激烈に可愛いし、フロウに至っては捕まり歩きまでし始めて、男の子二人組もだんだん成長してきて動けるようになってきて、みんなメロメロ状態が加速してるんだもん。


 もう可愛すぎて時を忘れちゃうよね!·····まぁそのツケが来たんだけど。



「さてと、お待たせしました、では此方へ·····」


「ソフィ様、ありがとうございます」

「行ってくるね!ソフィちゃん!」

「ウナ、キルンに着いたら口調を戻すよう気を付けなさい」

「あなた、今くらいちょっといいと思うわ、大目に見てあげなさい?」



 連続お使いクエストの最初の依頼は、ウナちゃん一家のお出かけのサポートだ。


 ·····ウナちゃん一家というか、次期国王と妃と娘とその婿と孫を連れて婿の実家に挨拶に行く手伝いなんだけどね。


 ちなみに移動方法は案の定私の転移魔法だ。


 もう転移タクシー業が板に付いてきたような気がするし、王族の皆様も私の事を便利な馬車か何かだと思ってそうな所はあるけど、報酬が美味しい····· マジで美味しいお金で買えないような物を頂けるのでつい受けてしまうのだ。


 今日の報酬はお金と王都にある貴族王族御用達のレストランの最高級コースなどにしかついてこない幻のスイーツ『サン・ヴェッタ』という物を頂ける予定となっている。


 うん、もう受けるしかないよね。


 ちなみにサン・ヴェッタっていうお菓子がどんなものかは私は全く知らない、ただ噂には聞いてるしそれっぽい偽物も出回ってるらしいんだけど、本物は群を抜いて美味しいらしくて是非食べてみたい一品だ。



「それではご案内いたします、離れないよう気を付けてください」


「わかりました、ではよろしくお願いいたします」

「よろしくー!·····おほん、えーと、よろしくお願いいたします、ソフィ様」

「·····よく切り替えられるよな」

「私に似て得意なのでしょう、ではお願いいたします」


「承知しました、では3秒前、2、1····· 転移っ!」



\シュンッ/



 私は流石に王族相手なので悪ふざけする事もなく、イルミア君の故郷のキルン町を目指して転移していった。





\シュンッ!/


「到着いたしまし····· あれ居ない?」


「ようこそいらっしゃいました、王太子殿下····· おや?」

「久しいな、ブライト····· ん?後ろか」


「あっ、やべ、ちょい失礼いたしましますたー·····」



 転移先のキルン侯爵家の屋敷に到着すると、私たちは壁を向いていた。


 ·····転移するときの方向間違えちゃった☆


 やっべぇ····· 貴族サマにケツ向けちゃったよ·····

 これはお尻が4つに割れるだけじゃすまないかもしれない·····



 とりあえずお尻を向けるのも悪いので振り返ると、うん、私の目の前に結婚式の時に見たイルミア君のご両親が居た。

 そして私とご両親方の間には誰も居ない。


 そう、私が先頭なのだ。


 ·····そりゃそっか、一番後ろに来たつもりだったけどそのまま向きを反転したら私が先頭になるにきまってるよね。



 よし、逃げよう。



「·····不手際はございましたが、Sランク冒険者の『賢者姫』がインディ・クリス・ラ・サークレット殿下及びそのご家族をお連れいたしました、では私はこれで·····」


「ソフィ様、少々よろしいでしょうか?貴女様の噂はこのキルン町にも届いております、ぜひこの後の茶会で『血塗れの賢者姫(ブラッディ・ソフィ)』の武勇伝をお聞かせ願えないでしょうか?」


「嫌ッ····· その、私はこれから別の依頼があります故、失礼するでござるまするで候でござる·····」



 私はイルミア君のお母様の口から『血塗れの賢者姫(ブラッディ・ソフィ)』のウワサがここまで届いてるとは思っておらず滅茶苦茶に取り乱してしまった。


 だってこの名前カッコイイけど中二病臭いし何より物騒だから恥ずかしいのよ·····



「ソフィ殿はこの後も依頼があるようだ、それに話題も積もる話も沢山ある、ソフィ殿はこのまま仕事に行かせてやってくれないだろうか?」


「そうでしたか、これは失礼いたしました、ではソフィ様を外までご案内してあげてください」


「承知いたしました、ではソフィ様此方へ」


「了解です、ではまた」



 そんでお茶会に参加させられそうになったけど、実は事前にウナちゃんのお父さんにはキルン町で用事があると伝えてあったから、彼から事情を説明してもらった事で私はすんなりと屋敷の外へ出ることに成功したのだった。





 一つ目の依頼を終わらせた私がやってきたのは、港町であるキルン町の巨大な船着き場だった。



「えーと····· おっ!アレかな?おーい!えーっと、アロエさーん!」


『俺はアロイだ!!』


「そうそうアロイさん、ゴルド商店のゴルドさんからの依頼で助けにきましたよ!」


「おお!本当か!助かった·····」



 そして二つ目の依頼で、この町に来たもう一つの理由がコレだ。


 実はアルムちゃんの実家のお店であるゴルド商店が契約している船が台風に巻き込まれ、運の悪い事に航行用の魔道具が故障してしまい、暴風雨の中でも無理やりキルン町付近までやってきて停泊していたようだ。


 そして止まっていて動けないという連絡を受けたアルムちゃんの父親のゴルドさんがアルムちゃん経由で私にヘルプを求めてきて、こうして帰るついでに助けに来たという訳だ。



「んじゃ早速魔道具直しちゃいましょうか?それともソフィ()()の快速便を使ってみます?」


「コウクウ?何かわからないが、頼んでもいいか?もう20日以上ここにとどまっているんだ、納期もこれ以上延期になるのは厳しいからな·····」


「大丈夫ですよ!ちなみに事前に通達したとおりにしてくれてます?」


「あぁ、もう出港の準備はできているが·····」


「そんならオッケーです!んじゃのせてください!」


「わかった、じゃあついて来てくれ」


「はぁい」



 そして私は立派な木造船に乗り込み、なんやかんやあったけどキルン港を出港したのだった。





 港を出港してから約1時間後。


 私はのんびりと若干荒れている海の上に浮かぶ船の上で航海を楽しんでいた。

 ちなみに動力となる魔道具はとっくに直していて、今は試運転も兼ねて魔道具を使って航行中だ。


 どうやら仕組みは『ウォーターストリーム』という激しい水流を発生させる魔道具を使い、それをミスリル製の筒の中で発生させて加速する仕組みらしい。

 そのおかげで船は帆船何かと比べるとずっと早いしパワーもありそうだった。



「·····さてと、この辺りでいいかな?」


「結構沖まで出てきたが····· 本当に大丈夫なのか?本来の航路からだいぶ離れてしまったが」


「大丈夫ですよ、あーでも、これから見る物はヒミツですし基本今回限りなので仲間とかに広めないでくださいね?」


「あぁ、わかった」



 でも、たとえ直って更にちょっくら改善して出力が上昇した魔道具でもこのままだと目的地であるルーラル港まで1ヶ月以上かかってしまう。


 当然これから1ヶ月以上のクルージングを楽しむわけにはいかないし、お仕事も立て込んでるからさっさと帰ろうと思う。



「おほん·····『アテンションプリーズ、えー、Sランク冒険者ソフィ・シュテインより船長に変わって最終通達です、当機はまもなくルーラル港に向けてのフライトを開始いたします、甲板上に居る乗組員の皆様は周囲の物に捕まるか、なるべく船内に退避してください、それと荷物の固定も最終確認してください、ではよきフライトを』」



 私が魔法を使ってそう通達すると船員たちが慌ただしく動き始め、そして船員の大半は甲板から船内へと姿を消した。

 残っているのは物好きな野郎共が数名くらいだ。



 そして数分待ち·····



 私は準備が完了したのを確認し、いよいよ出番がやってきた。



「では船長、行きますよ?」


「大丈夫だが、船は壊してくれるなよ?」


「大丈夫ですよ!よし····· 宇宙戦艦『Gnade』降下開始、偽装結界解除」



 バリィンッ!!


 グォォォォオオオオオオオオオオンッ·····



「なっ!?なんだアレ!?」

「デカい!?」

「竜か!?」

「に、逃げるぞ!」



 次の瞬間、青空にしか見えなかった空が砕けたガラスのように割れ、結界を突き破って途方もない大きさの勇魚のような宇宙戦艦が降下してきた。


 あまりにも巨大すぎる船が降下する様子は、まるで天が落ちてきているように見えた。



「懸垂魔導線接続開始」



 キュンッ!

 カシュンッ!!


 ッッピィンッ!!


「なんだ!?」

「攻撃された!?」



 そして宇宙戦艦から光線のようなモノが放たれ、船体の前後左右の4か所に接続された。



「大丈夫ですよ、落ち着いてください」


「だが·····」


「魔導式固定完了、懸垂魔導線距離固定完了、重力姿勢制御開始、防風結界及び落下防止結界及び物理結界展開····· よし、飛びますよ!」


「飛ぶぅ!?」


「そうですよ!んじゃ····· 宇宙戦艦『Gnade』および附属船舶、発進!!」



 グォォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオンッ!!!



 次の瞬間、上空に浮かぶ私の宇宙戦艦が前進し懸垂魔導線で接続された船体がものすごい勢いで前方に勝手に進み始めた。




\ザッパァァァアアアアアンッ!!/



「Take Out!!って違う、テイクオフッ!!!」


『『うわぁぁぁぁぁあああああああああああああああっ!!!!???』』




 私たちが乗る普通の船諸共、上空へと浮かび上がった。




 そう、私が計画したのは宇宙戦艦を使っての船舶の輸送だ。


 実はこの宇宙戦艦、未だにこういう船とかの運搬をしたことが無くて帰るついでに運んでしまおうという考えで依頼を受けたのだ。



「どうです?快適でしょう?」


「ど、どうなってるんだコレは·····」


「早いでしょう?そりゃ音より早く動いてますから」



 今の速度は約1320ノット、音速換算でマッハ2だ。


 そんな速度で飛んでいるから、あと十数分もしたら目的地に到着する予定だ。



「·····流石はSランク冒険者の賢者姫だ、桁違いすぎる」


「いやぁそれほどでもぉ」



 なんてお約束の返しをしながら、私たちはルーラル港へと向けて空を飛んで行ったのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「さてと、戻ったら次はアレやって、その次はアレででもソレもやんなきゃ····· あーいそがしっ!」

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