未来の私、過去でなにやってんの
私がバージョンアップしたり、姉貴が魔族に戻ったり色々あってここ最近忙しかったけれど、ようやく暇な日ができた私は1人で部屋でのんびりと休んでいた。
「んふふー、ふんふん〜♪」
ちなみに今はこの前時間旅行して交易して手に入れてきた縄文時代の翡翠の勾玉を撫でてるところだ。
なんでも使い込んで皮脂が浸透すると艶が出てくるらしい·····って縄文時代の人が言ってた。
ちなみに交易品はダイヤモンドのヤスリで、あげたらすんげぇ喜ばれた。
他にも色々取引してきたり作ってきて、大満足の旅路だった。
「さてと、次は何時代を見に行こっかなぁ·····」
\シュンッ/
「ソフィちゃんは居るかしら?」
「およ、校長先生?どうしたんですか?見た感じ学校帰りっぽいですけど」
そしたら突然校長先生が私を尋ねてきた。
高校の制服を着てるのを見るに、学校終わりにウチへ直行してきたらしい。
·····けど。
「·····ミニスカやめません?何回折ってるんですかそれ、流石にキツいって自分でも思わないんですか?」
「3回よ、ちなみにソフィちゃんは何回折られたいかしら?」
「折られたくないでーす」
ちなみに校長先生の高校は、まぁ、なんというか、偏差値低めの学校だからスカート3回折りのミニスカでブラウスはボタン上から3つは開けるのがデフォルトくらいらしいけど·····
·····まぁ私も若返ってしかも女の子になってるからその気持ち分かるけどさ?
「で、どうしたんです?なんかあったんですか?」
「なんかあった、じゃないわ····· なんかやったでしょう、貴女」
「すみまっ·····ん?いや心当たり無いんですけど····· もしかしてまた私なんかやっちゃいました?」
「確証は無いけれど、怪しすぎる事があったから問い詰めに来たわ」
「·····ちょっと待っててくださいね、モフちゃんちょっと失礼」
『きゅーん?』
私は翡翠の勾玉を仕舞うと、クッション代わりになって貰ってたモフアザラシ(お駄賃は銚子産のよく肥えたお高めのイワシ)を頭の上に乗っけた。
\モフ/
「これでよしっと」
「·····可愛子ぶっても無駄よ、というか17歳の母親がそれやるのも中々よ?」
「んっふっふっ、でもモフちゃんが上に居たらゲンコツ食らわせられないでしょ?んっふふふふ·····」
「ふんっ!!」
\メメタァッ!!/
『きゅーん?』
\ドグチアッ!!/
「デロリアンッ!!?」
校長先生のゲンコツはモフアザラシを一切傷つける事なく貫通し、その下のソフィ・シュテインのみを打ち砕いたッ!!
そしてゲンコツを食らった私は轢かれたカエルのように地面に這い蹲る羽目になったのだった。
◇
「·····で、本題に入るのだけれど」
「ハイナンデショカ」
\きゅーん?/
私は常にひんやりしてるモフアザラシをタンコブに乗っけて冷やしながら、あと正座もしながら校長先生と話を始めた。
「この教科書を見てくれるかしら?」
「·····歴史の教科書?」
「その中の付箋のついた所よ」
校長先生は話し始めるなり、カバンの中から高校の教科書を出してきた。
出てきたのは3つ、日本史と世界史と資料集だ。
「ん?あっ堀川国広の所だ、懐かしいわぁ····· 例の女神の話やっぱ載ってんだ」
で、付箋のあった所をテキトーに開くとちょうど関ヶ原の合戦のページで、前にエビちゃんの刀を作って貰いに行った時の事がちらっと書かれてた。
「堀川国広が女神のために刀を打ち、実力が認められ神鋼を贈られ、それで徳川家康のために神刀を打って、それが関ヶ原の合戦で多くの武将を寝返らせるきっかけになったのよね〜、·····ただ挿絵が家康が書いた『国宝 女神図』なの嫌だなぁ、私こんな浮世絵ちっくな顔じゃないし····· ってか落書きしないでくれません?サルバドール・ダリみたいな髭生えてるんですけど」
「落書きは転移前のグレてた私がやったのよ、それとあの妊娠報告の時に言ってたのは本当だったのね····· じゃあこっちもかしら?」
「ん?·····でたストラディバリウス伝説!!それ恥ずかしいから教科書から消してくれないかなぁ····· 今じゃちゃんと一曲弾けるようになったんですからね?」
「·····この2つは貴女のやらかしで確定でいいわね?じゃあ問題はここからよ」
「ゑ゛」
·····が、どうもここからが本題らしい。
「まずこれを見なさい」
そう言って開いたページは、縄文時代のページだ。
「·····重要文化財『茸型土器』、貴女が作ったでしょう?」
「げっ!?あっ、いやーなんの事やら」
·····そこには、この前このヒスイの勾玉を交易しに行った時にお邪魔させて貰った集落で作った、キノコをニョキニョキ生やした土器が載っていた。
あの人たち丁寧に埋めてくれてたのね、見事に残ってるわ。
「ゲンコツポイント1点追加ね」
「ひっ····· ってあれ、やらないんですか?」
「余罪がまだあるからよ」
「·····あの、付箋の枚数凄いですけど、えーっと····· 勉強熱心なんですね」
「全部貴女がやらかしたっぽい部分よ、付箋を買い足す羽目になったわ·····」
「ひ、ひぇっ!?だから纏めてやるつもりなんですかぁ!?」
「えぇそうよ、まとめてやった方が効率的でしょう?それとも毎回喰らいたいかしら?」
「どっちにせよゲンコツ喰らうんでどうでもいいでーす」
ゲンコツが確定してる私は、メメタァするけどそれでもモフちゃんが可哀想だから頭から下ろして正座して校長先生が開いたページを見た
「で、次は弥生時代なのだけれど、この『国宝 内行茸文鏡』の作者も貴女ね?というか統一人類語のサイン入れてるのはやり過ぎよ、コレ見て貴女が歴史に関わってるのに気がついたわ」
「·····やっぱりサインはやめとくべきだったなぁ」
「その次は古墳時代よ、この『大猿型土偶』·····いえゴリラ土偶作ったわね?それとこの時代から日本でも『銀髪の女神』の目撃談がちらほら出てくるのよ」
「げ、げぇ·····」
「それと古事記によるとこの時代の出雲にも銀髪の女神が出てくるのよ、何しに行ったのかしら?」
「·····古代出雲大社が本当にクソデカ建築かどうか見に行ったんです」
「ゲンコツポイント1点追加ね」
·····全部バレてら。
神様権限でバタフライエフェクト起きないようにしてるからいいやって適当にやってたのが良くなかったわ·····
「飛鳥時代にも怪しいのがあるわ、聖徳太子の『片岡飢人伝説』は知ってる?」
「知らないですけど·····」
「簡単に言うと聖徳太子が道端で飢えて倒れてる人を見つけ食事と水を与え服も脱いで掛けてあげて、歌を詠んであげたけれど、翌日には亡くなってると知り悲しんで埋葬してあげたのだけれど、もしかしたら道教の達人じゃないかと気がついて墓を掘り起こしてみたら棺に居なくて、服だけが丁寧に畳まれて置かれてて····· って伝説よ、貴女飛鳥時代でわざと餓死して聖徳太子に構って貰ったのでしょう?リスポーンよねこれ?」
「えっしませんよそんな事····· そんな事いったら復活してるイエス・キリストも私って事になりません?」
「·····人違いかしら、失礼したわね、良かったわね世界史からも1枚付箋が減ったわ」
校長先生、疑いすぎて私じゃないヤツまで私のせいにしてきやがったぞ·····
先行きが不安になってきたわ·····
「次は平安時代ね、紫式部の『銀髪』は知ってるかしら?」
「·····国語の教科書で習ったんで知ってます、源氏物語、紫式部日記に並ぶ紫式部の三大作品ですもん」
「えぇ、天から銀髪の女神が訪ねてきて紫式部自身が平安京を案内する物語ね、日本最古の観光案内とも言われているわ」
「んで確か物語形式ですけど、平安京にあった建物だけじゃなくて数少ない庶民の暮らしや文化を伝える資料にもなってるんでしたっけ」
「えぇ、流石は自分でやったからよく分かってるじゃない、ゲンコツポイント5点追加してもいいわね」
「まぁそりゃ····· ん?」
ゲンコツポイントが一気に増えたあたりで、私の中に何か違和感が過ぎった。
·····なんだ?
なんかとんでもない矛盾点っていうか、タイムパラドクスを感じるんだけど·····
「平安時代は他にも色々あるけど飛ばすわ、間違いなく全部貴女だもの、·····何よ羅生門に通りかかった人から髪を引っこ抜きにかかる妖怪髪抜きババアって」
「へぁい····· ん?それただの太宰治の羅生門の事なんじゃ····· あっなんでもないです、で、次はなんですか·····」
「鎌倉時代ね、弁慶が牛若丸以外に唯一武器を奪えなかった槍使いの銀髪の女性も貴女しか居ないわよね」
「·····うん?あれ私鎌倉時代行ったっけな····· 色んな時代行ってるからあんま覚えてないや」
「貴女ねぇ·····!!ゲンコツポイント3点よ」
次はどうも私が有名な武蔵坊弁慶をボコボコにした話のようだ。
·····確かになんか聞いた事あるわ。
でもやったっけなぁ····· あれほどの豪傑なら覚えてそうだけど·····
「はぁ····· 頭が痛いわ、次は·····室町時代は分からなかったわ、巧妙に隠してるのか、それとも応仁の乱で貴女関連の資料が燃えたのかしら?」
「私まだ室町時代は行ってないからなぁ·····」
「そうだったのね、なら納得だわ」
ちなみに私、今の所古墳時代まではこの前一気に見に行ってて、あとは飛び飛びに江戸時代とか大正時代とかに行ってる感じかな?
·····あれ?
いや、うん??
「はぁ····· で、戦国時代よ、織田信長に一時期仕えてたという2人の外国人の噂は知ってるわよね?」
「弥助とお知恵ですよね、南蛮船に乗ってきた人で気に入った2人を暫くそばに支えさせてたっていう、知ってる人は知ってる有名な話ですよ、オカルトとか大好きな私が知らない訳ないじゃないですか!」
「貴女自身がオカルト·····今のナシにして頂戴、私もそっち側の存在だったわ」
「んじゃゲンコツポイントマイナス1点してくださいね、·····で、弥助とお知恵は武士だったのか定かじゃないのと、近年ではそもそも存在しなかったって説もありますよね、めっちゃ気になるんでいつか見に行こうかなって·····」
「待ちなさい!!」
「んぇっ!?なんですか!?」
「お知恵って貴女よね?槍を持った銀髪で聡明な南蛮人の女武士って貴女しか居ないじゃない!」
「えっ、·····あっ確かに!!?」
「シラを切っても無駄よ、ゲンコツポイント100点·····」
「まっまっまっまってくださいっ!!?私マジでなんも知らないんですけど!!?」
「·····はい?また嘘·····ついてないわね、どういう事よ」
信長の側近の謎の女傑『お知恵』の話が出たあたりで、私が感じていた違和感が爆発した。
「まずいいですか?·····私、転生する前の更に10年以上前には高校で紫式部の『銀髪』習ってるんですよ」
「でしょうね、昔から有名····· あら?昔から?」
「それに私、ついこの前バージョンアップしてからタイムトラベルが楽になったんで、縄文時代とか古代出雲大社とかに行ってきたばかりなんですよ、·····っていうか縄文時代からハシゴして一気にそこまで行って、満足したんで一旦帰ってきたんですけど·····」
·····そう、実は私、タイムトラベルはしてるもの教科書が難関校受験してる高校生の辞書みたいに付箋まみれになるほどは行ってないのよ。
日本史に関しては縄文時代〜古墳時代までしか行ってないし····· いやまぁ、平安時代は実を言うと小野小町とか紫式部とかに会いに行ったり、平安文化を体験しに行こうかなって計画は立ててたけど·····
「·····飛鳥時代以降はまだ私、行ってないですよ?」
「どういう事よ····· わけがわからないわ·····」
「·····ちなみに世界史についてなんですけど、日本もまだなのに世界なんてほとんど行ってないですよ、一応気になってたピラミッドとまだ遺跡じゃない頃のティオティワカン遺跡とマチュピチュとナスカの地上絵くらいか見に行ってないですし·····」
「ゲンコツポイント4点追加ね、·····でも歴史の教科書に貴女が間違いなくやらかしたのが何個もあるのよ?不老不死の錬金術師『サンジェルマン』なんて間違いなく貴女じゃない」
「あっそれ不死川さんのおじいちゃんの不死川 参治右衛門ですよ、本人が『参治右衛門をヨーロッパ人が聞き間違えて『サンジェルマン』と呼ばれてたのでござる』って言ってたんで間違いないです」
「··········はぁ」
校長先生はやつれた顔でため息を吐きながら教科書から付箋を剥がした。
「·····世界史のこれは何よ、古代ローマのウォータースライダーテルマエとか貴女がふざけて作ったのでしょう?」
「先生、それ日本の漫画の内容です·····」
「·····そうなのね、でもこっちはどうかしら?唯一バチカンからも本物と認められた銀髪の魔女·····魔女裁判で有罪となり火炙りの刑に処されるも、本人が燃えるより先に縄が焼ききれた事で黒焦げのまま走って逃げ出し、最後は袋小路に追い詰められたけれど飛んで逃げたって書いてあるわ」
「まだやってないですけど、間違いなく私ですね」
·····が、世界史にも私が登場した。
おっかしいな····· そんな面白そうなことあったら絶対覚えてるし、小説のネタにしてるはず·····
「·····あっ」
「何よ?」
「これ、もしかして今の私がやったんじゃなくて未来の私がやった出来事なんじゃ·····?」
そして気がついた。
たぶんこれ、私だけど私じゃないわ。
過去に来た未来の私がやった出来事だわ。
「つまりですよ、『いつか○○時代に行こっと』と心の中で思ったならッ!その時既に行動は終わっているんだッ!·····って事なんですよ」
「何を言ってるのよ貴女は」
「アッハイスミマセン····· つまり未来の私が過去にタイムスリップするのはまだ起きてない先の出来事ですけど、未来の私が過去でなんかやったのは既に起きた事なので記録されてるってわけです·····」
「そういう事なら変な言い回しを使わないで分かりやすく言いなさい」
そう、頭がこんがらがりそうだけど、まだ私が行ってない時代に私が居たのは、同じ時間軸で未来の私たちが過去に行って観光してたからなのだ!!
つまりこんな感じね
/←←←←←←←←←←←\
↓ /←←←←\ ↑
↓↓ ↑ ↑
過去→→→→現在→→→→未来
つまり今の私はまだほとんど何もやってないって訳だから無罪のはず!!
「はぁい····· まぁなんていうか、私が今の所やらかしてるのは古墳時代までなんで、未来のことはまだセーフですよね?」
「ソフィちゃん、ひとつ聞いてもいいかしら?」
「なんですか?」
「·····記録する人の居ない時代にはもうかなり行ってるわよね?」
「先生のような勘のいい校長は苦手ですよ·····あっやべ自白しちゃった」
·····実は私、かなり前から過去の地球に行ってるのよね。
その中でも特に化石好きの私は恐竜時代によく行ってて、どうせ隕石で全部消し飛ぶからってのをいい事にユカタン半島にソフィ大王の恐竜キングダムっていう古代ニンゲンが作った恐竜帝国とかいう設定の訳分からんモノ作って遊んでるし·····
「貴女ねぇ·····ッッッ!!!」
「ひ、ひぇっ!全部バレた·····っ!!!」
「·····もういいわ、過去に起きた事実は変える術は無いわ」
「えっ許された·····?」
「でも未来の貴女の行動を止めれば過去も書き換えられるんじゃないかしら?」
「·····げぇっ!?ま、まさかっ!!?」
「100発分纏めて一撃で行くわ、過去と未来の因果諸共全て叩くわよ」
「ひぇぇっ!!未来が変わっちゃう!!タイムパラドックスが起きちゃいますからぁっ!!!」
「問答無用よ!私の最強の拳、しかと受け止めなさいッ!因果応報『懺悔拳骨』よ!!!」
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「ほぶぅぅぅぅぅううううぅぅぅうっ!!?!?」
地殻が割れて崩壊するほどのゲンコツを喰らった私は、光速を超える速度で地面に埋まった!!
·····否ッ!光速を超えた瞬間私は過去へと遡り、はるか過去の因果をもブチ抜いて過去に居る『ソフィ大王の恐竜キングダム』に私が直撃ッ!!
そのあまりの衝撃に地球環境は激変し、恐竜はソフィ大王の恐竜キングダムと共に滅亡したのだった·····
名前:加藤 郷美
ひと言コメント
「これでよし、歴史も元に戻っ·········· てないわ、そんな変わってないわね、·····いえ、もしかして、この世界は『昔からソフィちゃんが干渉してきた』という歴史の上で成り立って····· あらガイアさんじゃない、どうかしたのかし\ズビシッ/うぐぅっ!?」
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「うっうっ····· せっかく頑張って作った私の恐竜キングダムが····· あっ別に衝突前に行けばまだ残ってるんだったわ、もぅ私ったらうっかりさんっ☆ あれガイア様?何しに····· やばっ!モフちゃんガー\ドゴンヌ☆/どりあんっ!!」
【Tips!! 謎の銀髪の女神】
この世界の歴史において、度々登場する謎の存在。
最古の明確な出現記録はメソポタミア文明の楔形文字の粘土板に記された商人との取引での揉め事の記録で、その後も古代エジプトや古代ローマ、中世ヨーロッパ、果てはアフリカの原始人が描いた壁画にもそれらしき存在が登場する。
とりわけ日本での目撃談が多く、古事記にもその存在が記されており、特に紫式部の『銀髪』と徳川家康の『女神図』に纏わる話は有名である。
この話は世界各国で見られるが、共通点として銀髪の女性で、歴史の転換点近くや平和な時代になると出現し、直接は関わらず突如現れ突然消えるという点が挙げられる。
現代では演劇用語の『デウス・エクス・マキナ』(話の強引な打ち切り)に並ぶ、『銀髪の女神』という『唐突な喜劇的な話への転換点』という一種の表現として共通して使われてきたモノではないかと考えられており、そうした表現が使われる作品は今昔ともに多く存在している。
例えばそう『TS賢者は今日も逝くっ!』·····とかね?
んふふっ·····




