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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第六章 TS賢者は母になるっ!
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神様ver.2.0.1と辺aの狩人



 ミナタと私は、マーブレット・ミノタウロスの居る場所の近くにあった岩陰から目標をチラ見しながら作戦を立てていた。



 レベルアップしたミナタは90度以下の先のとがった部分だけでなく90度以下の辺からも出現できるようになったのを考慮して、周囲に構造物を出現させて出入りできる場所を増やすのが最適のはず·····


 ちなみに軽く検証したところ、今までは槍の先端とか建物の角とかからしか出れなかったが今では剣の刃部分みたいな部分や建物の柱からも出入りできるようになった。

 能力的にはティンダロスの猟犬にかなり近くなったと言えるだろう。


 もうちょい能力を極めたら出入りできる角度が広くなるかもしれないけど、今はこれが限界だからそのサポートをするべきかな。



「よし、創世魔法発動、骸晶柱状立方体結晶生成っ!!」


 ゴゴゴゴゴゴッ·····


『ぶもぉっ!?』


「おおっ!へな沢山あるっけ!」



 という訳で私は前世の知識をフルで生かし、ミノタウロスの周囲に角が沢山ある構造物を大量に出現させた。


 そしてその形状は、私のイメージが形状に直結する創世魔法を使用したためビスマスの人工結晶に類似していた。

 鉱物が結晶する際に稀に成長速度の差によって妙な形の結晶が産まれる事がある。

 それが骸晶と呼ばれる結晶で、ビスマスの人工結晶などで有名なモノだ。


 その特徴として、まるで未来文明の構造物のような大量の直線と角で構成された階段や棚田のような形状がある。

 ·····そう、90度の角や辺が無数に自然にできる、ミナタにピッタリな材質なのだ。


 ミノタウロスはそのビスマスの人工結晶によく似た構造物によって覆われている。

 それはつまり·····



「んじゃ後は行ける?」


「たぶんいけっけ!ソフィはみてっけな!」


「はぁい、ヤバそうだったら手伝うよ~」


「へなっ!」

\とぷんっ/



 ミナタが潜航できる場所がどこにでも、無数に存在しているという事になるのだ。


 ミナタは近くにあった普通の岩の角から裏世界へ潜り込むと、次の瞬間にはミノタウロスの真上に出現しており、その手にはいつの間にか凶悪な鋭いナイフの如き爪が出現していた。



「でりゃぁぁぁぁあああああっ!!」


『ブモッ!?』



 ザシュッ!



『モ"ォォォオオオオオッ!!!?』


「へなっ!やったっけ!」


「おー凄い切れ味」


 そして奇襲は成功し、ミナタの凶悪な左右合計10本の長い爪はミノタウロスのまだら模様の背中を切り刻み、10本の×印を刻み込んだ。


『ブモゴァァァアアアアッ!!!』


「へにゃっぱ?!あぶねっけ!」


 /とぷんっ!\


 だが痛みで激怒したミノタウロスは近くにあった斧を即座に掴んでぶん回し、空中に居たミナタを切りつけた。

 普通の人だったら骨が折れるどころか切れ味の悪い斧でも圧倒的なパワーによって叩き切られて体が上下に泣き別れていただろう。


 ·····しかし切れ味がわるくとも、そこには刃があった。


 ミナタは切りつけられる瞬間に刃の中に、90度以下の辺となっている刃の中に気体とも液体ともとれるゲル状のような黝い物質に変化して異次元に潜り込んでしまったのだ。



『ブモ!?·····モ"ォ"ォ"オ"オ"オ"ッ!!』


「おー怒りながら困惑してる····· って、あの、なんで私見てるんですか?」



 そして標的が居なくなったミノタウロスは、行くときに買った潰したお米を棒に纏わせて肉で巻いて揚げた肉巻きおにぎりモドキをのんびり食べながら私が座るために出した構造物の上で観戦していた私を見つけてしまった。

 ミノタウロスは怒り狂っていた。


 自分を攻撃した相手が誰かも覚えてないくらい怒っていて、とりあえず見かけた私を攻撃してきたのだ。



 ·····ただ、彼の判断は間違いなく間違っていた。



「キノコ神拳奥義、怒るの怒るのとんでいけ~」

\ぷすっ♡/

『モ"?·····ブモォォォオオオオッ!!!』



 私はキノコ神拳でさっき食べ終わった塩味の方の肉巻きおにぎりモドキの串を投げると、串はミノタウロスの額にスコンッと直撃した。


 その瞬間、ミノタウロスは一瞬動きを止めて何かを考えた後、後ろを向いてどっかに走っていってしまった。



「ったくもー、相手は私じゃなくて·····」


「アチシが相手っけ!うがぁぁぁぁあああああっ!!!」


『ブゴォォォォオオオオオオッ!!!』



 ドッゴォォォオオオオオンッッ!!!



「棘出すとこ沢山あるっけ、アチシの方が、有利った!!」


『モ"ォ!?ブモォォオオオッ!!!』



 ミノタウロスが向かった先には、ミナタが居た。


 そしてミノタウロスはその巨大な斧を振り下ろしたが、周囲の角から大量の黝く不気味に光る棘が出現し、圧倒的な破壊力を持つ斧を受け止めてしまった。



「結構頑丈なんだアレ、·····マジックバレット\バガンッ!/おーこの程度じゃ砕けないか、マジックライフル、マギスナイパー、マギAMR····· マギスナイパーくらいの威力は必要か、結構凄いな」


「へっけなじゃっぺにゃっつて!!!」


「あっごめんごめん、気になっちゃったから」


「みみったがっべりゃってっけぇ!!!」


「わかったから、続きやっていいよ!」



 そんな高威力の攻撃を受け止められる棘の強さが気になった私は、影響が無さそうな部分の棘を魔法で攻撃して耐久力テストをしてみた。

 その結果、棘は普通の攻撃くらいじゃビクともせず、スナイパーライフル用の高威力弾丸を数発当ててやっと砕け、アンチマテリアル弾で一撃だが1個壊すのが限界という、かなりな耐久力があった。


 少なくともアダマンタイトよりは弱いけどオリハルコン級の耐久力はあるとみていいだろう。


 ·····まぁミナタに怒られたけど、気になったんだから仕方ない。



「へな、そこっけ!」


 ザシュッ!


『モボォォォオオオオオオオオオオオオッ!!!!!???』



「うわ痛そう·····」


「まだいくっけ!せいっ!そりゃっ!でりゃっ!!」



 私の方からミノタウロスの方に向き直ったミナタは、ミノタウロスの足の後ろあたりにあった岩の破片から棘を急速に成長させて攻撃を仕掛けた。

 剣先のようにとがった棘はミノタウロスのアキレス腱に突き刺さって貫通し、地面に足を縫い付けてしまった。


 そのチャンスを見逃すまいとミナタは斧の上へと飛び乗り、直接攻撃を仕掛けに行った。



『モゴァァァアアアッ!!』


「ぎゃんっ!?」


「あっ魔法使えたのかアイツ!」



 だがミノタウロスは即座に反撃を仕掛け、氷魔法で鋭くとがった槍を口から発射した。

 油断していたミナタはそれをモロに喰らってしまい、脇腹を深くえぐられる重症を負って吹き飛ばされていた。



「っづづ·····」


「ミナタ大丈夫!?·····って、なに、それ」


「大丈夫、っけ、すぐなおっけ·····ッ!!」



 しかしミナタの脇腹の様子がおかしかった。

 傷口からは血が出る代わりに、黝い重油のような油脂光沢を放つ粘度の高い液体が流れだしていたのだ。


 それに傷口からは肉や内臓は見えず、よくわからないナゾ物質が蠢いていた。


 しかも傷口は重油のような液体であっという間に埋め尽くされ、すぐに再生して元通りの皮膚が戻ってきた。



 そういえばレミアも『血液が流れていないですぅ·····』って言ってたけど、いざ本当に血が流れてないどころか魔導粘性生物そのものだったのを見るとちょっとギョッとするわ。

 


「一応聞いとくけど大丈夫なのそれ?」


「へな大丈夫だっけな!!じゃっいってくっけ!」


「い、いってらっしゃい·····」



 ·····驚異的な再生能力、異次元への潜航、ありとあらゆる角からの出現と棘の生成、肉体の変形による爪の出現、見れば見るほどエグいしこの世の物とは思えない能力だ。


 やっぱりアレは猟犬じゃなくて犬という名前が付いているけど哺乳類という枠に当てはまらない存在なんだと思い知ったわ。



「·····やっぱり私たち(深淵の者共)の考えることはわかんないし謎ばっかりだなぁ」



 ただアレはミナタという個体であることには変わりないし、身体機能を再現することで人間と同等の身体を得て、私たちと同じ人間になっているのも変わりないから別にいいけどね。



「へなぁぁぁぁああああっ!!」


『モブゥウウウウ!!!』


 ザクッ


「あっ頸動脈切った、やるねぇ·····」



 って考察してたら、傷を治してミノタウロスと交戦していたミナタがミノタウロスの背中に爪を突き刺しながら登り切り、首を搔き切って頸動脈を切断してしまった。


 その傷口からは、ミナタとは違うがドロドロとした血液が噴き出し、ミノタウロスは必死で首を抑えたが血はとめどなく溢れ出していて死ぬのは時間の問題だった。


 そしてトドメを刺したミナタは血塗れになりながら私の方に手を振りながら駆け寄って来ていた。



「へなー!ソフィ!倒したっけ!」


『モォォオオオ····· ブモォォォオオオッ!』


「·····殺すなら最後までやってあげなきゃダメだよ、それに苦しめて殺すのは私の個人的な流儀だけどダメ」


「へな?ひゃっ!?」



 だが、死が迫っているミノタウロスの目には激しい恐怖と怒りが宿っていて、他の人より死に敏感な私にはそれが感じ取れた。


 私は普通の人が一度しか経験しない死を、死ぬときの痛みや苦痛を何度も味わっている。

 だからこそ、苦しんで死ぬのを見るのが一番嫌いなのだ。



 私は呑気に走ってくるミナタの横を目にもとまらぬ速さで駆け抜けると、ミノタウロスの胸のあたりまで一気に飛び上がり、神属性魔力が込められた拳を打ち込んだ。

 更に身体を駆けあがると頭部を一発蹴り飛ばし、足から電気魔法で強力な電気を流し込んだ。


 バヂンッ!!

『ブモ?モ····· モォ·····』


「おやすみなさい、来世は天寿を全うできることを祈ってるよ」


 ズゥゥウンッ·····



 私の拳はミノタウロスの肉体だけでなく魂にも直撃し、魂が肉体の外へと飛び出してしまった。

 更に頭部を蹴った足からは電流が流れ込み、脳の機能を停止させてしまった。


 この世界の生命体は魂が無ければ動くことはできなくなる。

 魂が抜けた生命体は脳死状態とよく似た状態に陥り、放置していれば死に至る。


 ·····それに、魚の鮮度の保ち方に神経締めという方法があり、背骨にある神経や脳を傷つけ人為的に脳死状態を作り出す方法だ。


 私は魂を引っこ抜く事で脳死状態に似た、魂が抜けたことによる死を作り出したという訳だ。

 更に肉体も脳の機能を止めたことで死に至る、完璧な死を作り出したのだ。



「ミナタ、獲物はなるべく苦しめず殺してあげる、それが大事だよ」


「へ、へな····· いま何したっけ·····」


「ミノタウロスの魂を引っこ抜いた、これでもうこの子は痛みも感じないし苦しさからも解放されたよ、あとは魂をあの世に送るだけで終わりだね、おーいサリちゃーん、魂もってっていいよー」


/わかった\


「サンキュー!」


「·····ソフィ、なんか怖いっけ」


「まぁ私のエゴだからねぇ····· ミナタもちゃんとトドメは刺してあげてね?」


「·····わかったっけ」


「ならいいや、そんじゃ今日は美味しい霜降り肉パーティーだよ!後始末して帰ろっか」


「へな·····」



 という訳で、ミナタへの軽い説教も終えた私はミノタウロスの血抜きや後処理を始めた。


 ·····いや『私は』だと語弊があるかな。



「んじゃ出てきていいよ、レミア」


「·····えへへぇ」

\ヌゥッ/


「ほばばへなぁっばにゃっぱっぱっぺりゃんっばっぱりゃがぢょあっばばぁぁぁぁあああっっ!!?!?!!?!?!?」


 私が指を切って血を一滴地面にたらすと、そこからレミアが出てきた。


 ·····私の血を飲んだせいで、なんかバケモノになっちゃったのよね、この子。

 他人の血に()()()入り込んで体を乗っ取ったり、今みたいに私の血を経由して現れたり出来るようになっちゃったのよ。



「えへへぇ、ミナタさんお久しぶりですぅ」


「へ、へな····· べっぱにゃっほりゃ·····」

\ずいっ!!!!/

「·····私に黙ってソフィさまとデートしてたんですかぁ?良かったですねぇあなたに血が流れてなくてぇ」


「ほばぁーっ!!?!?っばぱっぱにゃっぱへばっがぱりゃはーっ!!?!?」


「こらレミア」

「へぁい·····」


 私はガチ恋距離でガン詰めしてるレミアをミナタから引き剥がして叱った。


「とりあえず血抜きお願いね、抜いた血は好きにしていいから、それと終わったらウチでバーベキューするからレミアもおいでよ」


「えへへぇっ!!わがりまじだぁっ!!いっでぎまずぅっ!!」



 レミアは衂を吹き出しながらミノタウロスの血抜きを手際よく進め始めた。

 ·····なんかあの子が血抜きした肉が1番美味しく仕上がるのよね、だから肉が美味しい魔物の時はレミア呼んで頼んでるのよ。




 そんなこんなで血抜きもあっという間に終わり、ギルドへ依頼達成の報告も分体を使ってパパっと終わらせちゃって、私たちは家に帰ってみんなで霜降り肉BBQを楽しんだのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「私とミナタで価値観とか違うのかもなぁ····· まぁ、楽に殺してあげられるならそれが一番だし、出来る時はそうやってやってあげるのが私の流儀かな」


名前:ミナタ

ひと言コメント

「·····アチシもまだまだだっけな、がんばらなっけ」


名前:レミア

ひと言コメント

「えへへへへへぇ····· わだじ、ぞぶぃざまに便利な道具って見られてうれじいでずぅっ♥ ·····ソフィさま?お肉だけじゃなくてお野菜もお食べ下さい?ピーマンやカボチャには血液をサラサラにする効果があるんですぅ、御祭神さまが血液ドロドロなのは私が許しませんからねぇ?」

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