【緊急メンテナンス開始】
ある日の昼下がりのこと·····
「えーっと····· 美味しい天ぷらのコツは·····」
「ねーソフィちゃーん、今日の夜ご飯っててんぷらなのー?」
「ん?あー天ぷらはまだ修行中だから待ってね、今日はテキトーにパスタにでもしようかなって思ってるよ」
「はーい」
私は動画サイトに上がっていたプロの天ぷら屋さんの天ぷらの揚げ方の動画を見て勉強をしていた。
この前なかよし組のみんなで久しぶりに日本に行って、その時に美味しい天ぷらを食べたから勉強したくなっちゃって調べ始めたのだ。
前まで私が作っていたのは良くも悪くも家庭的な天ぷらで、高級な天ぷらを食べたらおいしくてビックリして自分でもやってみたくなっちゃったのよね。
いやぁでも最近便利だよねぇ、こうやってネット上で揚げてる様子を見て解説までしてくれてるんだもん。
まぁネット上でやったら面倒な自称料理の天才プロ美食家の方々からしたら嘲笑って丁寧な指導をしてくるような出来にしかならないだろうけど、私が自己満足で作ってみんなで食べるには十分だと思う。
「へぇ、なるほど····· その手があっ」
ピッ
System ERROR!!!!!!!
System:Emergency stopped...
Goddess Computing System "Akashic Records : Trinity" was Stopped.
Mode : Maintenance.
Maintenance Start.
Personality "Sophy Stein"
Stopped.
プツッ
◇
「へぇ、なるほど····· その手があっ」
ソフィが言い切る前に、彼女の動きが突然停止した。
彼女は時々やる気を無くすと突然一切動かなくなることはよくあるが、今日は明らかに変だった。
ぐらり
ドサッ·····
「ちょっ!?ソフィちゃん!?大丈夫!?」
「倒れた?どうしたの?」
「どうしたのじゃ?·····まーたソフィか、何やっとるんじゃか」
「放っておきなさいよ、どうせいつものよ」
「うんうん、気にしなくていいと思うよ」
「ん、おやすみ·····」
「おかしい、何かへんなきがする」
ソフィはバランスを崩して地面に倒れ、そのままピクリとも動かなくなってしまった。
その様子を見ていたアルムとフィーロは即座にソフィの元に駆け寄って様子を見始めたが、他のなかよし組はソフィがふざけているのだと思っていた。
「·····息、してない」
「えっ?」
「心臓も止まってる····· 死んじゃったのかな」
「えぇ····· どうしたんだろ」
「突然死したのかしら?」
「だいじょうぶかなぁ·····」
「大丈夫じゃろ、どうせあと1分もすればどっかから顔を出してくるのじゃ」
だが、そんな楽観的な事を考えていたなかよし組の皆に、残酷な事実が告げられた。
「·····魂が、どこにもない」
『『·····えっ?』』
「いつもなら、近くに、気配があるのに·····」
「そ、それってどういう·····」
「·····ほんとうに、しんじゃってる、かも」
魂を感知できる存在であるヴィエルグランツのアヤメによると、ソフィの魂が完全に消えてなくなっていたらしいのだ。
そして、最悪な予想は、的中していた。
◇
私の魂は3つある。
一つは男だった私の魂。
二つは女になった私の魂。
三つは神に変化した私の魂。
男の私の魂は『精神』を司る。
女の私の魂は『肉体』を司る。
神の私の魂は『神聖』を司る。
私は死ぬとこのうちの魂の一つが壊れてしまう。
だが、他二つが補い、二つ壊れても一つが補う事で私は私を保つことができる。
三つの魂を組み合わせた一つの魂で、一つのアカシックレコード、それこそが私だ。
もしこの三つの魂が壊れた時、私は輪廻から外れ私という存在は消滅してしまう。
つまり、私は真の死に至るのだ。
三つの魂が破壊されず動きを止めた時、私は死んでいるのか、生きているのか。
答えは、たった一つの学説を除き『死んでいる』だ。
生物学的にも、法律上でも、哲学的にも、それは確実に死んでいるだろう。
その死を覆すたった一つの学問は·····
私の魂でありアカシックレコードである『Trinity』を建造した神々の技術の源『創神学』だ。
ピピッ
System Rebooting...
Error!!!
Goddess Computing System "Akashic Records : Trinity" was Stopped.
>Administrator Mode : enable
Goddess code =
> |
> 1212991153
Name =
> Goddess "Sophy Stein"
Error!
This name was already changed!
> Γαῖα
Administrator Mode = Enable
> |
> Syip^\\\\
"Stip^\\\\" was unknown command!
> Oops! I'm sorry!
"Oops! I'm sorry!" was unknown command!
> Maintenance : complete
> Maintenance Mode : disable
Maintenance Mode = disable !
> |
> Personality "Sophy Stein" : Reboot: Test mode
"Sophy Stein"'s Personality Reboot . . .
>>"Sophy Stein":"ここは·····"
> message"おはようソフィちゃん、突然ごめんね"
>>"Sophy Stein":"何も見えない·····"
> message"混乱しないで、ちょっとソフィちゃんのアカシックレコードを緊急メンテナンスしてて、一応完了したけどソフィちゃんの人格が大丈夫か試しに起動してる所だから"
>>"Sophy Stein":"·····ガイア様?"
> message"正解、死んだわけじゃないから安心してね"
>>"Sophy Stein":"怖い、死にたくない、嫌だ"
> message"大丈夫だよ、キミはまだ生きてる"
>>"Sophy Stein":"みんなと離れたくない、死にたくない、怖い、見えない、何もない、怖い、怖い"
> Mental modification
>>"Sophy Stein":"私は、私は、私は、怖い、怖い、怖い、いやだ、いやだ"
> tranquilize
>>"Sophy Stein":"嫌だ·····"
> message"落ち着いて、大丈夫だから"
>>"Sophy Stein":"·····"
> message"もうエラーは修正したよ、人格データにも異常はなかった、ただちょっと錯乱してるみたいだけどね"
>>"Sophy Stein":"·····何が、あったんですか"
> message"キミのアカシックレコードに·····そしてキミ自身の構造に致命的な欠陥が見つかったのよ、詳しくは省略させて貰うけど、このままだとキミは自己崩壊を起こして消失する所だったの"
>>"Sophy Stein":"私は、生きてるんですか?"
> message"ちゃんと生きてるよ、さて仕上げをするからもう一度寝ててもらうよ、すぐに終わるから安心してね"
>>"Sophy Stein":"·····どれくらいかかりますか"
> message"30分もあれば、ただまぁ、作業をしてから6時間は経ってるけど許してね、なかよし組のみんなには私から軽く説明はしたから"
>>"Sophy Stein":"·····わかりました、でも、切っても、殺さないでください、死ぬのは嫌なんです"
> message"はいよ、じゃあおやすみソフィちゃん"
>>"Sophy Stein":"·····おやすみなさい、ガイア様"
> Personality "Sophy Stein" : Stopped
◇
「·····ぅう」
気が付くと、そこには見慣れた天井とベッドがあった。
まだ頭が混乱してる·····
なんか、メンテナンスとかなんとか·····
「·····怖い」
私の中に、恐怖が沸き出てきた。
私は訳も分からぬまま、恐怖を和らげるため、そばで寄り添ってくれていたフィーロ君に抱きつき、もう一度眠りに就いたのだった。




