サイコパス?いやサイコーですっ!
読者さんをからかった私たちは、ゾウへと別れを告げて次の場所にやって来ていた。
「なにこの、なんていうんだろう、えっと····· 人でも入ってる?」
「マレーグマだね、人は入ってないよ、·····たぶん」
「あにゅー」
ここは象エリアのすぐ隣にあるクマエリアで、来て早速マレーグマが居てフィーロ君が微妙な表情になっていた。
というのも、マレーグマはなんか、こう、着ぐるみみたいな絶妙に変なクマで、ツキノワグマとかヒグマみたいなのを想像してみると頭を抱えざるを得ないようなヘンテコな見た目をしているのだ。
いやヘンテコっていうと失礼だし顔もちゃんと見ればクマなんだけど、うん、なんかニュルンってしてるのよね。
でもフェニカはお気に入りみたいで窓に手をのばしてペタペタしているが、肝心のマレーグマはやる気が無さそうにグデェ·····ってしていて、何故か足をしばらく見つめて再びグッデェェェェ·····ってしていた。
「キャッキャッ♪」
「·····それでいいのかなぁ」
「いいんじゃない?喜んでるし」
そんな様子を見てフェニカは大喜びしていた。
·····なんで?
「あぅー!」
「·····フェニカぁ?なんで私指さしたのかなぁ?」
「わかった、あのマレーグマってなんか休みの日のソフィちゃんそっくr····· いだだだだっ!!足!足踏んでる!」
「あっごめんね」
「いっだだだだだっ!グリグリしないで!僕が悪かったから!」
どうやら、ぐでぇ·····ってしているマレーグマを私と見間違えて喜んでいたらしい。
この子は最近私たちの顔なら覚えて反応できるようになったみたいで、私の顔を見ると明らかに嬉しそうにするようになったのだ。
·····でもなんで私とマレーグマを間違えるん?
ママ泣いちゃいそう·····
あっ、ついでに悪い事を言った子にはお仕置きしなきゃね。
「まったくもー、私は普段からちゃんとした良妻賢母だって」
「うぅ·····」
フィーロは『今日の午前中のソフィちゃん、あのマレーグマと全く同じ姿勢だったしお腹の上でフェニカとフロウが遊んでたからそのせいじゃないかなぁ·····』と言おうと思ったが、また足を踏みにじられそうなので言うのをやめておいたのだった。
それを知らないソフィはというと、次のクマの元に向かって行ったのだった。
◇
マレーグマを見た後は道なりに進み、ツキノワグマやエゾヒグマを見ながらどんどん動物園の中を進んでいたが、ソフィがとある動物の前で足を止めた。
「·····ん?ちょっ!まてまてまてまて!!!んっ!?んんんんっ!?」
「どうしたの?珍しい動物でもいた?」
「なんで熊エリアにアライグマが居るんだよっ!!てめぇ哺乳綱ネコ目アライグマ科アライグマ属だろっ!!」
そこには何故か愛くるしい顔をしてフワフワな毛に覆われたアライグマが居た。
しかしアライグマは熊ではない。
しかも似ているタヌキでもない、アライグマという全くの別の種なのだ。
それがなぜか熊エリアに居るのを見たソフィは突っ込まずにはいられなかったのだ。
·····なお、リアルのこの動物園には熊コーナーにアライグマは居ないが、北海道の昭和新山にあるクマ牧場には何故かアライグマが居る。
ソフィが前世で修学旅行で行った際にはクマを見ていると真後ろにアライグマが居てビビった経験があったり無かったりする。
「どういうこと?」
「アライグマは熊じゃなくてアライグマっていう完全に別の種類の生き物なの、クマって名前がついてるけど全く違うヤツなのになんでか知らないけどここに居たから·····」
「·····そうなんだ」
そうなのよ。
◇
っていう事はあったけど、フェニカはヒグマにもアライグマにも興味を示さなかったので、私たちは次のエリアにやって来ていた。
「真っ白い熊とかも居るんだ····· 魔物みたいだけど魔物じゃないんだよね?」
「ホッキョクグマだね、極圏のクソ寒い場所に住むクマだよ、ちなみに地肌は黒いらしいし毛が中空で保温効果バッチリらしいよ」
「すごっ、ほとんど魔物じゃん」
「魔物だったら体内で炎を発生させて体温を維持すると思うよ」
「·····確かに」
次のエリアは海エリアで、まず最初にホッキョクグマが居た。
まぁでも熊は熊なので私たちは軽く見てスルーして、他の生き物を見に行った。
「あうぅ?」
「おっ、フェニカもコレなら見た事あるよね~?」
「·····モフモフじゃないモフアザラシ?」
「普通のアザラシだよ、これはこれで可愛いでしょ」
「なんか、モチモチしてそう·····」
そこに居たのは、ウチにも住んでいるモフアザラシの魔物化していない姿であるアザラシ系の動物たちだった。
アザラシたちは水の中をのんびりと泳いでいたが、興味を持ったフェニカをガラスに近付けると彼らも寄ってきてフェニカと私とフィーロ君に挨拶しに来てくれた。
『アアァ!』
『アオァ!』
\ぺちぺち/
「あぅー?」
「やっぱり可愛いなぁ····· ちなみに生まれたての頃はモフアザラシっぽいらしいよ、まぁモフアザラシの方が丸っこくてモッチモチのふっわふわだけど」
「そうなの?へぇ·····」
「·····寒冷地だと御馳走らしいよ」
『『ア"ア"ア"ァ"ァ"!!?』』
「あっ逃げた」
「そりゃ逃げるでしょ·····」
「ぁうー·····」
しかし私が邪な事を考えてしまったため、アザラシは逃げて行ってしまったのだった。
そしてなんか食べる事を考えてしまった私は、急にお腹が空いてきてしまった。
これはいけない、世界最強の捕食者が空腹状態になったら動物たちは生態系の頂点に座す最強の生き物に恐れ戦いてしまう。
よし、腹を満たそう、まだお昼を食べてから2時間しか経ってないけど軽くご飯食べよう。
「フィーロ君、丁度そこに売店あるしさ、動物でもみながらそこら辺に座って軽食でもたべない?」
「まぁいいけど·····」
「よっしゃ、んじゃいこー!」
という訳で、私たちは軽く腹ごしらえをすることにしたのだった。
◇
さて、今日のオヤツのメニューは私がタンドリーチキン風ピリ辛唐揚げと鳥カツサンド、フィーロ君がパンダ笹団子、フェニカは鳥ガラで味付けした離乳食だ。
そして食べている場所は·····
『ギャーギャー!』
『キョーッ!』
『アオーッ!』
『オジーチャン!オジーチャン!』
「·····ソフィちゃん、流石にそれ悪趣味すぎないかな?」
「え?美味しいよ?」
「いやそうじゃなくて、鳥のコーナーが良く見える席で鶏料理食べるの酷くない?って事なんだけど」
「あぁそういう事ね」
そう、私たちがいるのは鳥たちが居る檻のすぐ目の前にあるテーブルで、数メートル先には色々な鳥が檻の中で各々好きなように過ごしていた。
そして私の目の前には、タンドリーチキン風の味付けがされてカリッとした衣を身に纏ってホカホカと湯気をあげる鳥が5羽·····間違った、さっき1個食べて今半分くらい齧ったから3.4羽····· じゃなくて、調理された鳥の料理がたった今3個になったのと鳥カツサンドが6切れ並んでいた。
いやぁ、私も見た時はびっくりしたわ、鳥のエリアにあるのに鶏料理を売ってるんだって思ったけど、面白そうだから買っちゃったわ。
「なんか僕は食欲失せるなぁ·····」
「まぁね、でも命をいただくってこういう事だから」
「·····ここに居る生き物ってほとんど食べられないでしょ?言い訳でしょそれ」
「ギクッ····· まっ、まぁ、なんていうか、その、美味しいからいいんじゃない?」
「はぁ·····」
「·····その笹団子、パンダのフン入ってるよ」
「ええっ!?いやそしたら臭いでわかるでしょ」
「ん?いや、入ってないとは思うけどちゃんと笹の香りがするからあながち間違いじゃないよ、だってパンダのフンってマジでいい香りがするらしいし、パンダって事で合わせて笹の香りつけてるんじゃない?」
「·····変な生き物」
「だって世界三大珍獣だし」
そんでフィーロ君の食べているパンダの笹団子は、フィーロ君は鳥を食べたくなかったみたいだから選んでみたそうだ。
まぁ笹団子って言うのは名前だけで出てきたのは黄緑色の綺麗な色の普通の饅頭だったけど、ちゃんと笹の香りもしていて普通に美味しそうだった。
あっ、あと鶏のから揚げもなかなか美味しいよ!タンドリーチキン風の唐揚げ今度ウチでもやってみよっかなってくらいには美味しいし、売店の商品だから流石にちょっとだけ気になる点もあるけど、このピリ辛が気になる点をふっとばしてくれて、思わずビールで流し込みたくなるようなおいしさだ。
そんで鳥カツサンドはカツの衣がソースでしんなりしていて、カリカリ好きの私にはちょっと物足りないけどパサつきやすい鳥の肉がちゃんとジューシーで美味しくて、魔法で出したカラシを付けて食べると更に美味しかった。
それに、この景色よ。
「鳥見ながら食べる鳥サイコー、あぁ美味しいわぁ·····」
「サイコパスだなぁ·····いでっ!?」
私はフェニカに鳥出汁の離乳食をあげながらフィーロ君の脛を軽く蹴っ飛ばしたのだった。
ちなみにフェニカは鳥出汁の離乳食を喜んで食べていたが、なんかこの後のずっと鳥たちから視線を逸らされている気がしたのは私の気のせいだろう。
·····たぶん。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「おっ!ハシビロコウだ!ハシビロコウって滅多に動かない鳥でね、動いてるのを見れる方がレア····· あれ、おいなんで目を逸らした?いま明らかに私から目を逸らしたよね?いやめっちゃ走るじゃん!動かないって嘘だったの!?」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「あれ絶対にバレたくないから動かなかったのにソフィちゃんと目が合ったから逃げてるよなぁ····· 可哀そうに·····」




