立ち上がる新事業っ!
カチャカチャカチャ·····
カチッ、キルキルキルキル·····
コンッ!カンッ!パチンッ!
ピピピ·····
「よしっ!んじゃエビちゃんちょっとそこのドライバーとって」
「了解なのじゃ、·····どのドライバーじゃ?」
「魔導」
「了解、投げるぞ?」
「ういうい、っと、サンキュ」
私はエビちゃんから魔導ドライバー、魔法の力でネジなどの全体を掴みどんな工具穴のモノでも回せる上にサイコキネシスの応用で動かしているため普通のドライバーでは入れない狭い場所でも回せる万能ドライバーを受け取った。
そして手元にあった魔王城の工場で作成した魔族規格のネジをキャッチすると、上手く操作して魔導具の奥深くにある基盤のネジ穴に差し込み、スイッチを押して回転させた。
この回転用の魔法は独自の改造を施してあり、速度こそ出ないが相当なパワーは、つまりトルクが出るようになっているため、ネジは問題なくキュルキュルと回って魔導基盤を筐体にしっかり固定した。
「ふぅ、これでとりあえず完了かな?」
「流石はソフィじゃな、助かるのじゃ」
「んふふ、でもエビちゃんも役立ってるよ?というか修理の大半はやってるじゃん」
そう言えば説明し忘れてたわ、私たちは今、アルムちゃんの考えた新事業の手伝いをやっていたのだ。
その新事業と言うのが、『魔導具の修理』だ。
この世界には魔道具と魔導具の2種類が存在するのは前々からちょいちょい言っていたと思う。
前者の魔道具は人間が作った魔力で駆動する機械のようなイメージで、フィーロ君の実家で取り扱っているのも主に魔道具で、修理も容易にできる。
後者の魔導具は魔道具の元になった道具で、例えば魔族が世界中に撒き散らした高度な文明魔導機器や、ダンジョン産のなぜ動いてるか不明な道具、職人がたまたま作った魔法の効果を持つ道具などの人類が手出し出来ないレベルの物を指す道具だ。
いわばオーパーツみたいなモノだ。
そして後者はフィーロ君の実家の工場でも修理不可能で、基本的に壊れたら破棄か分解して貴重な素材を集めるしかないと言われている。
一応国の方では解析が進んでいて、簡単な道具であれば修理は可能っちゃ可能になっているらしいけど、一般人が修理に出せるようなレベルじゃないので壊れたら基本的に諦めるしかない。
「にしても、ホント沢山集めましたねタマヤンさん」
「そうじゃのぅ、魔王城でも滅多に無いモノとか製造しないと無いようなものまであるとは中々凄いのじゃ」
「せやろ?他の魔物たちに集めさせたんやからな!結構色々あるで!」
「なるほど·····」
そんでタイトルでも言った『新事業』は、この魔導具の修理サービスなのだ。
あっもちろん料金は取るよ?
この新事業の提案者はアルムちゃんだ。
実はタマヤンさんが沢山集めていた骨董品という名の魔導具類は、大半が故障してたり壊れていて動かなかったのだ。
それを知ったアルムちゃんはまずはフィーロ君の実家のアルス魔道具店に魔導具を持ち込むが修理できないと拒否され、丁度店番をしていたフィーロ君がソフィちゃんとエビちゃんなら直せるんじゃない?と言って、私の元に持ち込んできた。
そして私からエビちゃんに横流ししようとしてぶん殴られたけど、アルムちゃんが私とエビちゃんに仕事として魔導具の修理をしないかと提案されて、私たちは一応快諾したっていう流れだ。
「·····とりあえず直ったかな?起動っ!」
「·····何も反応ないで?」
「いやちゃんと動いてるよ、これ多分生ゴミとか可燃ゴミを入れないと動かないわ、ってことでエビちゃん入ってみて」
「そうそう、エビの殻とかは早ぅ捨てんとめちゃくちゃ臭うからのぅ、よし早速お邪魔するのじゃ!·····ソフィがな?タマヤンお主もこの生ゴミをバチ込むの手伝うのじゃ」
「ガッテンショウチや!」
「ちょっ!?まっ!入り切らないから!せめて細切れにしてから入れてぇぇぇっ!」
今私たちが修理して私がブチ込まれそうになっているのは、生ゴミなどの可燃物を脱水・圧縮して固形化して燃料にしてしまう魔導具だ。
多分宇宙空間でゴミをあまり出したくないからという理由で作られていた魔導具だろう。
でも入口はそこまで大きくなくて、ギリギリ私の頭が入る程度の大きさしかない。
まぁでも動けば私の頭をペシャンコにする程度の事は出来るので、絶賛大ピンチ·····
\うぃーん/
あっやば、動き出したし潰されはじめっ
「·····止まった?」
「ちっ、止まったのじゃ」
「なんで止まったんや?」
「多分だけど安全装置が付いてるんじゃないかな?間違って手を突っ込んだまま動かしても潰されないようになってるんだと思う」
「へぇ、便利やなぁ」
「今日はそれがアダになったのじゃ、うるさいコヤツのドタマかち割れなかったのじゃ」
「いやマジでやったら死ぬやろ!」
「うん死ぬけど?」
「まぁ死ぬのぅ」
「流石にふざけて殺すのはだめやろっ!」
「「えっ?」」
「はぁ?」
「だって私生き返るし」
「だってこやつ生き返るし」
「·····なんやこいつら」
·····流石に私たちのノリは独特すぎてついて来れなかったかぁ。
◇
とりあえずデモンストレーションで直したゴミ圧縮器は一旦置いて、私たちは休憩がてらアルムちゃんも交えて話をしていた。
「んじゃとりあえず私たちは運び込まれた魔導具の修理をやる感じでいいんだね?」
「そうそう、街の人に話を聞いたら魔導具はそこそこあるのに壊れたり不調が起きてる事が結構あるみたいだけど、週に1回あるかないかくらいだと思うよ!」
「確かアルスさん所で聞いた話やったな、週イチくらいで動かん魔導具が届くらしいで?」
「なるほど、それなら余裕そうじゃのぅ·····」
今のところ魔導具はタマヤンさんが今まで集めた動かない魔導具類を直す仕事が結構あるけど、落ち着いたらそこまで忙しくはなさそうな感じだったから私達も新規事業の手伝いをする事にしたって感じだ。
「あっそうそう、修理代だけど基本的に修理の難しさで変動させようと思う、今のだと3000円くらいかな?」
「ほほー、普通の魔道具の修理よりちと高いくらいやな、そのくらいで治るなら全然大丈夫や!」
「でも危険な魔導具とか魔族が作ったモノじゃなかったらちと高くなると思うのじゃ、特殊効果付きの武器とかはワシには直せぬからのぅ」
「そうそう、だから最低5万円とかになると思うよ」
「まぁ妥当やな、むしろ普通は直らん事を考えたら安いもんや」
「·····話は逸れちゃったけど、2人ともこれで受けてくれるかな?」
「私はいいよー、おまかせあれっ!」
「うむ、利益とかはまぁそちらに任せるのじゃ、·····じゃからと言ってタダ働きとかちょっとしか払わんとかは嫌じゃからな?」
「わかっとるわ!というか説明されてたやろ!」
「まぁ再確認だよ、んじゃ改めて宜しくねタマヤンさん、アルムちゃん」
「お、おぅ····· よろしく」
「よろしくお願いねー!」
って言うわけで、私たちはアルムちゃんの新事業の手伝いをする事になったのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「面白そうだし手伝う事にしたんだよっ☆ だって材料費ほぼゼロで直すだけでお金が入るんだからね!」
名前:エビちゃん
ひと言コメント
「ワシは修理で経験を積むためじゃな、丁度良いのじゃ」
名前:アルム
ひと言コメント
「我ながら良い事業を思いついたなぁ、えへへ····· 儲かるニオイ·····」
名前:タマヤン
ひと言コメント
「にしても、この2人凄いわぁ、直せんと思っとったモンをすぐに直してもうたわ····· 流石やなぁ」




