現地の魚は現地の人にお任せっ!
「んっけ!へではカプンっていううまな魚っけ!くえっけ!!」
「ほほー·····」
私とケモミミ少女のミナタはディメンションルームのキッチンに来て、何故か一緒に料理をしていた。
いやいきなりなんで?って思ったり、へなっけばな!って思うだろうけど、これには訳がある。
ミナタが気絶した後、私は釣竿を収めたり魚を保管したりおフェンたちを帰したりして、ミナタさんを乗せたまま宇宙戦艦『Gnade』を専用格納庫に格納し、VRのリヴァイアサンにビビって何故か伸び縮みていた彼女を船室から運び出してディメンションルームの私専用区画でちょっと様子を見ていた。
そしてしばらくすると彼女は起き上がり、開口一番に
『へげっけばってなっこったぱぁ!!!』
と叫んで辺りをきょろきょろ見回して、私を見つけるなりもはや言葉にするのが不可能な意味不明な言葉を発しまくって大興奮したのだ。
そんで落ち着かせてしばらくすると統一人類語をしゃべり始めて、どうやらサークレット王国に来たと勘違いしたそうで、ここは私の作った亜空間の部屋と伝えるとまた興奮し始め、落ち着かせるのが大変だった。
·····だが、大変なのはここからだった。
その様子をちょっとご覧いただこう。
◇
「って訳で、ここら辺の海で釣りしてたら魚と一緒にコレが釣れたって訳ね」
「へなっ!?アチシつられたなっけ!?さかなじゃなっけ!」
「·····ソフィちゃんってなんでいつも面倒事も釣りあげてくるの?」
「何言ってるか半分くらいわからない·····」
「そうね、でも獣耳族なんて珍しいわね」
「耳ピコピコして尻尾ぶんぶんしてるー」
「すっごい癖じゃのう·····」
「·····声デカい、うるさい」
「おもしろい、コピーしたい·····」
「またソフィが変なの拾って来た·····」
「なかなか面白い方ですね」
ミナタさんが目覚めると、とりあえず格好がメチャクチャ際どかったのでオーバーサイズのパーカーを着用させてみんなの所に連れてきて、魚と一緒に拾ったと伝えた。
そして反応は人それぞれだけど、うん、呆れられたわ。
「ま、まぁ、あのまま放置してたら元居た場所に帰しても結構な高確率で死んでたくらい衰弱してたし、戻っても身寄りがないというか他の村に嫁ぎに行ったけどいい相手が居なくて逃げて婿探しに出て行って帰る場所がないみたいだからさ?そんでこの国に来たかったみたいだし、体調が良くなるまで面倒を見るくらいいいでしょ?」
「へっげ早口だっけな!」
「まぁ僕はいいけど·····」
そんで私の渾身の早口での言い訳によって、フィーロ君を筆頭としたみんなも一応滞在を認めてくれて、彼女はしばらく私たちの所で厄介になる事になった。
◇
その後ちょとワチャワチャして、私はみんなの分のお昼ご飯を作ろうとしてトラブルが発生した。
この日の昼食はさっき釣ってきたばかりの魚を使う予定だったんだけど、知らない魚ばっかりでどれが美味しいのかとかどんな料理にすればいいのかとか全くわからなかったのだ。
そんでキッチンで悩んでいると·····
「あっ!サカナな!?えげなのあるっけ!!」
「ん?どういう意味です?」
「ちょっとまってっけ····· 『おいしいの沢山ある』であってっけ?」
「·····ほほぅ」
「てっぺの仕方わかんねっけ?アチシわかるって!」
なんとさっき拾ったミナタさんがキッチンにやってくると私が釣ったは良いがどう調理すればいいかわからなかった魚を見るなり興奮し始め、ちゃんとこっちの言葉で話してもらったところなんと魚種も調理方法も知っていると判明したのだ。
そこで私は彼女に料理の補佐をしてもらって魚の種類と調理法を教えてもらう事になって、冒頭に至るという訳だ。
◇
「こなは腹開いて骨とって皮剥いでザゲケで食うな!皮へなはへな臭いば!ボボベンでもへなしないげべばっぱへにゃら!!」
「·····わかりにくい」
「んげっけ!?どながわからないっけ?」
「ザゲケって何?」
「油で揚げんな料理っな、ハッペは生で食べんのには向いてないんな!」
「なるほど、素揚げか唐揚げか、刺身は微妙ね了解」
今さばいているのはよくわからん黒っぽいカワハギみたいな形のハッペと呼んでいる魚だそうで、話によると皮付近は『へな臭う』んだそうで、嗅いでみると確かにちょっと臭い気がしたので皮を剥いで軽く衣をつけて唐揚げにして食べることにした。
「それでコレは?」
「ヤンマっけ、アチシらが良く食べる魚っな!何してもふつーに美味いっけ!」
「ほほー····· 見た感じイワシとか青魚っぽいからこれも揚げちゃうかな」
「捌くのまかせっけ!アチシ得意だっけ!」
「おー、んじゃ任せるよ!」
今度は普通においしそうな結構沢山釣れたし群れを網で掬ったので大量に取れたアジとかイワシっぽい魚のヤンマについて聞いてみたけど、どうやら彼女の地元でよく食べられるアジ的な魚だったようで、とりあえず揚げて食べることにした。
そしてミナタが捌くと言うのでちょっと任せてみる事にした。
「いくっけ!しゅっ!」
\シュキンッ/
「えっ何それ」
だが早速変な事になった。
ミナタの親指の指先からナイフのように鋭い黒色の爪が現れたのだ。
そして彼女は何事もなかったかのように親指の爪でヤンマをするすると捌いてしまった。
見た感じ骨も楽々断ち切ってたから相当切れ味もありそうだし、全部の指から生えそうだから実際は狩りに使う物なのかもしれない。
「·····魔力で生み出してるのかな、なるほど」
「こげができると一人前の狩人だっけ!できて当然だっけ!」
「なるほど·····」
どうやら彼女の人種はこうして魔力で爪を生み出せる能力が備わっているようだ。
·····ん?
でもなんか、刃を魔力で生み出してるってより身体構造を変化させてる?獣耳族にそんな能力あったっけな·····
まぁそういうのも居てもおかしくないか、私なんて首モギモギしても生きてるし。
そんでまぁ彼女が捌いたような魚だったら何となく食べられるってわかるんだけど、彼女の真価が発揮されるのはマジで謎な魚の時だ。
「んでコレは何?」
「へなっ!?おま!んげあぶねっけ!!毒あるっけ!」
「えぇ、食べられそうなのに·····」
私が真っ赤で結構大きくておいしそうな魚を指さした途端、ミナタが慌て始めて毒があると言い始めた。
でも見た目真っ赤で美味しそうなんだけどなぁ·····
·····いやまて、身に覚えがある。
ナガジューミーバイ系の魚だなコイツ。
「どういう毒あるの?」
「食ったら身体しびれてゲーゲー吐いて死ぬっけ!アチシらも釣れたら逃がす危ない魚った!」
「·····シガテラ毒っぽい?なら大丈夫だわ」
「へなぁ!?」
「解析····· うん、確かに毒素を蓄積してるけどこれなら大丈夫、『無毒化』っと」
「そでけで食えるんな?」
どうやらシガテラ毒みたいなタイプの毒だったみたいで、これなら別にすぐに解毒できるので問題なかったし、普通においしそうだったので解毒して食べることにした。
そんで捌いて一口食べてみたけど、結構淡白だったからこれも揚げて甘酢あんかけで食べる事にした。
ちなみに私が解毒できないタイプの毒はバラムツみたいな人間に消化できない脂とかを含んでたり、身自体が劇薬みたいになってる魚は手のつけようが無いのであきらめている。
·····まぁ、バラムツは好きでよく食べていっつもトイレに籠ってるんだけどね。
「よし仕込み完了、エビちゃん揚げるのお願いー」
「任せるのじゃ!!」
「さてと、この中で生で食べておいしいのってある?」
「マグロだっけ!!こなが一番のごちそうだっけ!!!·····あっ!こ、こなあぶねっげ!!オジガヤ釣ったっけ!?でもうめぇやっげ!!揚げんのが一番へなっけ!!」
どうやら私が釣ったマグロは彼女たちにとっても御馳走な魚だったみたいで、ヨダレをダラダラ垂らして早速掴んで料理しようとしたら、手前に居たオジガヤことオニダルマオコゼ系の魚にビビって手を引っ込めながらも興奮していた。
もちろんオニダルマオコゼは後で唐揚げと出汁に使う予定だ。
「そんじゃコレとカツオは刺身と炙り&タタキで食べるかな、ついでに寿司も作るかぁ」
「サシミぃ?マグロったがぱわけにするのが一番んな!!」
「ぱわけ?」
「がぱわけっけ、かぱわけは生で食う食べ方っけ!」
「あぁ、なら刺身も生で食べる方法ですよ、私はそう呼んでるんです」
「·····ならいいっけ」
「ソフィ!追加で揚げるのがあるならとっとと捌いて寄越すのじゃ!」
「へーい、ちょいまちー、そうだ、私の本気も見せてあげるよ」
「おおー!見てみたいっけ!!」
って話をしてたらエビちゃんに文句を言われたのでさっさとオニダルマオコゼを捌くことにした。
私は星核合金製の包丁を掴んで魔法でオニダルマオコゼを浮かべてまな板の上に持ってくると、ヒレの毒針を魔法で全部焼き尽くして刺さらないようにして、水魔法で毒液を抜き取って水に流してあっという間に毒対策を終えた。
そんでひっくり返してお腹側のひれの裏から包丁を入れると、ブヨブヨして切りにくいはずの皮がスッと空気でも切っているかのように軽々切れ、クソ硬いはずの背骨も関節でもない部分を一発で切り落として頭を切断してしまった。
そして包丁に魔力を流しながら空中で包丁を軽く振ると、皮と身の間の接着を遠隔切断効果で一瞬で切り離して、尻尾の付け根を切断すると皮が一気に剝げた。
「へ、へなっけぇ····· すんごい技術だっけぇ·····」
「んふふ、包丁が凄いんだけどね、それじゃ三枚におろして軽く洗って切身にして····· エビちゃんできたよー!」
「飛ばせのじゃ」
「了解っ!」
そんでたった1分ほどで捌きにくいオニダルマオコゼを捌き終わると、完成した切身を魔法で飛ばしてエビちゃんの元に向かわせると、エビちゃんはそれを空中キャッチして片栗粉をまぶして熱せられた油の中にすぐに入れた。
義理だけど姉妹にしかできない見事な連携プレイに、ミナタはへなへな言いながら黙って見ているしかできなかった。
「さてとマグロも捌いちゃおっと!」
「へなぁ·····」
そして私はマグロもわずか5分で捌ききって刺身や寿司に仕上げたのを見て、ミナタは私の事を羨望のまなざしで見てきたのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「いやー現地の人がいてよかった!料理するの楽だったわぁ····· いよっ!お魚博士っ!」
名前:ミナタ
ひと言コメント
「そ、そな事言われてもへねっけぺげなげ!へないめってべってんげっけげ!!!·····ば、へじかだちゃっけぺ///」
名前:エビちゃん
ひと言コメント
「ワシは揚げ物が好きじゃからのぅ、自分でも極めたのじゃ、揚げだけならソフィにも負けぬぞ?·····まぁ天ぷらはソフィのヤツの方が上手じゃがのぅ」




