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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第六章 TS賢者は母になるっ!
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親が親なら子も子



「そこじゃ!いけっ!殴るのじゃ!」


「負けるなっ!くそ、動けないところを攻撃してくるなんて卑怯だっ!!」



『はにゃにゃー!!』

『うーっ!!』



\ポカスカポカスカッ/



「ケンカはダメだよフロウ、エヴィリンも止めなよ」

「そうだよ、ほらフェニカ涙目になってるじゃん、·····ソフィちゃん?」


「い、いや、これはどっちが可愛いくて強いかを決める仁義なき戦いで·····」

「そ、そうじゃぞ!フロウとフェニカが何やら勝手に戦い始めたのじゃ!」



 6月下旬のとある日の事、私とエビちゃんはディメンションルームのリビングで我が子同士のケンカを見て白熱していた。


 フェニカは生後約6ヶ月になりやっと1人で座れるようになってオモチャを掴んでぶんぶん振り回したり投げたり重力を反転させて浮かべたり天井に落としたりして遊ぶようになったんだけど、生後約8ヶ月になったエビちゃんの娘のフロウのお気に入りのガラガラを天井に落としてしまってケンカし始めたのだ。


 フェニカはまだ1人で座る事しかできないのに対し、フロウははいはいを覚えて動き回れるため圧倒的な不利だが、フェニカはなんと向いている方向を反転することで動き回りながら準お気に入りの私がメキシコで本番のタコスを食べに行った時に仲良くなったご機嫌なアミーゴ達からお土産で貰ったマラカスで殴ってくるフロウに対抗し、マラカスも奪おうと頑張っているのだ。



 そうそう、最近フェニカとフロウの性格の違いがわかり始めてきた。


 フロウは起きてる時は70%くらいの確率でオモチャを持って絶対に離そうとせず、ベビーベッドをのぞき込んだり顔を近付けるとオモチャでぶん殴ってきたり、はいはいを覚えてからは誰彼構わず突進し、微妙にとんがってるツノをぶっ刺してくるという、エビちゃんに似たかなり攻撃的な性格になっている。


 それに対しフェニカはこの歳から既に収集癖が爆発していて、ベビーベッドの外で座らせてたりするとオモチャを持って来てフェニカの周囲で遊ぶというか、自慢のオモチャを見せびらかしにきたっぽい感じのフロウのオモチャを奪って集めるという素晴らしい趣味を覚えたのだ。

 ちなみに一度手に入れた物は奪われるのが嫌なのか絶対に手放そうとせず、そのせいでベビーベッドはぬいぐるみやクッションや脱ぎ捨てられた服、赤ちゃん用のオモチャや私が安全だと判断したオモチャで埋まって酷い事になっている。



 そんで今日はついにフロウが超お気に入りのStielhandgranate 24みたいな形のガラガラ····· ドイツ軍が開発したM24型柄付手榴弾みたいな形のプラスチック製の紫色のガラガラを奪ってしまい、完全に怒ったフロウがケンカを仕掛けてきたのだ。


 ついでに私とエビちゃんも大ゲンカに発展し、どっちの我が子が強いかで戦い始めたのだ。



 そしてさっき看過できなくなった父親たちに回収されてしまい、フロウのガラガラは無事に返却され、私とエビちゃんは怒られたのだった。



「·····反省した?」


「「ハイ·····」」


「これからはボクたちじゃなくて自分たちでちゃんとケンカは止めてよね?じゃれ合いするのも成長に良いとかいう言い訳は通用しないよ?今のはじゃれ合いじゃなくて本気でケンカしてたのは明確だからね?こういう時はちゃんと止めてよね?」


「「ワカリマシタ·····」」



 確かにもし自分の子が怪我したら嫌なので、私もエビちゃんも一応ちゃんと反省して今度からはちゃんと止めるように心掛けたのだった。





 フェニカとフロウがケンカしてしばらくたち、時刻はお昼時になった。



\きゃっきゃっ/

\にゃううー/



「ったく、ほんとワシらに似ておるよな」


「だねぇ····· でも私みたいにガサツな性格までは受け継いでほしくないかなぁ·····」


「お主が自分の欠点を認めるとは珍しいのぅ、フロウに変な秘孔でもぶっ刺されたのじゃ?」


「ちゃうわ、まぁ、フェニカにはちゃんとした子に育ってほしいからさ、私たちは色々特殊だからせめて子供くらいは普通に育ってほしいなって思ってね」


「なるほどのぅ····· ワシも同じなのじゃ」



 私とエビちゃんは雑談しながらキッチンに立ち、料理をしていた。

 実はエビちゃんも最近はすっかり母親らしくなって料理を手伝ってくれるようになり、一緒にキッチンに立つ機会も増えてきたのだ。


 まぁ腕前は普通くらいだけど、手伝ってくれるだけでだいぶ助かっていたりする。



「そうじゃ、気が早いとはワシも思うのじゃが、お主は第2子はどうしようと考えておる?」


「あーそれね····· やべ指切り落としちゃった、まぁとりあえずフェニカが少し成長してからかなぁ····· 今はひとりで限界だからさ」


「そうじゃのぅ····· というかお主しれっと指切り落とすなのじゃ、汚いじゃろ」


「メンゴメンゴ、ほらもう治ったから大丈夫!それにこっち義手だし」


「いや義手とはいえ生身じゃろそれ」


「もちろん、まぁ魔力で作ってる義手だからへーきへーき、あれ切った指どこ行った?あったわ、ソーセージん中に混ざってた」


「·····まぁよい、ワシはラクトの寿命もあるからなるべく多く産みたいんじゃがのぅ、お主はどう思う?」


「いや私に聞かれても····· まぁそこまで生き急ぐ必要はないんじゃない?フロウが3歳になるくらいまで様子見してからでも間に合うと思うよ」


「難しいのぅ·····」



 なかよし組のみんなは既に全員人間を逸脱していて、ギリギリ人間の範疇に居るアルムちゃんに関しても勇者化したせいで死ぬかどうか怪しくなっているのだ。

 勇者って魔王がこの世に存在する限り寿命が存在しないらしいし·····


 そんでエビちゃんも元々めちゃくちゃ長寿なアマイモン種の魔族なのに更に魔神化したせいで寿命がどうなってるか予測不可能な状態になってるのだ。


 ちょっと話は反れたけど、私たちは寿命が無限にあっても彼氏はそうはいかない。

 フィーロ君だけは神化したせいで寿命が無限になったっぽいけど、エビちゃんの夫の私のお兄ちゃんや、ウナちゃんの夫のイルミア君、グラちゃんの彼氏でできちゃった婚を考えてるウェイザ君なんかはただの人間で寿命もせいぜい60歳くらいだろう。


 だから、エビちゃんは限られた時間で沢山一緒に居たいらしいのだ。


 でも無茶はしてほしくないから、事情は知ってても少し落ち着いてゆっくりするよう私は伝えた。



「·····もう一つ良いか?」


「はいはい?」


「酢豚にパイナップルは入れぬのか?」


「殺すぞテメェ」

「あぁん!?美味しいじゃろ!酢豚のパイナップル!!」


「絶対ないね、酢豚はパイナップルも野菜も無しで豚肉だけを黒酢のあんに絡めたのが正解に決まってんでしょ、あの黒くてテリのある酢豚と別添えでさっと揚げた野菜が付いてる酢豚が一番美味しいんだよっ!」


「お主の言っておるのは酢豚ではなく糖醋肉塊じゃろうが!!ワシのは咕咾肉で正統な酢豚なのじゃ!!!」


「はぁ!?あり得ないし!!こっちはこっちあっちはあっち!オーク肉を使ってる時点でどっちが正統とかそんなもん無いし!!」

「アッツアツの中華鍋で殴られたくなかったら大人しくパイナップルを入れろ!!」


「へぇ、いいんだ、へ~~~~???エビちゃんの嫌いなゴーヤ入れるけどいいの?どうする?パイナップル入れる?」


「おいワシが包丁を持ってる事は忘れてないじゃろうな、こっちの方が強いのじゃ、ほれ刺されたくなければさっさと酢豚にパイナップルを入れるのじゃ!!」


「脅迫だー!!殺人未遂犯に脅されてるぅぅぅぅぅうううううっ!!!へるぷみー!!!」

「何を叫んでおるのじゃお主は!!脅されるような事をしたお主が悪いんじゃろうが!!」


「あぁん!?テメェこのエビこんにゃろ!!エビチリにすっぞゴルァ!!!」

「ザッケンナコラー!誰がエビじゃ!ワシはエヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシスなのじゃ!!!耳の穴かっぽじって覚えろこのソピー!!」


『『うるさいっ!!』』


「「だってコイツが!!!」」


「·····ソフィちゃん、エビちゃん、アレキを泣かせたらタダじゃおかないんだけど、これ以上騒ぐ?」


「「うぐ·····」」



 私とエビちゃんは何故か急にシリアスムードから一変して酢豚にパイナップル論争になってまたケンカに発展し、ついにエビがキレて私に包丁を突き付けてきて、ヒートアップした私はエビちゃんを呼び捨てして海老と言って、海老と言われてキレたエビも反撃とばかりに罵詈雑言をぶちまけてきて取っ組み合いのケンカが始まろうとしていた。


 だがそこへ、今日の昼からしばらくの間休養にやってくる予定だったウナちゃんとイルミア君と2人の子供のアレキ君がいつの間にか来ていたようで、ウナちゃんがマジギレした顔でキッチンに入ってきて私たちをゴミを見るような目で見下すと、私たちは反論できなくなった。


 何せ、ウナちゃんのあのイラつき具合とマジギレした顔に私たちは見覚えが·····いや、身に覚えがあったからだ。



「あのさ、2人とも赤ちゃん以下のケンカして恥ずかしくないの?エビちゃんは18歳でソフィちゃんは17歳ってもう結構いい歳だからね?バカなの?赤ちゃん同士の喧嘩の方がよっぽどちゃんとしてるよ?あっそっか、バカじゃないとこんなケンカしないもんね、ごめんね2人とも、バカ同士のケンカ続けてていいよ」


「「·····」」



 猛毒モードのウナちゃんに、私たちは何も反論できなかった。



 アレは確実に、なかなか寝ない我が子にイラついてるけどぶつける事も出来ない怒りが溜まって寝不足と合わさって相当イラ付いてる時の顔だ·····



 ああなったらもう手のつけようが無い、私たちができるのは嵐が過ぎ去るのを待つようにキッチンで震えながら糖醋肉塊と咕咾肉の二種類の酢豚を作るしかできないのだ。



 って訳で、私とエビちゃんはケンカを止めておとなしくみんなのお昼ご飯を作るのだった。



名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「ウナちゃん怖っ····· うーん····· 最近ネトゲで煽られすぎて性格のドス黒さが表に出始めてるし、そろそろネットゲーム制限させるべきかな····· そうしよ、育児にも悪影響でそうだし」


名前:エビちゃん

ひと言コメント

「ウナの本気の罵倒はグラの屋敷の罵倒執事よりもエグいからのぅ····· あやつは遠回しに罵倒してくるのじゃが、ウナがキレると真正面から顔面をぶん殴ってくるような罵倒をしてくるのじゃ····· 普段は温厚じゃからマジで怖いのじゃ·····」


名前:フィーロ

ひと言コメント

「んっ、くふっ····· だ、だめだ僕、ソフィちゃんとエビちゃんの喧嘩がフェニカとフロウにそっくりで、ぶふっ!耐えっ、耐えきれなっ、ふはっ!」


名前:ラクト

ひと言コメント

「えっ?·····た、確かにっ、あはふっ、ダメだよフィーロ君、笑ってたら、2人ともスネちゃうからっぶっふっ!!あはははっ、あっスネちゃった·····」


名前:ウナちゃん

ひと言コメント

「あーもう、かんっぜんにキレた、腹立つ」


名前:イルミア君

ひと言コメント

「お、落ち着いてください、ええと、ぼっ、僕はどうすれば·····」


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