Signal『に,ほ,は,は,と』
それは調査隊が謎の巨大戦艦と交流を開始しようと船外ホログラム映像表示装置を起動しようとした瞬間発生した。
~♪~♪~♪~♪~♪
音が伝わらないはずの宇宙空間で音が聞こえてきたのだ。
それも隕石の衝突などではない、確実にあの巨大戦艦から発せられた人工音だ。
『なんだ!?』
『シグナル受信!これは·····音階です!』
『解析班は何かわかったか?』
『解析中ですが、当該惑星の主要言語では現状解析不能です』
『そうか····· だが少なくとも交流するつもりはあるとみていいかもしれないな』
そう、巨大宇宙戦艦に乗る惑星の住人は彼の予想通り交流しようとしていた。
◇
「やっぱダメかぁ、れ~み~ど~ど~そ~、ってやってみたかっただけだから仕方ないねっ☆」
私はSF映画のマネをしてちょっと悪ふざけをしていたのだ。
特に意味はないけど、膠着状態だったしさっさと交流を始めたいからとりあえず魔力をアッチの機体にブチ当てて空気を振動させて音階を再現してみた結果、中がだいぶ慌ただしく動いてるから事態は進展しそうだ。
って思ってたら、ちょっとアダムスキー型のUFOに近い形の半円状の宇宙生命体連合の探査船の上部から巨大なホログラムの画面が表示された。
「おっ!交流開始かな?」
そして画面にはまず最初にナヴェリアさんの宇宙船にも引っ付いてたエンブレムと同じアイコンが表示された。
六角形の内部にヘキサグラムと中央に星を表す円があるから、ナヴェリアさんから聞いていた宇宙生命体連合のエンブレムとみて間違いないだろう。
エンブレムが消えると、画面に10種類くらいの記号で書かれた文字列が並んで表示された。
「なるほど、言語は調査済みって訳ね」
その中でも上から2番目にはこの星の言語『統一人類語』が表示されており、その一個下にはナヴェリアさんの星の言語、一番上は多分宇宙生命体連合が使っている宇宙共通語で、他は多分統一人類以外の国の言葉だろう。
そして書かれている内容は、まだ言語解析が完全ではないのかだいぶ拙いけど
『我ら 友人 挨拶 求む』
と書かれていた。
実際は『ワレたち、ともだち、こんにちは、ください』って感じだったけど、ちょっとカッコよく翻訳してみた。
「さてと、返事しよっと、まずはシグナル『にほははと』を送信っ!続いて照明点灯、点滅2回!」
文章を読んだ私は返事としてまずは最初に送信したのと同じシグナルを送信すると、続いて機体左右にあるライトを弱めに光らせて2番目の言語って伝わればいいなぁって思って2回点滅さてみた。
すると向こうのホログラムの表示にも変化があり、統一人類の文字が点滅し始めた。
どうやら意図は伝わったみたいだ。
という訳で私は返事にひときわ強くライトを光らせると、向こうもこの言語でいいと認識したのか一旦文字を全部消して、本格的に交流が開始された。
「えーっと?なになに?我々は交友を結びに来た、平和的な交渉を望む·····か、了承は点滅1回、拒否は2回、わからないは3回ね、んじゃ1回発光」
私はライトを一回発光させて了承の意を伝えた。
すると向こうの船内が慌たださが落ち着いたというか、こっちが友好的な存在とわかって一安心して歓喜しているようだ。
そんでちょっとするとホログラムの表示が切り替わった。
「貴方がこの星の代表ですか?·····いや別に私ただの一般町民だからノーかな」
この質問には2回発光させて否定した。
だって私、ただの趣味で宇宙戦艦作ってきただけだし。
この星の代表とか嫌だわ、めんどくさい。
「おっ次きた、ふんふん····· 宇宙生命体連合は知ってるか?YES!」
「ん?加盟?NO!」
「加盟の意志は?3回点滅、一回休んで1回」
「ありゃ?直接話がしたい?しょうがないなぁ·····」
って感じで会話してたら、向こうが直接話したいと言って来た。
なので私はこちらもホログラムを出して『ちょっとまってね☆』って表示させてから艦橋から移動して、船体下部の頭蓋骨の下あたりにせり出した展望デッキへやってくるとエアロックを経由して宇宙空間に飛び出した。
◇
『隊長!対象艦より何かがこちらへ····· へ、変です!』
『どうした?』
『とっ、当該惑星に生息する知性生命体が飛び出してきました!』
『おお、交渉しに来てくれるのか、ありがたい』
『違います!生身で·····\バンッ!/ ひぃっ!?』
『うおっ!?』
調査隊が未知の巨大戦艦との交流を行っていると、戦艦の前にホログラムが出現し『少し待て』と表示された。
そしてしばらくすると、調査隊の一人が慌てふためき、そして·····
\バンバンバンバンッ!!!/
『あぁ、窓に!窓に!』
『落ち着け、入口が分からないから案内してほしいんだろう、見た所武器は所持していないようだ、·····宇宙服の着用も認められないが』
調査船の広い窓に、調査対象の惑星の知的生命体の雌個体と思わしき人型生命体が張り付き、窓をバンバン叩いてきたのだ。
窓は隕石などに対応して相当分厚いはずなのだが、それを貫通して音がなるほど強くたたいているあたり力がエグいのだが調査隊はあまりの異常さに気が付いていなかった。
『船外活動班聞こえるか、窓の外の彼女をハッチに案内してやれ、念の為武装は忘れるな』
『了解』
私は窓をバンバン叩いていると、船外活動服を着た人がやってきて私に付いてくるようにと書かれた板を見せてきたので、私は飛行魔法を使って付いていくとエアロックらしき場所に案内された。
そして何か色々ボタンを押すとエアロックが開き、中に入れてくれた。
プシュゥゥゥゥウウウウ·····
入ってすぐの所は玄関のような広いホールで、船外活動服や機械などが多く並べられ、ロッカーらしきものやベンチなどもあって、なんとなくサッカーとかのロッカールームっぽさもあった。
そんで空間属性の魔力も感じるから、内部空間は拡張されてるとみて間違いないだろう。
「おー息ができる、でもちょっと酸素濃度が低いかな?少し窒素が多いか·····」
『ーーーーーーーーー』
「およ?あっ調査隊のリーダーかな?えーっと····· 『はじめまして、ソフィ・シュテインです』、これで伝わるかな?」
内部を見渡していると、奥のスライドドアが開いてリーダーらしきナイスガイと、白衣っぽい研究服に身を包んだキリリとした目つきとメガネが特徴的なクールな美女の研究者っぽい人と、その他大勢と、レーザー銃っぽい銃を持った護衛が数人入ってきて何か話しかけてきた。
でも何言ってんのかわかんないから、私はスマホに文字を入力して見せた。
すると向こうもデカいスマホ的な装置に何かを書き込み、私に見せてきた。
「ほほー、ルッダーさんって言うんだ」
どうやら自己紹介で返してきたようだ。
「あーあー、『さて本題ですけど、実は調査の件については事前に惑星ガガプの人たちに聞いているので私はその確認と調査隊の皆さんにご挨拶に来ました』」
「·····喋れるのか!?」
「言語データをインストールしたんで喋れますよ!惑星パヴェルはオヤツの星、みたいなジョークも言えるレベルですから普通に話してもらって大丈夫ですよ」
「超高度知的生命体か·····?」
ちなみに惑星パヴェルはとある星系にある惑星で、なんと赤道が全部海でそれ以外は陸というヘンテコな惑星で、宇宙共通語でそういう星を『ГвUβд』って言うんだけど、お菓子の発音が『ГвQβп』とよく似ているためダジャレ的な意味で使われている言葉遊びだそうだ。
「まぁ頭はいいというかなんというか····· とりあえず立ち話もアレなんで会議室とか行きません?あるんでしょう?」
「わかった、交渉がスムーズにいくならこちらも歓迎だ、パヴェルとお菓子どちらがいい?」
「んふふ、お菓子でお願いします」
·····なるへそ、ジョークが伝わるタイプの人ね。
良かった、下手にウケ狙いで行動して誤解されて宇宙戦争になったら大変な事になる所だった。
この感じだと結構いいひとかもしれないし、お茶でも飲ませてもらいながら話でもしよっかな。
◇
という訳で私は会議室みたいな場所に案内されて、しかもお茶とお菓子まで出してくれて結構いい待遇で会談をすることになった。
「あっ美味しい·····」
「それが惑星パヴェルの名物パヴェッツォだ、うまいだろ」
「マカロンみたいな感じで美味しいな····· 真ん中にクリームを挟んで中央の海を再現してるんだ」
ちなみにお菓子は件の惑星パヴェルの名物土産だそうで、フレグランスな香りがするお茶とよく合って結構おいしかった。
ってそうじゃない、交渉しなきゃ。
「っと、ついリラックスしちゃいました、えーっと、私はこの星のここにある島国のサークレット王国っていう場所に住んでる一般人のソフィ・シュテインって言います」
「改めて自己紹介か、俺は宇宙生命体連合知的生命体生息惑星文明調査隊の第三隊団長のルッダーだ、惑星ガガプの民からЦクラスの知的生命体が生息する惑星を発見したと報告があり、本部からの命を受け調査に来た、目的はあくまでも調査で侵略などの意図は無い、安心してくれて大丈夫だ」
「もちろんわかってますよ、ただもし攻めてきたときは容赦しないんでヨロシクです」
「わかった、では早速だが····· 一般人がなぜあんな巨大な船を所持している?調査ではあのような高度な文明の、あのクラスの宇宙艦を建造するには少なくともЭ7クラスの文明でなければ不可能なはずだが·····」
「Э7クラスってどのくらいです?」
「すまない、わからなくて当然だよな、Э7クラスは文明の発達度を示す指標の一つだ、Э7は超光速航行による恒星間移動を容易に行え、空間超越航法に必要な技術を開発可能なクラスだ、貴女の星は暫定だがЦ4クラス、国を作り文明がある程度発達し、車輪や建築技術や魔導技術などが一般レベルにまで普及し発展したクラスだ、しかしあの戦艦は文明クラスから逸脱しているオーバーテクノロジーなのだが·····」
「なるほど····· ちなみにあの戦艦は趣味で作った物です、他にも人型のロボットとか航空機とか作って遊んでますよ」
「もしかしてだが、『惑星サイトーシス』の末裔か? ガガプの民から『ファゴス王家』がこの星に降り立ったとの報告を受けているのだが·····」
「私は違いますけど、この星にファゴサイトーシス家の船が降り立ったのは事実ですね」
「本当か!?いやすまない、少し興奮してしまった」
「大丈夫ですよ、まぁ話を戻して、文明の調査とかなら手伝いますし、私はサークレット王国にある町の町長の娘なんで地上用の拠点を融通するくらいならできますよ、他にも何かお困りの事があったら言ってくれれば手伝います」
「それはありがたいな·····」
なんか盛り上がっちゃって話は反れたけど、私と調査隊はこの星で初のコンタクトを取る事になったのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「元々来るのわかってたし、既知との遭遇かなぁ····· まぁこの時のために惑星観光ガイドブック····· やべこれじゃないわ『独立記念日』のパンフレットだったわ、えーっと····· やべ家に置いてきちゃったかな、一応惑星報告書みたいなの作っておいたんだけどなぁ····· 後で渡そうっと」
名前:ルッダー
役職:宇宙生命体連合知的生命体生息惑星文明調査隊 第三隊 隊長
ひと言コメント
「これはちょっと今までと違いすぎるな、ふっ、なかなか面白そうだな、交渉のし甲斐がありそうだ」




