万能航空宇宙魔導艦『Gnade』
キュィィィィィィイイイイン·····
ピピッ ゥォォオオ
ピロン オ
カチッ オ
カタカタカタ オ
ピッピッ オ
カチンッ グォォン
「頭蓋腔内艦橋の戦闘艦橋形態への移行完了、補機魔導縮退炉への常温極圧縮DHMO結晶体燃料の生成量及び投入量を3%増加····· 魔導縮退炉の出力安定を確認、魔結晶バッテリーへの充填99.98%、規定値を突破、FlyWhaleCORE魔力充填78.3%·····バッテリーへの魔力流路A10から15までをコア充填用流路に接続、魔導縮退炉からの出力の30%を追加····· 充填率98.8%を突破、FlyWhaleCORE再起動を確認、脊椎魔導神経連動システム最終接続確認·····良好、主制御システム起動準備、艦体浮遊用重力魔法の制御開始、脊椎魔導経路接続準備を最終段階へ」
私は薄暗いプラネタリウムのような全天型ドーム状の空間の中にある武骨な宇宙船の操舵室のような場所で、宇宙服を身にまとった私は独り言のように確認事項を声に出しながら作業を進めていた。
「続いて各種機能のチェック、魔導障壁展開システムを確認、主機及び補機出力及び流路安定、魔導力加速推進システムオールグリーン、対消滅式反動推進エンジン制御システム確認完了、全隔壁閉鎖、耐圧チェックオールグリーン、艦内空間の重力を通常重力空間から分離、艦内重力を0.98に固定」
「艦橋内にエーテル粒子ガスを濃度57%で充填、魔力量問題なし、魔力超伝導システム目標冷却温度を突破、主機接続システム起動」
ぃぃぃぃいいいいいいん·····
「エーテル粒子魔導励起正常、エーテル粒子への実写空間投影ホログラムモニタ展開、時空間立体制御システム起動、制御系統へのアカシックレコード接続開始、pass『TRINITY』、主制御システムをアカシックレコードへ移行、艦体操作システム用演算をスタート」
ウォォォオン·····
クィィィイインッ
ガキンッ
私は床からせり出した格納式の座席から腰を上げると、いよいよコイツの発進に取り掛かった。
「よしっ!全システム起動っ!!主機『賢者の石』出力を規定値まで上昇·····完了!主モニタ投影開始!」
キュラララララララララッッッ
ギャオンッ!!
「主モニタ明度70、サブホログラムモニタ明度20で固定」
賢者の石から生産される無尽蔵の魔力と、補機である魔導縮退炉から爆発的に放出される魔力を『賢者の石』の魔力制御能力によって制御し、莫大な魔力を全長3km近い巨大な艦全体へと行き渡らせ、アカシックレコードに直接接続された主制御システムが起動した事で一気に艦体の制御が開始し、暗かったこのフライホエールの頭蓋内に作られた艦橋に千里眼システムを流用した全方位映像が表示され、外の様子が写り込んだことで一気に明るくなった。
「重力魔法式姿勢制御システムの最終確認·····完了、重力魔法及び機体制御システム作動ッ!!魔力量臨界点を突破、フライホエールの魔石への強制流入装置の安全装置全開放!カウント省略、強制流入開始ッ!!!」
ガッゴォォアアアアンッ!!
キュォォォォォォオオオオオオオオオオンッ!!
「うっく·····ッ!凄いエネルギー衝撃波·····ッ!!っし!FlyWhaleCORE超魔導励起・疑似四次元状態への遷移変化を確認!」
そして魔改造して『叡智の結晶』を組み込まれたフライホエールの魔石に過剰な量の魔力を流し込むと、魔石が励起し書き込まれた魔導回路が結晶構造を4次元に近い物へと変化させ、発現した4次元魔導回路によぬてアカシックレコードと接続、アカシックレコードによる主制御システムからの指令により重力魔法が発生し、新造した星核合金製の骨髄の魔力流路を通って全体に重力魔法がいきわたると私が改造し更に高効率になった反重力魔法によって、ドックの天井から吊るされていた機体が浮かび上がった。
ピピピピピッ
「よし、行ける!!ゲートオープン!艦体拘束具全解除!」
ズゥゥゥゥウウウウウウンッ
そして発進準備が完了したのを確認すると、私は格納庫内から現世へ続く巨大なゲートを開いて、天井から吊るされていた固定部分を外し、自立制御でのホバリングを開始させた。
だが固定が解除された瞬間、機体が一瞬高度を大きく下げた拍子に艦内も激しく揺れてしまった。
どうやら艦橋内部の重力制御が甘かったらしい。
「っとと、結構揺れるなぁ····· 艦橋内重力制御レベル+0.5、姿勢制御システムの精度を15%上昇」
って訳で制御システムの精度を向上すると揺れは収まって姿勢制御も大分安定した。
これなら発進しても問題なさそうだ。
「よしっ!主機出力上昇っ!!」
キィィィィイイイイイイイイイイイインッ!!!!
私はメイン推進システムである魔導力加速推進システムを起動すると、機体後部に巨大な光の環が出現し、数万トンはある機体が動き始めた。
「第四浮遊島改め、宇宙戦艦『Gnade』、発ッ進ッ!!」
ズッドォォォォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオンッッッ!!!!
そして私の合図とともにメイン推進システムの推進力が一気に上昇し、機体は瞬く間に従来の浮遊島の倍以上の速度まで達し、ゲートをくぐって太陽の下にその機体を晒した。
その見た目はまるで武装したクジラのような、機械でできたクジラのような何かとしか言いようがない、武骨な宇宙戦艦だ。
全長2.5km 横幅0.8km 翼を含めた幅2kmという超巨大な空飛ぶ勇魚が太陽の下に完全に現れると、強力な重力魔法により惑星の重力を振り切り、物理法則を無視して悠々と空を飛び始めた。
「んふふ····· よし、早速挨拶にでも行くかな」
だが今日の目的はただ単に空を飛ぶためじゃない、衛星軌道に用があるのだ。
「目標は衛星軌道に当たる高度5000kmにある所属不明の宇宙船!予想位置の確認····· 主モニターに表示、該当箇所を光学望遠システムで拡大、·····居た、光学的に確認、目標は対地高度約230kmで静止中、目標に動きは無し」
「艦首角度上昇、最大角度73度!メイン魔導力推進システム推力上昇!目標第一宇宙速度!!いっけぇぇぇええええええええっ!!!」
ギュァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!
私は宇宙へ向かうため艦首を上に向けると、機体制御システムの飛翔魔法を発動させ、その巨体ではあり得ない程の速度で空の彼方へと向かって飛び立っていった。
◇
ビーッ!ビーッ!ビーッ!!
『隊長!Σ67付近から未確認物体が高速で接近中です!』
『なに!?隕石か!』
『ち、違います!モンスター·····いや、人工物です!!こちらへ向けて接近中!』
『は、はぁ!?速度、·····びょっ!秒速30km!?』
『相当な速さだな·····』
『大きさが判明し····· は、幅2km!?』
『·····なんだと?間違いじゃないのか』
『ま、間違いないです!あっ、観測機に映りました!!メインモニターに映像を回します!』
とある宇宙船の中は突如現れた巨大な人工飛行物体によって大騒ぎになっていた。
先日新たに発見されたという人型生命体が住む惑星への調査へとやって来ていた彼ら宇宙生命体連合の調査隊による調査では、この星の文明は大気圏内での航空機もほぼ開発されていない原住民と言っても過言ではない程度の文明しかない惑星だったはずなのだが、突如全く未知の超技術で作成された巨大戦艦が現れたのだから、大騒ぎにならない方がおかしいのだ。
そして、それは現れた。
『で、デカい····· 桁外れにデカいぞ·····』
『これは超ガデュル級戦艦並みの大きさだ·····』
『·····生命体の骨格を使用しているように見えますね』
『武装は·····目視では確認できないな、魔導攻撃をメインとしている可能性もある、念のためワープの準備と魔導障壁を展開しておこう』
『き、機体上部に恒星を遥かに超える魔力反応がありますっ!!?な、なんですかこれ!?』
『解析班から連絡!機体全体に観測用魔力線を捻じ曲げるほどの超高密度の結界が展開されています!光学的にしか確認できません!』
『観測機器、爆発!?対象の魔力炉の推定出力が桁違いすぎて観測できません!対象の推定魔力量、無限大です!!』
『推進システムも全くの未知の技術との事です!艦体の特徴を解析した結果宇宙生命体連合に登録されたどの星の形式とも合致しません!オリジナルの艦です!!』
『凄いな、想定をはるかに超える技術力じゃないか·····』
イメル級惑星探査艦のモニタではない窓の外に、見上げるほどの超巨大な戦艦が姿を現した。
この探査艦に、目の前にいる巨大戦艦の持ち主が居たらこういうだろう。
「ダイビングしてたら目の前にシロナガスクジラが現れたみたいだなぁ·····」
と·····
正にその通りで、この探査艦は直径100mと探査艦の中ではかなり巨大な方で、内部空間は時空魔力により拡張されているため実際にはもっと広い長期探査用の設備が整った比較的大型の探査艦なのだが、目の前の戦艦はそれを遥かに超える大きさを誇っていた。
更に、数々の星々から集めた技術力をもってしても、目の前の艦は全くの正体不明と判断せざるを得ない程の超技術が使われているという事しかわからなかった。
『·····敵対的かどうかわかるか?』
『わかりません、未確認艦は当艦体よりG25方向、距離Б309にて静止中です』
『コンタクトを取るべきか?惑星φ1987627のような惨劇が繰り広げられる可能性もあるが·····』
『それを調査するのも我々の役目です、やりましょう、隊長』
『あぁ、皆、遺言はちゃんと記録したか?』
『しましたが、僕としては遺言ではなく吉報を皆に伝えたいですね』
『·····そうだな、よしやるぞ!言語解析班、当該惑星の言語はどれくらい把握できている』
『来たばかりなのでまだ····· ですが基本的な言語データの解析には成功しています、最も普遍的に使われているであろう言語を推測し、重点的に解析をしています』
『結論から言ってくれないか?』
『Ж3クラスの交流程度であれば可能です』
『そうか、それなら俺に任せろ』
『隊長がやってくれるならありがたいですね、100の未発見知的生命体と交渉し友好条約を結んだ貴方の実力に、私たちの命を預けます』
『『隊長!』』
『おいおい、仰々しく言わないでくれよ、まだ死ぬって訳じゃないんだからさ、だからとっととシステムを艦長席に回せ、俺に任せな』
『は、はいっ!』
そして、宇宙生命体連合と未開の惑星から突如現れた巨大戦艦との交流が始まろうとしていた。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「おー焦ってる焦ってる、やっぱりナヴェリアさんが言ってた宇宙生命体連合の惑星観測部隊だったかぁ、さてと、そろそろ私も交流の準備でも進めよっかな」
名前:???
仮称:『隊長』
ひと言コメント
『こりゃヤベェな····· 流石の俺でも見た事ないぞ····· まさか、ガガプの民が報告の際に言っていた惑星サイトーシスの噂は本当なのか?これは確かめる必要があるな·····』




