未来を担う王子様
今日は3月14日、フェニカは生後2ヶ月を超えて声を出してキャッキャッとよく笑うようになり、フロウは寝がえりをしたり笑顔が増えて感情がわかるようになってきて離乳食を食べ始めた頃で、トウマはまだ生後1か月程度だけどだいぶ成長が早くてグラちゃんとウェイザ君をちゃんと親と認識して元気いっぱいに成長中だ。
·····そして今日、なかよし組に四人目の子供が加わろうとしていた。
「いたたたたたたっ、痛いっ、うむぅぅぅぅ·····」
「·····ウナちゃんというかウェアちゃんは別人だから大丈夫じゃないの?」
「痛さが、伝わってくるの·····」
「なるほどね」
そう、ついにウナちゃんが産気づいて出産を始めたのだ!
ちなみに産気づいたのは昨日の真夜中の10時くらいで、朝になってようやく分娩に入って今は頑張っているのを私たちが見届けている所だ·····ったはずだった。
えーっと、一応私も現地に居たんだけど、流石にウナちゃんの次の王が産まれるのに部外者を入れるわけにはいかなかったみたいで追い出されちゃったのよね。
大親友の私でもダメ·····?って国王様に直訴したけどダメだった。
だからこうしてディメンションルームで本人に実況してもらってるって訳だ。
でもだいぶ辛そうだし、痛みがこっちにいるウェアちゃんにも伝搬してきてだいぶ辛いみたいで安静にしながらラーちゃんとサーちゃんの手助けを受けながら実況をしている。
「·····そうだ、痛み止めの魔法をウェアちゃんに掛けてさ、ウナちゃんにそれを共有とかできないの?」
「できるけど、痛い·····」
「おっけー!任せて!『鎮痛:強』っ!」
かなり辛そうだったので私はなんだかんだ全員お世話になっている鎮痛魔法をぶっ放して、魂を経由してウェアちゃん経由でウナちゃんに効果を伝搬させた。
するとあっという間に魔法が効いたのか、ウナちゃん経由でウェアちゃんまで表情がだいぶ楽になって落ち着いたようだ。
「大丈夫?」
「うん····· こんな大変だったんだね·····」
「まぁね、それにウナちゃんは特に体が小さいからだいぶ辛いんじゃない?」
「かなり大変かも·····」
ウナちゃんは身長151cm程度と私たちなかよし組の中でもトップクラスに小柄で、成長途中のチェルや純ドワーフのリリアを除けば一番小さいだろう。
·····ちなみにミカちゃんは出会った時の身長139.8cmから全く変わってないので成長がストップしているのだろう。
一応頑張れば一時的に身長155cmくらいにはできるらしいけど、普段はちっこいままだ。
なんでも『小さい方がベッドがより大きく感じられるしご飯も沢山食べなくていいから楽』って言う理由で小さい体を維持しているらしい。
まぁこの一大事だってのにぐっすり寝てる寝坊助の事は放っておくとして·····
ウナちゃんは体格が小さい分、出産にもだいぶ苦戦しているみたいだ。
ヤバそうだったら私が手伝うかなぁ·····
「まぁ私たちができるのはアドバイスと応援くらいだから何でも聞いてね!」
「うん、·····早く産むにはどうしたらいいかな?」
「気合しかないのぅ、ふんっ!ってやるのじゃ」
「エビちゃんそれ無理だから、死ぬから」
「わかっておる、じゃから地道にリラックスしながら頑張るしかないのぅ·····」
「うへぇ····· がんばろ·····」
「がんばれ~」
◇
その後しばらくして·····
「ねむい····· きつい····· つらい·····」
「大丈夫?そういえば昨日の夜からほとんど寝てないんだっけ?」
「うん·····」
ウナちゃんの陣痛が始まったのは昨晩22時ごろで、そこからずっと痛みでなかなか眠れず、そのまま夜が明けて即出産に入ってしまったためだいぶキツそうだった。
眠さで意識が飛びそうなのに痛みで寝れないし、しかも起きてちゃんと出産に向き合わなきゃいけないから本当に大変なようだ。
「それは辛いわね·····」
「だからラーちゃんとサーちゃんがそこで寝てたんだ、なるほどー」
「一人で四倍動けるからできる荒業じゃのぅ·····」
「ん、ねるのは大事、一日16時間は寝るべき」
「ミカちゃん流石にそれは寝すぎだよ」
でもウナちゃんは裏技を使ってなんとか眠気を飛ばしている·····というか、睡眠をとっているのだ。
それがウナちゃんの同一個体のラーちゃんとサーちゃんが眠る事でガッツリ睡眠を取って睡眠不足を解消中らしいのだ。
イルカみたいだけど、どうやら無事に睡眠はとれてるみたいなので大丈夫だと思う。
「他に何か必要なモノは?」
「うーん····· 特にないかなぁ·····」
「了解、頑張ってね、何かあったらすぐに報告してよ?」
「うんっ!·····あっ!」
「どうしたの?」
「産まれた!」
『『·····え?』』
「·····へっ?えっ、早くない?1時間ちょっとしか経ってなくない?」
「なんかラーちゃんが空間魔法使って手伝ってくれたの!ありがとねラーちゃん!」
「·····ま、まぁ、えっと、おめでとう?」
「ありがとうっ!!」
·····マジで?
ちょっと千里眼で覗き見しちゃお·····
「·····うわマジだっ!?」
「ホント!?おめでとうウナちゃん!」
「イルミア君も僕と一緒でお父さんかぁ·····」
「めでたいわね、おめでとうウナ」
「うむ、割と楽で良かったではないか、じゃが本番はここからじゃぞ?」
「ん、おめでと」
なんか状況がイマイチつかめてないし、あっちに集中してるのかウェアちゃんもだいぶ静かになってしまったがどうやら無事に出産を終えたようだった。
·····あれ?
「ウェアちゃーん、ウナちゃん大丈夫?」
「·····大丈夫じゃないかも、寝ちゃったというか気絶しちゃった」
「マジか、治す?」
「な、なんとかしてみる」
赤ちゃんは無事に産まれて立派な男の子で周囲が大歓喜してるけど、肝心のウナちゃんがちょっとヤバそうだ。
疲れと眠気と痛さと安心感で気絶してしまったようだし、ちと危険な状況かもしれない。
どうやら今は唯一起きているウェアちゃんが必死にウナちゃんを起こそうと頑張っているけど、なかなか起きる気配はなさそうだ。
「·····出血はそこそこあるか、レミアの出番は来るかな」
「来ないといいなぁ····· なんかやだし」
ちなみに実はレミアだけ出産に立ち会ってるのよね。
理由だけど、レミアは誰にでも輸血できる万能血液を持ってるから、万が一に備えてすぐに輸血が出来るようにギルドからSランク依頼として指名で出されてたのよ。
·····まぁなんか、うん、あんま輸血されたくない気持ちはわかる。
レミアすんげぇ嫌がってたし、私以外に血を捧げるの。
苦渋の決断で、今まで一滴も渡してなかった私の血液を小瓶で2つあげたら渋々行ってくれたけどさ·····
「あっ勝手に治癒し始めた」
「ほんとだ、止められてるけど強行してる·····」
「このままじゃ自分の血を輸血する事になるからそうなる前に治す気だなアレ····· 帰ってきたらゲンコツ喰らわせよ」
で、そのレミアだけど若干納得してなかったのか輸血を避けるため、王都の治療院の超ベテランより早く治癒を始めて、あっという間に完治させてしまっていた。
元々治癒士やってて、普段から自分の傷を治してる事もあって人体構造にかなりの理解があるみたいだし、治癒魔法の腕前は超一流だし問題ないかな?
そして無事に治療が済んだ気絶中のウナちゃんは別室に移され、目覚めたのは気絶してから1時間後で、赤ちゃんに夢中になって放置されていたウナちゃんが気絶したことに気が付かれたのは3分後で、その状態で安静にしたまま分娩第3期を過ごしてしまったのだった。
不幸中の幸いだったのは、ウェアちゃんのお陰でリアルタイムで彼女の子供の産声を聞けたことだろう。
そんで無事に出産の工程を全部終わらせたウナちゃんは気絶したまま王都の治療院の貴族用の待機室に運ばれ、ベッドで気絶爆睡をするのだった。
その様子を見ていたウェアちゃんはスマホで夫のイルミア君に連絡をして無事とは伝えていた。
·····ちなみにレミアは勝手に行動した事が咎められて牢屋にぶち込まれてた。
処刑される前に救助に行かないとなぁ·····
◇
って訳で1時間後·····
「あっ!ウナが目覚めたよ!ウナ、聞こえる!?気絶してたけど大丈夫!?·····うん、よかったぁ、大丈夫!気絶した事以外は問題なさそうだったよ!」
「おー起きた?よかったぁ·····」
やっとこさウナちゃんが目覚め、なんとか起き上がれるようになったようだ。
そして起きてすぐに赤ちゃんが運び込まれて国王様とか王妃様とか両親とかが入ってきて、ウナちゃんと色々話をしたり、気絶してた事もあって体調を考えて赤ちゃんの国民へのお披露目とか名前の発表とかその他色々は明日に持ち越しになったみたいだけど、出来ることはここでやってしまうみたいで私たちも遠隔で聞いていた。
ちなみに今は赤ちゃんの名前を正式に国王様に報告して認めてもらう·····的な事をやってるみたいだ。
「えーっとね、みんなには先に伝えておくね!わたしの子供の名前は『アレキ・クリソ・ラ・サークレット』にしたんだ!ソフィちゃんは相談してたから知ってるけどね!」
「もちろんっ!私監修の名前だよっ☆」
『『おーっ!!』』
実はウナちゃんの赤ちゃんの名前は事前にウナちゃんとイルミア君に相談を受けていたのだ。
王家の男の子の名前の付け方には必ず石の名前が必要みたいで、しかもよりによって多色性のある鉱物の名前ばっかりだったので私もそれに則り、色が変化する石の名前から色々考えて、王様に相応しい『アレキサンドライト』と『クリソベリル』から名前を貰って名付けたのだ。
こんなのでいいのか不安になったけど、一応国王様もさっきお墨付きをくれたから大丈夫なのだろう。
·····もしダメだったら確実に私の首が飛んでたからめっちゃ怖かった。
ま、まぁ、何にせよ、これでなかよし組の赤ちゃんズに末っ子のアレキ君が加わり、四人姉妹弟になったのだった。
·····次はリリアかなぁ。
って言ったら殴り殺されかけたのは言うまでもない。
こうして、いつの日かサークレット王国の未来を担うこの国の王子様がこの日、生を受けたのだった。
そしてこのめでたい知らせはあっという間に国中に広がり、今日からしばらくの間、全国がお祭りムードになったのだった。
名前:ウナ・ウェア・ラ・サークレット
子供:アレキ・クリソ・ラ・サークレット
ひと言コメント
「つかれた····· 休ませてほしい····· でもアレキがかわいい·····」
名前:なかよし組
ひと言コメント
ソフィ・シュテイン
「まぁ今は心配するよりウナちゃんを祝おうっ!!ウナちゃんおめでとー!!·····んじゃ私はちょっとレミアの回収に行ってくるわ」
アルム
「ワタシはもはや選択肢にもないのかぁ、まぁそりゃカレシのカの字もないもんねっ!」
フィーロ
「アルムちゃんってぶっちゃけ言って一番モテそうなんだけどなぁ····· なんでそういう話全くないんだろ·····」
グラちゃん
「私はなんかポンッて産んじゃったから痛いとかわからないのよね·····」
エビちゃん
「お主ら話が脱線しておるぞ、ウナ、出産おめでとうなのじゃ」
ミカちゃん
「つかれたらねるのがいちばん」
リリア
「あ、アタシにはそういう話はまだねぇし!!い、一応避妊もちゃんとしてっから大丈夫だ!·····たぶん」
名前:レミア
ひと言コメント
「捕まったのにずっと放置される方が怖いですぅ····· というかどうしましょう····· 牢屋の柵に頭突っ込んだら抜けなくなっちゃいましたぁ····· あっソフィさまぁっ!お助けぐだざ\ゲンコツ☆/えべげぇっ!?!」




