名付け親は誰の手に?
「·····これより会議を始める、皆、準備はいい?」
「別にどっかの特務機関みたいにやる必要なくない?」
「いいじゃんカッコつけさせてよ~」
グラちゃんに突然子供ができて、とりあえずお昼を食べ終えた私たちは、食器を片付けたリビングのテーブルを囲んで会議を開いていた。
そんで私はちょっとカッコつけてたのにツッコミを入れられてしまったし、今日の議題は結構マジメな内容なのでアホみたいなパーティー用の光るサングラスを仕舞ってちゃんと話をすることにした。
「そんで今回の議題だけど、この子の名前をどうするかみんなで話し合って決めようと思うんだけど····· まずは名づけの条件だけど、これは後ろのスクリーンに表示してあるから各自見てね」
そう、この会議はグラちゃんの赤ちゃんの名前を決めるために開いたのだ。
いや別にグラちゃんがサボったとかそういう訳じゃなくて、色々考えたけどどうしても名前が決まらなくて私たちに頼って来たのだ。
·····私たちっていうか主に私一人だけど。
っていうのも、私の後ろのスクリーンにも表示したようにグラちゃんの家、ウィザール家には男女ごとに名前の付け方に決まりがあるのだ。
女の子なら花の名前関係、男の子なら日本人っぽい名前を付けなければいけなくて、グラちゃんの場合は男の子を産んだので日本人っぽい名前を付ける必要があるのだ。
·····あるんだけど、まだそこまで日本に詳しくないグラちゃんが名付けるのは無理があったのだ。
ちなみに実家の方も校長先生も名付けを手伝うのは拒否されたらしい、流石にヤンチャしてデキちゃったんだからそれくらいは自分でやれと怒られた·····というかそういう風に校長先生が折り合いをつけたらしい。
って訳で、名前を付けるんだから親のグラちゃんとウェイザ君にも来てもらって、エグゼクティブなんちゃら的な役に校長先生と姉貴も連れてきてみた。
あとなんか来てたリリアとレミアも参加させた。
「って事で、スタート!!」
「はいはい!まずはワタシ!タロウなんてどう!?」
「却下よ、単純すぎるわ」
「·····アマイモンとかどうじゃ?」
「殴るわよ?」
「はーい!わたしは炭○郎がいいと思う!」
「キラキラネームよねそれ?絶対嫌だわ」
「えへへぇ····· じゃあ猗〇座とかどうですかぁ?」
「とりあえず鬼滅〇刃から離れなさい!!」
「はいはいはいはいはい!!!竹山とかどうだ!?」
「名字よねそれ、却下」
「はーい、ロマネスコとかどう?」
「ソフィのお姉様でも容赦なくぶん殴るわよ?」
「んー····· 眠太郎」
「あなた達マトモな意見出せないのかしら?アルムのが一番マシに感じるのだけど?」
「僕も意見出していい?一応真面目に考えてみたんだけど、冬とか雪とか名前に入れるのはどうかな?雪那とか真冬とか·····」
「それは私たちも考えたわ、そっちで攻めるべきかしらね·····」
「はーい、私良いの思いついた、雪屈でセッk」
\ドバギャァアアアッ!!!/
「死ね」
「しんでまーす、ぐえぇ·····」
私は流れでふざけたら首の骨を折られて死んでしまった。
◇
って訳で生き返った私は間違えて首が反対になってたので無理やり戻して、会議に真面目に参加していた。
ちなみに360度回転させちゃったので一回ちょっと切ってくっつけ直しておいたから今はもう完璧だ。
そんでみんなからはキモいと言われてちょっぴりナーバスだ。
「難しいな····· 閃いた!雪筍とかどうだ!?」
「貴女はいい加減タケノコから離れなさい」
「DI〇とかアー〇ードとかはどうですかぁ?」
「貴女、私の子供を吸血鬼にしたいのかしら?」
「冬浪漫禰栖湖とかどう?」
「貴女もソフィみたいになりたいのかしら?次言ったら本気で殴るわよ」
「冬夜!」
「あっそれ良いわn」
\ウナちゃんそれアカン、別のプリーズ/
「なんでかしら?結構いいじゃない」
「えー?なんでー?」
「マジでダメ、アカンから、メタ的な理由で」
「あっそう·····」
「シンプルに幸貴とかでいいんじゃない?」
「結構いいわね、ウェイザはどうかしら?」
「ごめん、オレ異世界の事は全然わかんねぇんだ····· というかここに居るの全員異世界の関係者なのかよ·····」
「ん!わたし、てんさいかも、冬眠、すごくいい名前、これにするべき」
「却ッ!下ッ!!」
「んぅ·····」
そして名前決めの方は結構難航中だ。
いやぁ、そりゃ難しいもんねぇ·····
別に一回で決めようとは思ってないし、仮の名前が決まったらそれでいいんだけど·····
「とりあえず仮の名前でもいいから決めようよ、その方が便利そうだし」
「そうね····· 今の所の候補は幸貴、真冬、『雪筍』·····は絶対無いわ、北斗、雪弥とかかしら·····」
「オレもそんな感じがいいと思うけどよ、なんで雪筍がダメなんだ?」
「·····冬のタケノコって名前にしたいのかしら?」
「やめとくぜ」
「賢明な判断ね」
「えーっ!?なんでだよ!·····おいやめろ、アタシはマジで死ぬから、ちょ、まっ!氷筍はアカンて!死ぬ、しぬぅぅぅぅぅううううううっ!!!」
カキンッ
あっ、冷凍タケノコが完成した。
まぁタケノコ神拳があるし10分くらいしたら解凍されて出てくるっしょ、という訳で放置して真面目に考えよう。
ちなみに姉貴は5分前に凍ったしまだ解凍しきれてないからあと5分は喋らないだろう。
「にしても、難しいねぇ·····」
「そうね····· ちゃんと考えておくべきだったわ····· お姉様、今の中でいいと思うのはないかしら」
「あら?私に頼るならロマネスコ太郎にしちゃうわよ?」
「·····やめておくわ」
私はロマネスコ太郎も好きなんだけどなぁ·····
でも子供にそんな名前は付けたくないし、精々ゲームアカウントに付ける程度だろう。
あと言ったら殺されるから絶対言わない。
·····若干冷気が届いてるけど心の内だからセーフ。
『あぅ~』
「ん?あぁお腹空いたの?よしよし····· 私ちょっとフェニカにおっぱいあげてくるね」
「わかったわ、行ってらっしゃい」
「おうこっちは任せろなのじゃ」
「エビちゃんも信用できないから僕が仕切るよ」
「なんでじゃ!?鞍馬とかマサトとかいい名じゃろ!?」
「貴女も少しは私の事を考えて名前を考えてくれないかしら?本気で悩んでるのよ?」
『『はぁい·····』』
まったく、ホント何やってんだか·····
まぁいいや、お腹空かしてるみたいだしさっさとたっぷり飲んで寝てもらおうかな。
ぐへへ····· やっぱりフェニカは可愛いなぁ·····
◇
その後、15分ぐらい私は席を離していたのだが、話はずっと平行線だったらしい。
そんで私は授乳を終えてフェニカの背中をさすったりしてゲップを促してあげながら暇つぶしにみんなの会議を聞いている所だ。
·····ちなみに私はアイディアが浮かばないから戦力外通達されちった☆
「決まんないねぇ、みんなさっさときめちゃえばいいのにねぇ、フェニカはどう思う?」
『·····』
「んへへ、まだわかんないよね、でも弟分の名前だから大切な事なんだよ?」
ちなみに話を聞いてる限り、幸貴か真冬で悩んでるみたいだ。
私としては幸貴でいいんじゃないかなぁって思うけど、なかなか決まってないっぽい。
難儀なモノよねぇ·····
「さてと、そろそろ寝かし付けよっかな·····」
『けぷっ』
「あれ?反転能力漏れ出た?ん?·····矛先は私じゃない?やべっ誰に飛んでったんだろ」
ってぼーっと考えてたら、フェニカがゲップと一緒に反転能力を発動させてしまった。
そういえば今日のトレーニングの後解除するの忘れてたなぁ·····
そして飛んでった『反転』の行き先は·····
「決めたわ!名前は·····!わるすに冬真」
『『·····??』』
·····今なんつった?
反転しててよく聞こえなかったんだけど。
「えっと、冬真って事でいいか·····?」
「?!うょしでたっやか何女貴ィフソ?!レコよ何?!とっょち?!真冬」
そして反転の効果は、名前を決めようとしていたグラちゃんに掛かってしまったようで、途中から言ってる事が反転してしまった。
しかも私のせいじゃないかと疑われたが、怪我の功名で凄く良い名前ができた。
流石に真冬は女の子っぽすぎたもんね。
「ちょっとまって!フェニカがたまたま間違って発動しちゃっただけで!今戻すからっ!!!」
\くるんっ/
「戻ったかしら?」
「戻ってる戻ってる、それで名前!!『冬真』!すごいいい名前じゃない!?」
「·····確かに、真冬よりいい名前かもしれないわね、ウェイザはどう思うかしら?」
「いいと思う、トウマ・ド・ウィザール····· 大丈夫じゃないかな」
「お姉様は?」
「日本語としては少し変だけど、十分あり得る範囲内だと思うわ、あとは好きにしなさい」
「わかったわ、この子の名前は『トウマ・ド・ウィザール』よ!!」
『『おおおおーっ!!』』
という訳で、長かった会議の末にグラちゃんの子供の名前は『トウマ』に決定したのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「·····あれ?もしかして名付け親、フェニカ?」
名前:グラシアル・ド・ウィザール
子供:トウマ・ド・ウィザール
ひと言コメント
「結構いい名前ね····· 私は気に入ったわ」




