神様の裏のお仕事
カタカタカタカタ·····カチャッ、タァンッ!!
「ふぅ····· これで終わりっと」
『お疲れさん、いやぁ中々大変だったねぇ』
「ですねぇ····· こういう仕事、神様になってもやるなんて思ってませんでしたよ」
『まぁ現実はそう上手くいかないし、我々神様もこうして裏の仕事をちゃんとしなきゃダメだからねぇ·····』
私は今、久しぶりに生身で神界に来て神様の裏の顔の仕事をしていた。
·····全知全能、天神地祇、才色兼備、神機妙算、神経衰弱な神々と言えど、それは三次元世界の住人に見せる顔でしかない。
神々は人々が見えぬところで、日々世界の平和を守るため戦っているのだ。
「んで次の仕事は?」
『はいこれ、データ入力お願いね』
「へーい、ささっとやっちゃいますねー」
『いやぁ、流石は元サラリーマンってだけあるねぇ、やっぱり新米神の研修に日本の企業で100年くらい働かせた方がいいかなぁって思うんだけどどうかな?』
「3年で過労死しますよ、テキトーにブラック企業で過労死した人を神界に呼び出して福利厚生をちゃんとして教育係にするかこういう仕事を担当させたら効率上がるんじゃないですか?多分仕事したくないって拒否しますけど」
『八方塞がりかぁ、八方美人の私がお願いしても無理ぽ?』
「仕事してるんで黙ってください、八宝菜にしてツクモさんに食べさせますよ?」
『や~ん神殺しぃ~』
「·····」
·····神々の裏の仕事は地味だ。
裏で神々や人類に敵対する存在を排除してるとか、世界の危機を救うとか、神と悪魔の大戦争をやってるとか、そんなすんごいのは滅多にない。
宗教の昔話は基本盛りすぎだからね?てか盛りすぎて99%作り話なのも結構あるしさ?
じゃあ普段何してんのかっていうと、日々世界を管理して色々作業をするうえで必要な紙媒体でやり取りされた書類や、他の部署から送られてきた手続きやデータをアカシックレコードに入力したりする裏方作業があるのだ。
むしろ神々の仕事のメインはこっちと言っていいだろう。
それ専用のオフィスとか会社があるくらいだし。
んでどんな感じの手続きがあるか例を挙げてみるけど、『ある神Aが地上に降臨して人々に予言を授ける場合』を見てみよう。
まず予言を授ける場合、事前に手続きを行い予言内容と予言の正確さと予言した場合としない場合の影響の差の調査を専門機関に依頼する必要があり、その予言が正確であり予言した場合の方が世界の運行が円滑に進む内容であると判断されたら、次にアカシックレコードによるシミュレーションで予言の内容が実現するか判断し、予言によって起こりうる世界の変化を予測した報告書と誰に対し予言を授けるか等の資料を全て私たち総合管理職の神々に提出して、神々の議会で承認を得て、他にも煩雑な手続きを終えてようやく降臨を許可され、予言を授ける事が可能になる。
そんで予言を授けた後は予言が実現するよう世界を監視して時には補助を行い、逐次報告書を提出して状況を報告し、予言実現後も影響があると考えられる期間は監視を続けなければならず、予言によって発生した出来事やデータなどをアカシックレコードPCに入力してデータバンクに保存するというめっちゃくちゃ面倒な手続きが必要なのだ。
だから神々はテキトーに人前に降りて『明日は雨だよ☆』とか絶対に言わないのだ。
だって手続きがめんどくさいし。
もちろん予言だけじゃなくて助言や介入にもメチャクチャ大変な手続きが必要だし、あのギリシャ神話の色男の最高神でさえ勝手に人間を孕ませた時はこっぴどく叱られたりと割と厳しいルールが存在している。
ちなみにあの全知全能の最高神の色男でさえやりすぎると3次元世界出禁になるくらい厳しいのよ?
「·····神の仕事がこんな地味だなって思ってなかったですよ、マジで」
『まぁねぇ、でも昔はもっと大変だったのよん?ニンゲンがパソコンを生み出してくれたおかげでシステムをパクッてアカシックレコードを制御できるようになったから規格の統一もできて楽になったしさぁ?ほんとありがたい限りだよねぇ·····』
「人間ってすごぉい」
『私たち神々は変化をあまり望まない種だからねぇ、こうして目まぐるしく変化してくれる人間の技術は助かるよ』
「でも私の前世の技術レベルくらいじゃないですかコレ?他の世界だとSFみたいにめっちゃ発展した世界がありますけど·····」
『だから言ったでしょ?変化を望まないって、私がスマホやらパソコンをこっちに持ち込んで変化した後からは安定しちゃって変わってないのよん』
「なるほど」
まぁ、こんな地味な事務仕事をしている私たち神々の仕事はそんなに忙しいわけではない。
労働時間は1日6時間で残業もないし、週休3日以上で福利厚生もバッチリ、しかも仕事の納期は予言とかの明確な期限がある物じゃなかったらのんびりやっても間に合うくらい余裕だし、期限アリの物でも100年とか普通に時間に余裕があるので、元ブラック企業の社員の私からしたら楽すぎる仕事だ。
·····でもね。
「·····地味すぎて暇なのでしりとりでもしません?」
『あのさぁ、今これ分類13325宇宙第338915√並行次元で起きた近年まれにみる超大宇宙戦争で死んだり消し飛んだ星とか人とかのリスト作成中にしりとりするのって流石に神としてあるまじきことだと思うんだけど?まぁやるけどさ·····リンゴ』
「確かになぁ、物凄い事なってますよねコレ、ブラックホール投石器って何ですかコレ····· ゴルゴンゾーラ」
『よくわかんないけど超技術でブラックホールの事象の地平面をにょーんって引っ張って飛ばして敵の惑星系を消し飛ばしてたからそう名付けたんだよね、ラーの鏡』
「なんじゃそりゃ····· ミッポチェパペ」
『あのさ、せめて日本語にしない?それエルフ語で尿道に·····いやなんでもない、ペットボトル』
「はぁい····· ところでこのデータってあってます?なんか変なんですけど····· ル○ン三世」
『どれどれ?あー合ってるからそのまま入力しちゃって、イスカリオテのユダ』
「了解です、ダメシテス・セミコスタータス」
『おま、アンモナイトの学名はアカンって····· スカンディナヴィア半島』
「あースカンジナビアかぁ····· この前姉貴を探しにソグネフィヨルドにあるヘイヤンゲルって町言ったんですけど、なかなか良かったんですよね····· また行きたいなぁ····· うどん·····げ」
『今のはギリギリセーフって事にしてあげるよ、というかいいなぁ、私も休暇貰ってちょいと地球旅行でもしよっかな、○ド戦記』
今日の仕事はぶっちゃけ言って楽なんだけど、すっごい暇なのだ。
だからいつもは音楽を聴いたり動画をトリプルディスプレイの一つの画面で動画を見ながら作業したりしてるけど、今日はなんとなくガイア様と話をしながらしりとりをしていた。
「多分いいんじゃないですか?ここ最近、私が育休取ってて仕事任せちゃってましたし、落ち着いてきたんで1週間くらいなら任せてもらっていいですよ、きびだんご」
『いやいいよ、勝手に行くしどうせこれの報告も期限は1万年後だからね、ゴマ摺り団子』
「へぇい、んじゃ姉貴でも誘ってみたらどうです?どうせ暇してそうですし····· ゴーヤチャンプルー」
『おっ!沖縄もいいねぇ、留辺蘂』
「北海道もいいですよ?ベルトコンベア」
『んまぁそこら辺は気分次第かなぁ、アゼルバイジャン·····人····· くっ!貴様ハメやがったな!!』
「自爆じゃないですか?ンゴロンゴロ自然保護区」
『うわ出た禁じ手、まぁ暇だから続けるけどさぁ····· クーリングオフ』
ふぅ·····なんか読者さんごめんね?
眠くなるかもだけど、私が普段神界でやってる仕事って大体こんな感じってわかってもらえた?
多分ここら辺は興味あると思うけど、他には天使たちの女子寮に行って不満を聞いてあげたり遊んであげたり、女神様たちのお茶会に参加したり、神々の庭の植物に水をやったり時々喰われたり、神々の晩酌に参加したり、雷霆級にヤバい神器ソフィアの槍でヤンチャやった三次元世界の国をチョメチョメしたり、神器職人の手伝いをしたりと、私は結構色々な雑用をしているので結構顔を覚えられてたりする感じかな·····
なんか雑用係みたいな感じだけど、基本的にこういう仕事をしてる時間の方が圧倒的に多いよっ☆
「よっと、一回終わりかけたんでなんか話題変えます?麩菓子」
『そうだねぇ····· あっそうだ、どう?お母さんになった感想は、シロッコ』
「大変だけどめっちゃ幸せですね、フェニカの成長を毎日見守るのが楽しくて仕方ないですよ、1日で50gくらい重くなって行ってるっぽいんでスクスク成長してて、ホント見てて飽きないんですよねぇ····· 幸福」
『夜中はシルキー達に授乳とか任せてるもんねぇ、そりゃ楽に決まってるし我が子も可愛く見えるでしょ?俱知安町』
「別に良いじゃないですか、昼間は溢れんばかりの愛情を注いでますし····· ウチナーンチュ」
『まぁいいんだけどねぇ、それにウナちゃんももうすぐでしょ?みんなで協力して頑張りなよ~、チュロス』
「ですね、まぁグレないように頑張って育てますよ、スコロダイト」
『ガンバレ~、トパーズ』
「へぇい、んじゃもうすぐおっぱいの時間なので集中して作業しますね、寸胴鍋」
『了解、ちゃっちゃと終わらせよっか、ベーリング海峡』
「ウコチャヌプコロ」
『六本木』
「餃子」
『ザーサイ』
「イラブチャー」
『餃子』
「ず、ず〜·····ん?餃子と餃子って被りになってるんじゃ?」
『じゃあダメ?なら他のにするけど』
「どっちでもいいですし、疑問に思っただけですよ、ずんだ餅」
『中華民国』
「燻製ハム」
『紫芋』
「モモンガ」
『ガガンボ』
「ボーキサイト」
『·····というかいつまでこれ垂れ流すつもりなの?』
「ノーコメントで」
『でもとりあえず終わらせちゃった方がいいんじゃない?話しながら作業はしてるけど、いつまでたっても終わりそうにないし·····』
「仕方ないなぁ····· まぁそろそろ1/3くらい終わるんで仕事もしりとりも終わりにしますかぁ·····」
『あーうん、お疲れ様、ゆっくり休むのも大事だから帰ってたっぷり休んでね』
「寝たら全部回復するんで大丈夫ですよ、んじゃ余計な仕事増える前に帰ります、お疲れ様でした〜」
『たっぷり休むんだよ〜』
余計な仕事が増える前に私はデータをちゃんと保存して、さっさと帰宅の途に着くことにした。
だって我が家で愛しの夫と娘が待ってるからね!
「眠····· でも早く帰ってフェニカを愛でまくろっと」
『とりあえず私も保存して今日はおわっ·····ドゥアアアアアアアアアアッ!!!!!????』
「あぁ?なんですか人が帰ろうとしてる時に奇声あげて」
『·····データ消えたかも』
「もう帰るところなんで締めますね、『ん』」
『ンジャメナぁぁああっ!待って待って!!私を置いていくなアアアア!!!』
「嫌です、せいぜいデータも続きも頑張って探してくださいね、アットゥㇱ」
『·····ㇱ!!??ㇱ、ㇱ!!·····\(^o^)/!!!!』
ガイア様は私がアイヌ語の『ㇱ』を出してしまったせいでしりとりが詰んで喋れなくなってしまい、必至で目で救助を訴えかけてきてる全力でオワタしてるガイア様を無視して帰った。
ちなみにデータの保存場所を間違えてただけで普通に保存されてたらしい。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「神様の仕事ねぇ····· 基本的に単純な事務作業ばっかりで暇なんだよね····· ちなみにしりとりが始まってから最後私が『アットゥㇱ』って言うまでナレーションまで全部しりとりになってるの気がついた?気が付かなかったら読み返してみてね☆」
名前:ガイア
ひと言コメント
『まぁそれが神様の仕事だからねぇ、いやぁでもよかった····· 神様でもデータが飛ぶのは怖いのよねぇ····· ちゃんとこまめにバックアップしとこ』




