建造!発掘万能航空宇宙魔導艦っ!
育児の休暇をバッチリとった私は完全に元気を取り戻し、フェニカが寝ている合間を縫って元通りの生活に戻そうと色々やっていた。
まずは出産でだいぶ伸びちゃったお腹の皮やその他部位を魔法で元に戻し、育児に必要な部位とかは今後子供を産むときに初産よりは楽に産めるようにあまりもとに戻さなかったりもした。
その結果、今の私の見た目は少し母親な雰囲気がある元通りのピチピチ新鮮な17歳の少女に戻っていた。
ちなみにバストサイズは少し大きくなってて大歓喜した。
まぁそんなこんなで、私の一日の大半はフェニカの事で埋まってしまってはいるが元通り元気いっぱいになっていた。
·····だが、元気が戻ってきた私にはとある思いが芽生えていた。
『久しぶりにメチャクチャな事してぇ·····』
そう思った瞬間、私は動き出していた。
今回の矛先は、出産前に拿捕した浮遊島だ。
「浮遊大陸四番島の建造計画····· まさかこんなに早く実行に移す事になるとはね」
ここ10ヶ月近く、お腹の子供の為に無茶しないで自制しまくっていた私はもうとっくに限界を迎えていて、ついに限界が爆発してとんでもない事をやり始めてしまったのだ。
それこそがこの『4つ目の浮遊島の作成と大改造計画』だ。
浮遊島は人類が使えるようにしたものは世界に未だに3島しかなく、どれも島の元となった『フライホエール』の魔石を掌握して操っているだけなので巡航速度は最高で精々時速150km程度、更に上部が平らになってるとはいえ岩の塊なのには変わりなく、とんでもなく重いし無茶な飛行をしていると岩が落ちたり魔物が落ちてきたりするため動きは制限され、小回りもあまり効かないという弱点が多くある。
そして何より、輸送艦なのに地面に降りる事がほぼ不可能で、かろうじて水深のある海や湖の中に着水することで物資のやり取りが可能になるという厄介な点があり、よほどの事でもない限りは使われない代物だ。
一応空中待機状態でもワイバーンライダーたちによって荷物を下ろすことは可能だけど、ワイバーンを操れる人も大人しいワイバーンも少なくて中々難儀しているそうだ。
·····なら、私の力で全ての弱点を消した究極の航空戦闘輸送艦を作ってみせようっ!!
って事で、前世の知識とメカオタクの浪漫を組み込んでとんでもない浮遊島を作ってしまおうという計画が始まったのだ。
「この島自体がノジュールになってるから、まずは発掘をして骨を取り出さなくちゃ」
その第一段階として、飛行時の枷となってしまうこの浮遊島岩石部を完全に除去し、浮遊島の元となった『フライホエール』の遺骸を発掘するところから始めるつもりだ。
それにあたって、島の上部には沢山の生き物や植物が生息していたが、彼らには申し訳ないけど丁度よさげな場所に引っ越してもらった。
そのため、今この浮遊島は緑も生き物も居ないただの岩石の塊になっており、私の想うがままにすることができるようになっていた。
何せこれからするのは岩石をブチ砕いて岩の中にあるフライホエールの骨や魔石を取り出す作業、化石発掘の用語で『クリーニング』と呼ばれる作業を行うのだから、生息している動植物は邪魔でしかないからね。
「骨からカルシウムが出たわけじゃなくて、魔法で岩石が肉体代わりに集まってきているからノジュールとはちょっと違うかな····· まぁいいや、発掘開始っと」
ノジュールとは和名で『団塊』と呼ばれるモノで、球体に近い形になった岩石の事を指す言葉だ。
別名『コンクリーション』と言い、砂の中に埋まった生物の骨からしみ出したカルシウムが砂の粒子の隙間を充填して鉱物化することにより、内部に閉じ込められた生物の骨を守り、更にコンクリーションが発生した部分は非常に頑丈で地質変動による圧力などから化石を守ってくれて綺麗な形を保っている場合が多い。
北海道のアンモナイトの化石が保存状態が非常に良い物が多いのは、このノジュールという化石の産出形態をとっているのが大きな原因だろう。
·····ちなみに私は前世の頃に1個30キロくらいある巨大なノジュールを北海道から持ち帰ったら両親にブチ殺されるんじゃないかってくらい怒られて姉貴が笑い死に掛けて、そっから暫くの間私の椅子はノジュールに直接座るという拷問みたいなお仕置きを喰らった事がある。
ちなみに結構いいアンモナイトが入ってて嬉しかった。
だが、今回のノジュールは桁が違いすぎる。
形状としては逆向きにした水滴のような形で、縦幅が3km、横幅が最大2kmというとんでもないデカさだ。
もちろん厚さも半端じゃなくて、1km以上はあると思う。
その重量は軽く見積もってあの隕石を遥かに超える数兆トンを超えているだろう。
まぁそんな中からハンマーとタガネでコツコツと発掘するなんて当然無理に決まってるし、徳用ソフィちゃん型最終兵器を使ってもアレは身長40mなので直径3kmの巨大なノジュールの前には適わないと思う。
という訳で、非常識な大きさの化石なら私も非常識な技術を使おう。
「星核合金製包丁『ツナギリ』、久しぶりにつかうなぁ····· よし、調理開始っ!!」
私が取り出したのは、刃渡りだけで私の身長ほどもある巨大な宇宙色の包丁だ。
コイツならこの巨大なクジラでも捌ききれるだろう。
ってことで私は早速包丁を構えると、回転して勢いをつけ、包丁を横向きに一閃した。
ザンッ!!
「おー!上手くいった!!」
すると包丁から解き放たれた巨大な斬撃が島の上部を一撃で切断してしまった。
そしてうまく剥がれた島の一部を魔法で浮遊させて移動して地面に落として、また思いきり切断を行って今度は島の下部を切断した。
私の星核合金製包丁は狙った物だけを切る事が出来て、更にどんなに離れた場所の物でも切断が可能な性能を持っている。
ただ普通の柳刃包丁では刃渡りが足り無さそうだったから、マグロ用の巨大な包丁を使って広範囲斬撃を繰り出し、骨の周囲を取り巻く岩石だけを切断したのだ。
ぶっちゃけこれが一番早いと思う。
という訳で、この後も私は全力で包丁を振りまくり、フライホエールの骨を覆う岩石を切断して除去していったのだった。
◇
だがこの作業は非常に難航した。
っていうのも、最初は大きな岩石を大胆に削れたんだけど、あとの方になると肋骨に付いた細かい岩とかを削ぎ落したりする作業が圧倒的に増えて、しかも2時間に1回くらいフェニカがお腹を空かせて起きてくるのでおっぱいをあげに行ったりしていたせいで時間がかかりまくったのだ。
その結果、私のやる気の関係もあって発掘が完了するまで大体1週間以上も掛かってしまったのだった。
「·····にしても、デカいなぁ」
まぁとりあえず発掘は終わって魔法で最終仕上げをした結果、私の目の前には浮遊している超巨大なクジラっぽい骨が現れていた。
クジラっぽいって言ったけど、腕の形はシャチそっくりで非常に分厚く頑丈そうなんだけど、ヒトでいう人差し指がコウモリみたいにとても長くて生前の姿はきっと巨大な翼のような腕をしていたのだと想像できた。
そして顔はシャチのような肉食系な顔をしており、鋭い牙が生えていて非常に分厚い骨をしていたことから、かなり獰猛なタイプのフライホエールだったんじゃないかな。
「野菜の収穫をさせてもらってるフライホエールとは骨格が違う····· 古代種ってヤツか、それとも別種か····· 何にせよ相当強力だった個体の遺骨に間違いないね」
最近お世話になってて我が家の菜園になりかけてるフライホエールさんはシロナガスクジラ系の体つきをしてて、まぁ一応牙も生えてるからスカイクラーケンとかワイバーンも食べられるけど、基本は雲の中に居るユキドケウオとかタイフーンシャークを食って生きてる生態っぽいんだけど、この化石になったフライホエールは明らかに骨格がより頑丈でゴツいから更に格上のドラゴンとかも捕食できたと予想できた。
ただ、骨が頑丈な分だけ体重も重かっただろうけど·····
「へぇ、骨自体が浮遊魔法を発動する媒体になってるから浮きやすいのか····· だから数兆トンもある岩石も浮かべられたと」
この骨の解析を進めてたところ、現実では有り得ない体重をしてるにも関わらずなんと最高速度は亜音速か風に乗れば音速を超えるというとんでもない飛行速度を実現していることが判明した。
んで骨格だけでも大型旅客機よりもはるかに大きく重い巨体であるにも関わらず、亜音速での飛行を実現できている理由はこの骨にある。
非常に重い岩石をアレだけ纏っても浮遊を続けられるほどの飛行魔法を発動させ、更に時速300kmくらいで移動できるというバケモノ性能を出すために、この魔物の骨は全体で一つの魔法陣のようになっているのだ。
そして中央の巨大な魔石から供給される莫大な量の魔力で同じく魔石から発動する飛行魔法を魔導回路化した骨格で増幅させて飛翔する、とんでもない仕組みだ。
まさに生命の神秘としか言いようがない。
「そんな仕組みを悪用しようとしてる不埒な神ねぇ····· 神殺しの戦艦にならなきゃいいけど」
·····その骨格の全体に装甲を取り付け、マギ・レールキャノンなどで武装を行い、追加で構築した魔導回路による飛行魔法と機動力の超強化をして、特に頑丈に補強した肋骨の中にメインエンジンと主機となるフライホエールの魔石&賢者の石を組み合わせた動力部と居住区を作り、肋骨の尻尾側の端には主機直結のロケットエンジンの巨大な噴射口が一つと、下部に補助エンジンが付いている3系統の反動推進ロケットが付いていて飛行魔法以外での飛行もかのうとしており、頭蓋骨の脳があった部分には頑丈さを活かして戦闘艦橋を作って脊椎や神経のあった部分に魔導回路を組み込んで制御を行う超絶魔改造をしようとした結果、どっかで見たことがある形になってしまったのだ。
多分元ネタってか参考にした形が同じクジラとかシャチといった生物の骨格だったからじゃないかと思うけど、建造を躊躇うくらいには似てしまって、今はどうしようか悩んでいる所だ。
「·····まぁいっか、異世界にまで意匠権とか適用されないし、偶然似たデザインになっちゃっただけだし」
そんで色々悩んだ結果、とりあえず趣味用のモノなので時間をかけてのんびりと建造を進めることにしたのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「これがあれ結構色々な事ができるんだけど、見た目を考えるのが難しすぎるんだよなぁ····· とりあえず波〇砲搭載すんのはやめとこ、あと人間型にトランスフォームする機能も要らん、自爆機能も·····いやこれは必須だわ」




