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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第六章 TS賢者は母になるっ!
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フシ町に輝く宝石


「·····」


「·····」

「·····」


「だ、大丈夫·····?」

「·····やはりソフィでも無理じゃったか」


「大丈夫だと思う?無理に決まってるでしょ····· 性根尽き果てたわ····· それにお腹の中に居た赤ちゃんが居なくなったから、なんか色んな意味で重荷を下ろした感じがしてさ····· 疲れた····· ほんと疲れた·····」


「お疲れ様、ソフィちゃん」

「ありがと·····」


 現状を具体的に説明すると、私はほぼ死んでいた。


 いや比喩的な意味で死んでるだけで、出産でめっちゃ体力と精神を削られて動く気になれずにぼけーっとしていたのだ。


 うん、マジできつかった·····

 魔神姫であるはずのエビちゃんがくたばって弱ってたのも分るわ。


 これは確かに産んだ後元気いっぱいにワイワイ出来る訳ないなぁ·····


 ていうかびっくりした、赤ちゃん産んだ後にまだやることあったのね。

 やっと終わったと思ったら『胎盤がまだです』とか言われてもうひと踏ん張りする羽目になったし·····


 イデアとフロウの時は生まれたあとメモとかやったりしてたから知らんかったわ·····

 それに授業でやった時も恥ずかしくて話半分に聞いてたし·····


 あっちなみに出血とかは大丈夫だったよ、一般常識の範囲内だったからね。


 ·····うん、でもキツかった。

 人生で1番キツかったわ。




「とりあえず、ジュース飲も·····」


「大丈夫?一人で飲める?」


「大丈夫、ストローあるし平気よ」

\ヂョゾゾズッズツ゚/

\ズゴッゴゴ!ゴゴゴズッゴ!/


「·····ストロー使うと汚い音出るのどうにかならないの?」

「ならないの」


 とりあえず枯渇した体力やエネルギーや水分などを補給するため、魔力の実ジュースを飲んで赤ちゃんが来るのを待つことにしt



\ダバァンッ!!/


「ソフィは居るかっ!!?」

「あなた!病室には他の人も居るのよ!静かに開けなさい!」


「お、おう·····」


「あっお父さん、お母さん、それにお兄ちゃんも」


「·····なにも言ってなかったのにボクも来てたのよくわかったね」

「うわ本当にお兄ちゃんも居た·····」



 魔力の実ジュースをちょっと飲んだところで、私の家族が病室に入ってきた。


 うーん、人の事言えないけど、うるさい。



「大丈夫だったかソフィ!体に異常はないか!?」


「大丈夫だから、大声出さないでよ····· ちょっと頭痛いし辛いから·····」

「あと父上、ワシの時とテンション違いすぎるのじゃ、実の娘じゃからワシより心配なのはわかるが一先ず落ちつくのじゃ」


「あ、あぁ····· すまなかった、少し取り乱しちまった·····」

「そうよあなた、まずは落ち着きなさい」


「えっ、いや、ソフィが産気づいたと聞いて一番焦ってたのおまッぐぶぁっ!!?」


「どうしたのですかフェルゼン様、丁度病院ですし診てもらいましょう」


「ぐっ····· うぐむぅ·····」


「んぶっ、んふふふ·····っ」

「あっ、笑った」



 ·····お父さんが余計な事言って運び出されてったわ。


 んふふ、でもお母さんも心配してくれてたんだ。

 なんかちょっと安心したし、そのおかげなのか笑えるだけの元気が戻ってきたわ。



 その後しばらくして、()()してくれたおかげなのか気絶から回復してついでに不都合な記憶が消去されたお父さんも戻ってきて、なかよし組のみんなも面会を許されたので私は家族に囲まれてワイワイ話をしながらその時が来るのを待っていた。






 コンコンッ



「っっひゃ!?あっ、えっと!!失礼します、ソフィ・シュテインさん、新生児をお連れいたしまし····· やべセリフ間違ったこれ私のじゃないわ」


「失礼します、ソフィ・シュテインさん新生児をお連れ致しましたのでご準備をお願いします」


「焦って台本読み間違えてる·····」


「んな事どうでもいい!早く早く!」



 家族と一緒に待っていると、ついに私の赤ちゃんが部屋へと入ってきた。


 ずっとずっと待ちわびた、赤ちゃんとの面会の時間だ。

 新生児用のカートに載せられててまだ見えないけど、確かにそこに私の魔力そっくりな小さな魔力源があるから、私の子供がいるんだってすぐに分かった。



「抱っこの仕方はわかりますか?」


「もちろんですよ!エビちゃんの赤ちゃんで練習したのでバッチリです!」

「お主もう少しデリカシーを考えろなのじゃ」



 なんか周りが『カワイイ』とか『名前教えろ』とか『デリカシー』とか言ってて騒がしいけど、私の耳には馬の耳に届く念仏よりも届いていなかった。



 だって、覗き込んだベビーベッドに居る産まれたばかりの私の子供に夢中になっているのだから。


 覗き込んだベビーベッドには、しわくちゃでエビちゃんの娘のフロウとあんまり変わりのない、1人の赤ちゃんが布団の上に寝かされていた。


 ·····でも、不思議とわかる。

 間違いなくこの子が私が産んだ、私たちの血を受け継いだ愛する我が子だって。


 そしてその赤ちゃんを早く私の腕の中で抱きしめたい、ただそれだけしか考えていなかった。



 ·····これが、母親としての本能なのかな。



「じゃあ抱っこします·····っ!」



 そして私はベビーベッドですやすや眠る赤ちゃんを起こさないようにそっと持ち上げると、優しく抱きかかえてあげた。


 生まれた時よりも綺麗になっているけど、赤ちゃんという言葉に相応しくまだまだ赤くてしわくちゃで、たった3kgちょっとしかない、小さな小さな命だ。



 ·····けれど


 そんな小さな命の重さは、11.5億トンある隕石なんかよりもずっとずっと重くて·····

 けれどこれからたった20年ぽっちで大人になってしまう人間の始まりの姿と考えると軽すぎる·····


 そんな大切な私とフィーロ君の愛情の結晶が、私の腕の中に確かな重さをもって抱かれていた。



「·····どうしよ、死ぬほど可愛いんだけど」

「こ、この子が僕とソフィちゃんの赤ちゃん·····」



 なんか、もう、感無量だ。


 言葉なんていらないくらい可愛すぎて、少しでも扱いを間違えたら粉々に壊れてしまいそうで、ずっしりと重くて、私の体から離れても確かな体温を持って生きているんだってわかって、会えてうれしくて、この子の成長をこの先ずっと見守れると思うと、私が産んだんだって思うと、この1年間ずっとお腹の中で守ってきて、ずっとずっと会いたかった、この日を楽しみに育ててきた大切な我が子を目の前にすると、言語化できない感情が溢れ出てきてしまう。



「フェニカ、本当にっ 産まれて、きてくれてっっ、ありがとね·····っ」



 私は何度も何度も産まれてきてくれたことに感謝して、愛おしくてたまらなくなってしまい、フェニカの事を少し強くキュッと抱きしめてしまった。


 フェニカの顔に、私から溢れ出した感情が涙となってぽたぽたとこぼれ落ちると、それに反応するようにフェニカは目を少し開いて、美しい青紫色の瞳を私に向けてくれた。







 私の母性が爆発してしまって大泣きしちゃって、しばらくマトモに会話もできなかったけれど、なんやかんやあって無事に授乳も終わらせた。


 ·····あんまいうの良くないかもだけど、赤ちゃんにおっぱいを吸われる感覚ってなんか不思議だった。

 まぁ、なんというか、その、私は吸われると性的快感を覚えるタイプだったんだけど、そういうのはぜんっぜんなくて逆に楽しいというか、幸せって言うか、不思議な感じだった。



 んで今は母子ともに健康状態も良好という事でもうちょい休憩したら帰る·····というか帰されるところなので、この子の名前を発表しようという事になっていた。



「·····まぁ、さっきからもう言っちゃってるけど、この子の名前はフェニカ、『フェニカ・シュテイン』」

「僕とソフィちゃんで話し合って、まぁほとんどソフィちゃんが決めちゃったんだけどちゃんと二人で考えて決めたんだ」


「いいじゃんいいじゃん!可愛いくていいね!」

「フェニカ····· どういう意味だったかしら·····」

「わたしもそろそろ考えないとなぁ····· 男の子だから····· ソフィちゃんに頼ろっかな」

「ほぅ、まぁ聞いてたからそこまでは驚かぬが、いい名前を決めたのぅ、まぁフロウほどじゃないけどのぅ!!」

「ん、おめでと」


「いい名前を決めたなソフィ、お前たちらしくていい名前じゃないか」

「そうねぇ、フェニちゃんって呼んだらいいかしら?」

「フェニカちゃんとフロウってどういう関係になるんだっけ····· 姪でいいんだっけ·····」



 『フェニカ』


 フェニカという言葉には、複数の意味を持たせている。


 まずはフシ町で生まれ、私たちみたいにずっと長生きしてくれるようにと、過酷なこの世界でも死なずに生き抜いて欲しいと願って、不死鳥こと『フェニックス』から。

 そして一月生まれで、一月の誕生石である『柘榴石(ガーネット)』の語源となった『ザクロ』の学名『Punica Granatum』から。

 またザクロの全体の花言葉は『子孫の守護』で、この子を守ってくれるように、いつか産まれるこの子の弟妹や孫たちがずっと健康で幸せでいてくれるように願って『ザクロ』を選んだのだ。


 フェニカとは、この全ての意味を組み合わせた、私がこの子に贈れる中で最高の名前·····だと思う。



 きっと、不死鳥のように長生きしてずっと健康で、ガーネットのように美しく、いつまでも輝いてくれる、美しい子に育ってほしいと願って、私たちはこの名前を選んだのだ。



「成長が楽しみだなぁ、6歳になったら魔法学校に行かせたいなぁ····· でもずっと一緒に居たいし····· あぁもしフェニカが彼氏を連れてきたらどうしよう····· とりあえずブッ飛ばして····· ねぇフィーロ君、私、初孫が出来たら嬉しくて死んじゃうかも」


「ソフィちゃん、流石にまだ早すぎるから·····」


「いや、でも····· うん、ちょっと早いかな」



 成長するの楽しみだなぁ·····


 あとイデアにも会わせてあげたいし、エビちゃんの娘のフロウちゃんにも会わせてあげたいし、記念写真····· はさっき抱き上げた時に撮ったけどまだまだ撮りたいし、授乳ももっとしてあげたいし、ずっと抱いててあげたいし、早くこの子と話がしたいし、色々教えてあげたいし、前世の家族にも見せてあげたいし、知り合いたちにも自慢したいし、家族3人で団欒もしたいし、溢れんばかりの愛情を注ぎ込みたい。



 なんて思いながら、私は出産でボロボロになった身体にムチを打って、行きとは違って1人増えた家族3人で、なかよく我が家へと帰っていったのだった。




名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「はぁぁぁぁあああああんっ、もう、もうっ!可愛すぎるって····· どうしよ、食べたくなっちゃうくらい可愛い····· あと嬉しすぎる····· 幸せって、こういう事なんだ·····んふふふっ」


名前:フィーロ・シュテイン

ひと言コメント

「名前、男の子だったらグラナで女の子だったらフュニカかフェニカにしようって思ってたんだ、女の子ってわかってからはフュニカかフェニカで悩んで、最後はフェニカに決まったんだ」


名前:フェニカ・シュテイン

年齢:生後数十分

ひと言コメント

(睡眠中のためありません/統一人類語を覚えていないためありません)


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