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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第六章 TS賢者は母になるっ!
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TS賢者は母になるっ!





「もう無理!無理っ!!産まれるっ!!というか、産ませてよっ!!いだだだっ!!死ぬっ!しぬぅぅぅううっ!!」





「ソフィさん落ち着いてください、呼吸を整えてください」


「ひっひっふぅぅぅうう!!!!」


「それじゃありません!まだ早いです!」

「無理!!あぁぁあああ、うぐぅぅぅぅうううう·····」


「ソフィちゃん!深呼吸!深呼吸して!」


「コォォォォォオオオ·····」


「なんか波紋みたいなの出てるよっ!!落ち着いてってば!!」



 ソフィが治療院に到着してから約3時間後、陣痛がピークを迎えた。

 それと同時にソフィは痛みやら産気やらで錯乱状態に陥り、無意識で波紋の○吸をしてしまうほどのパニックを起こしていた。








 はい。



 こちら数後日のソフィちゃんです。


 ·····当然あんな状態で実況なんかできるはずも無いし、この後分娩室に移動して出産が終わるまで錯乱してたせいで、小説だとか余計な事を考える暇が無かったのよね。

 じゃあどうやってんのかと言うと、後から産まれた我が子に授乳しながら録画を見返してアテレコをしているのだ。


 あっごめん、ネタバレしちゃった。

 勢いでもう言っちゃうけど母子ともに無事だから安心してね。



 いやぁこの時はマジできつかった、出産なんて楽勝っしょってナメてた私をぶん殴りたいよ。


 まぁでも、ぶっちゃけ言って今後の子育て生活の中で一番キツかったのはこの時だったかもしれない。



 そんじゃ続きをどうぞ☆





「はぁ····· すぅぅぅぅぅうう····· はぁぁぁぁああああ····· 痛いってこんちくしょうがぁぁああああああっ!!!」


「婦長、どうですか?」

「まだ少し早いと思いますがこれ以上は持ちそうにないですね、仕方ありません!分娩室に移動します!」


「了解です、ソフィさん行きますよ!」


「歩けるかボケェェェェエエエエエッ!!!!」


「歩かせませんよ!!」



 私は看護婦さんたちの手でストレッチャーに乗せられ、すぐ近くの分娩室に運ばれた。

 もちろん私はその間もギャーギャー騒いでるし、私の後をなかよし組のみんながついて行っている賑やかなパレードの集団が通り抜け、唸り声を上げながらも無事に分娩室前に到着した。


 そして入る直前に、締め出されてしまうフィーロ君が私に話しかけてきた。



「ソフィちゃん頑張ってね、僕、外で応援してるから!」


「うんっ、応援してて、元気な赤ちゃん産むから待ってて!」


「じゃあ行ってらっしゃい、·····『マジックエミュレータ 鎮痛:強』、あとは僕にできることは祈る事しかないから、頑張って」


「ふぅ····· 落ち着いた····· ありがとうフィーロ君、またね」



 フィーロ君は私の事を激励すると、私が使った鎮痛魔法をコピーしてかけてくれた。


 そのおかげで痛みはだいぶおさまり、フィーロ君の激励もあって精神もかなり安定したし、この後もかなり落ち着いて出産に臨めるようになったナイスフォローだった。


 そして私は愛する夫で、次会う時は父になっているフィーロ君に別れを告げ、分娩室の中に運び込まれて行った。





 分娩室に運び込まれた私はなんとか自力で分娩台に移動すると、早速産む準備を始めた。


 多分というか絶対この握るところとか握りつぶしちゃうと思うから魔法で分娩台をめっちゃくちゃに強化して、痛みに耐えきれなくなった時のために鎮痛魔法を発動できるようにショートカットを作成しといて、いきみ過ぎてもし血管が切れたりしても大丈夫なように回復魔法も発動できるようにしたり、万が一の事態が起きた時用に考えた最終手段を用意した。


 ·····最終手段はできれば使いたくないのよね。


 セルフ帝王切開、自分でお腹を切り裂いて赤ちゃんを摘出して私はリスポーンする本当に最後の手段だ。


 まぁ結論を言うと使わずに済んだんだけどね。



「うぐぅ····· なんか、違和感が·····」


「ちょっと見ますね、·····ただの違和感ですね、まだ降りてきていません」


「えぇ·····」


「ただ陣痛が激しくなってきていますね、もうすぐだと思いますのでいつでも産めるよう気を付けておいてください」


「了解、です、リラックスしておいた方がいいですか?」


「リラックスしてもいいですが、いきむのはまだです、許可が出てからお願いします」


「はぁい·····」



 今はかなり強い鎮痛魔法で痛みを抑えているけど、たぶん痛すぎて体が違和感として感じ取っているのだろう。

 もし今鎮痛魔法が外れたら私死ぬんじゃないかな、ってくらいヤバそうな雰囲気がしている。


 ·····ところでコレって無痛分娩になるのかな?


 まぁいいや、無事に産まれるならなんでもいいからね。



「やはり鎮痛魔法があると違うんじゃのぅ·····」


「だね、今の所違和感はあるけど痛くないし、骨が折れるくらいの痛みだから全然平気だよ!」


「それならよか····· おいお主今何言った?」


「えっ?骨が折れた時程度の痛さって言ったと思うけど·····」


「十分痛いじゃろそれっ!!」


「別に?」



 そうそう、言い忘れてたけど今私は骨が折れた程度の痛みが襲っている。

 うん、一般人にとっては死ぬほどの激痛かもだけどしょっちゅう折れてるから慣れてるのよね。


 ちなみに鎮痛魔法をかける前までは昔私の左腕が消し飛んだ時くらいの痛さだったような気がする。

 意識が朦朧とするくらいヤバかったし、真面目に出産したいからギャグ補正も無いせいでガチで痛かったし·····


 でも今は鎮痛魔法のお陰で余裕でお茶でも飲んでその時を待つくらい痛くない。



「ワシでも脂汗でるのじゃ、その痛みのレベル·····」


「んー、痛いけど別に足の小指を強烈にぶつけた時くらいの感覚だし耐えられないわけじゃないから」



 ·····そう、私の感じていた痛みとみんなが想像していた痛みにはだいぶ差があったのだ。

 いや、確かにキツいけど私くらいになるとねぇ·····


 まぁ痛いっちゃ痛いけど、お腹の赤ちゃんも生まれようと頑張ってるわけだし、お母さんになる私がへこたれてる暇はないからね。



「まっ、リラックスして待ってるわ」



 そして私は余裕をぶっこきながら、陣痛と共にいきもうとしている身体を理性で押さえつけてその時を待っていたのだった。









「ふぅぅぬっぅぅうううううううっ!!!」


「はい息吸って!」


「ひっひっふぅぅぅぅぅううう····· はぁっ、はぁっ·····」



 あれからしばらくして、ついに分娩が始まった。


 子宮の外に頭が出始めたのを確認して合図が出たので、私は鎮痛魔法を少し緩めて陣痛をわかりやすくして、その陣痛に合わせて思いきりいきみ、休んで呼吸を整え、そして波が来たらもう一度いきむというのを繰り返していた。


 ぶっちゃけ言って死ぬほどキツい。



「頭がかなり出てきましたよ、頑張ってください」


「わがって、うぎぅっ!!」


「はいいきんで!」


「うんぐぅぅぅぅうううう····· ふんっっっっっ!!!かはぁっ!はぁっ!はぁっ·····」



 さ、酸素が、たりない·····


 お、おちついてる間に、魔法、作る·····



「魔法構築、デオキシヘモグロビンを、強制的に、酸素と結合、オキシヘモグロビンに変化、二酸化炭素を除去、ミオグロビンに酸素を供給して貯蓄····· できた、『オキシジェンジ』っ!!」



 急いで新たに作り上げた、血液中のヘモグロビンに酸素過多にならない程度に酸素を供給して二酸化炭素を魔法で排出させ呼吸を整える手助けを行う魔法『オキシジェンジ』を発動すると、私の呼吸は一気に安定した。



 そしてまたいきんで、呼吸を整え、いきんで、呼吸を整え、いきんで、酸素不足で気絶しかけて慌てて魔法で酸素を強制供給して、いきんで·····




 それを何度も何度も繰り返した。




「頭が出始めました、あと少しです!!」


「わかり、ましたっ!!ふぅんぬぬぬぬううぅぅぅぅぅううううっ!!!!痛っっっっ!!むぐぅぅぅうううっ!!!!」



 時計を見る余裕もないからどれくらい時間が経ったかはわからないけど、ついに赤ちゃんが体の外へと出始めた。


 ·····ちょっというか悩んだけど、言うかな。


 私の狭い産道は赤ちゃんが通っていて押し広げられ、激痛が走っている。

 産道は出産が近付くにつれ柔らかくなると言うが、それでもだいぶキツいし死ぬほど痛いし、鼻の穴にスイカを突っ込まれたみたいに痛いし、強烈な圧迫感が押し寄せていて辛すぎる。


 私は5cmくらいなら大丈夫だけど、赤ちゃんの大きさは10cm前後で倍近くあるから耐えられるはずもない。



 でも産むしかない、そして可愛い私の娘を見るために、私は頑張っていた。



「はぁ····· あと少し、あとちょっと····· 私もがんばる、だから、()()()()も頑張って····· うぐぅぅぅぅうううううううっっ!!!!うっ、ぐぅぅぅぅううう·····」


「その調子ですよ、ラストスパートをかけましょう、しっかり息を整えてください」


「ぷはぁっ!!はぁっはぁっ····· 了解、はぁはぁはぁ····· 次で、決めます」


「急く気持ちもわかりますが落ちついてください、時間をかけてゆっくりと行きましょう」


「わかりました、あっ、きますっ」



 そしてラストスパートをかけるため、私は朦朧とする意識を気合と根性だけで繋ぎ止め、早く娘に会いたい気持ちを抑えて、陣痛に合わせて思いきり力を入れ



「ふにゃへっ!!?」



 たと思ったら、なんかスカッってなった。


 いや、スカッとというより、なんか一気にどるるるるんって詰まってたモンが一気に出たような、なんていうか、すんごい快便だった時の·····



「ソフィさん、産まれましたよ!」


「·····は?」



 驚いて体を起こして前を向くと、そこには臍の緒がつながったままの一人のしわくちゃな赤ん坊が居た。


 まだ羊水やら何やらで汚れていて色が良く見えないけど、少し暗めな銀髪の女の子で、若干青紫色が混ざっているように見える。

 私の髪の色に、フィーロ君のこげ茶色を少し足して、青紫色にしたような綺麗な色だ。



「えっ、産まれたんですか·····?」


「おめでとうございます、立派な女の子ですよ!」





『おぎゃぁぁぁぁああああああああっ』





 状況を飲み込めていない私がポカンとして赤ちゃんをみていると、赤ちゃんは····· いや、私の娘は思いきり息を吸い込み、元気いっぱいな産声を上げた。


 産声を聞いた私は、今までの疲れも痛みも何もかも吹き飛び、朦朧としていた意識が一気に戻ってきた。



 そして、私の大事な大事な娘に、元男で今は女性····· いや、母親となった私が、母親として初めて声をかけた。





「おはよう、フェニカ、産まれてきてくれて·····ありがとうね」


『おぎゃぁあっ!ほにゃぁぁあああっ!!』




 一年の始まりの最も美しい太陽に照らされた、初日の出のように可愛い私の娘『フェニカ・シュテイン』は、産声と共に生命が生きている証拠である呼吸を始めた。


 その産声は分娩室中に響き渡り、自身の父親と母親に、私とフィーロ君に、『私は元気に産まれた』と言葉は無くともしっかりと伝えてくれた。


 きっと、あの扉の向こうに居るフェニカのお父さんも、私も、満面の笑みを浮かべているだろう。



名前:ソフィ・シュテイン

娘:【フェニカ・シュテイン】

ひと言コメント

「んふふ、幸せ·····」


名前:フィーロ・シュテイン

娘:【フェニカ・シュテイン】

ひと言コメント

「産声·····っ!!産まれたっ!!よかった、本当に良かった·····」


名前:フェニカ・シュテイン

年齢:生後1分未満

ひと言コメント

『ほにゃあっ!ほにゃぁあっ!!』


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