人生最高のお年玉を、君に
【建国1229年1月1日】
「んじゃみんな、あけましておめでとー!!」
『『あけましておめでとう!』』
私が依頼を受けてからしばらくが経ち、年が明けた。
そして年明けの初日の出と共に、私にも明るい一年が訪れようとしていた。
「それじゃ早速おせちとか食べてのんびりしよっか、いただきまーす」
私たちなかよし組の一年の始まりは、午前中みんなでディメンションルームに集まっておせちを食べたりお年玉と言う名のプチプレゼント交換会みたいな事をしたりして、午後からは各々好きに行動して、私とフィーロ君はいつも日本の神社に行って初詣、グラちゃんは地元に帰って家族とすごして、ウナちゃんはもう一人の自分でお姫様としての仕事をやってもう片方は家でダラダラして、アルムちゃんは商魂逞しく年始からお店を開いて縁起物をアヤメと一緒に売って、ミカちゃんは寝正月、チェルは越冬中、リリアは実家と日本を行き来している感じだ。
って事で、まずは午前中の行事をやってしまおう。
「んふ~っ♡ やっぱ私って天才、私の作ったおせちうまぁ·····」
「ソフィちゃんのおせちさ、毎年言ってるけど僕がネットで調べたおせちと全く違うんだけど?」
「そうね、ただの豪華料理の盛り合わせよね」
「でもさ、ちゃんとおせちに入ってる料理もあるし····· 何なんだろうねコレ」
「こっち流のおせちでいいんじゃない?」
「いやこの世界におせちはないじゃろ····· っと、お主はこっちじゃな、むふふ、フロウ、たっぷり飲んで元気に育つのじゃぞ?」
「ん、豪華すぎ」
「おいしい、くちのなかがしあわせ」
みんなの言う通り、私の作るおせちは一味違う。
何せ有り余るお金と食材をふんだんに使って作った超豪華なおせちらしき何かなのだから。
·····おせちというか、おせちを入れる箱に豪華な料理を詰め込みまくってるだけなんだけど。
でもでも、一応伊達巻とかクリントイー○トウッド·····じゃなくて、クリ○トン大統領じゃなくて····· なんだっけ、栗ペーストの名前。
·····思い出した、栗きんとんだ。
私は栗きんとんとかも全部ちゃんと手作りしているので、ドラゴン肉とか魔物化した魚とかの料理が沢山あっても別にセーフだろう。
「まぁ美味しければいいでしょ別に、んふふ·····」
「·····お主はもうすぐ出産じゃろう、数の子でも食っとけ」
「はむぐっ!?·····うーん、いい感じにプチプチするぅ」
自分の作った料理でニヤニヤしていると、エビちゃんに数の子を口の中にぶち込まれてしまった。
ちなみに数の子はニシンが捕まえられなかったから日本でかなりいいヤツを買ってきたけど家でちゃんと塩抜きをしたから、まぁ、うん、一応手作りって事で。
·····そうそう、実は私、もうすぐ出産予定なのだ。
というかもういつ生まれてもおかしくないのよね、1月上旬が出産予定だし。
それにお腹もめちゃくちゃ大きくなって限界まで膨らんでて、ちょっと息がしにくいレベルだ。
なんなら今めっちゃお腹痛いし、ちょっと我慢しながらおせち食べてるのよね。
んでお腹の中の子ももうほとんど動かなくなっていつ生まれるかわからないくらいな状況で、いつ生まれるか毎日ドキドキしながら過ごしている。
「はぁ、そうだ、お年玉に赤ちゃんとか良くない?産まれてくれないかなぁ·····」
「玉は宝石って意味じゃからのぅ、お主が宝物と思えばお年玉で良いと思うのじゃ」
「んふふ、玉のような子って言うもんね、うぐっ····· ゴメ、ちょっと私はお花摘みに····· 昨日の夜からお腹痛いしなんか変でさ·····」
「勝手に行ってこい、報告せんでもええわ」
「へぇい、あっ私の分残しといてよ?」
「わかってるよ、ソフィちゃんの分も残しておくから行ってらっしゃ·····」
なんか今朝から尿漏れが酷いしお腹が緩いのよね·····
ったく、お年玉ならぬ落とし下痢は要らないのよ、下から出るのは赤ちゃんだけにしてほしいわ·····
「ん?·····すんすんっ、むっこの匂いは·····!?待てソフィ!!」
「ん?なに?」
「腹痛はあるか!?」
「えっ?まぁちょっと緩いからそういう意味では痛いけど·····」
「どのくらいじゃ、どんな痛みじゃ!?」
「下痢っぽいというか、割とキツい時の生理痛くらい?」
「お主はとっとと病院に行けっ!!フィーロ!!お前はさっさと着替えて上着を着せてソフィを治療院に運び込めっ!!」
「·····へっ?」
「どうしたのエビちゃん?」
「ソフィ!お主破水しておるぞ!!お産が始まっとるのじゃ!!」
「·····えっ?」
『『ええええええええええええええええええええええええっ!!!!!??』』
えっ、破水?
でも破水したら水風船が割れたみたいな感じがして羊水がドバドバ出てくるんじゃないの?
あと子宮口が開いてきてめっちゃ痛いって聞いたんだけど·····
うん、別にちょっと便秘か下痢気味でお腹の調子が悪いくらいだよね。
「い、いや、流石に····· お年玉が赤ちゃんってただの冗談·····」
「どうでもいいからさっさと行けっ!!」
「わ、わかったよぅ····· おせち残しといてよ?」
「こんな大事な時にアホ言ってるバカがどこにおるこのマヌケッ!!アキ殿!フロウは任せる!ワシは先に治療院に行って伝えてくるのじゃ!」
「お任せください、エヴィリン様のご息女を我々シルキー····· 行ってしまわれましたか·····」
「僕たちも行くよ!みんな後はお願い!」
「行ってらっしゃい!ワタシたちはおせちを片付けたらすぐ行く!」
「そうね、頑張りなさい、ソフィ」
「いってらっしゃーい」
「ん、がんば」
「がんばって、ソフィ、待ってる」
「えっ、あっうん·····?」
私はイマイチ状況がつかめないまま、あっという間に上着を着させられて魔動車のケッテンクラートに運び込まれ、この日の為に運転を練習したというフィーロ君の運転によって町中を爆走して治療院に運び込まれてしまったのだった。
◇
「·····はい、おしるしも出ていますし軽くですが破水してますね、エヴィリンさんはよく気が付きましたね····· というか町長の娘さんに言うのは失礼でしょうが、貴女バカですか?」
「エビちゃんにも言われました、あとアホとマヌケも」
「まったく····· いつ頃から羊水が流れ出ていることに気が付きましたか?」
「えーっと、午前1時くらいに起きた時ちょっと違和感があったような·····」
「あのですね、今何時だと思っているんですか?午前8時半ですよ?子宮口がもう6cmも開いてますよ?よく耐えましたね····· 陣痛も来ているはずですよ?なんで気が付かなかったんですか?」
「えっ?·····もしかして、この下痢の波みたいな感じのがそうなんですか?」
「はぁ····· 痛覚どうなってるんですか貴女」
朗報、破水してました☆
んでどうやら陣痛も来てたらしい。
いやぁこんな感じなんだねぇ、別に今の所軽い腹痛の波くらいな感じなんだけど想像よりあんまり·····
まぁ私の痛覚ぶっ壊れてるし仕方ないか、これからたくさんお世話になるであろうアン○ンマン師匠くらい自分のパーツをもぎもぎしても平気だし。
そうだ、今度自分の頭でやってみよっかな!
ボク、人肉マン!·····いやどっちかというとリ○コさんにヘッドショットを喰らった碇ゲ○ドウか、脳みそ拾って戻したりしてるし。
うん、絶対子供が泣くからやめておこう。
「えーっと、それで····· ここからどうすれば·····」
「手続きは全てエヴィリンさんが終わらせています、病室に行ってください、準備が整い次第始めますよ」
「えっ?」
「行きますよ」
「ちょまっ!早くない!?」
「行くよソフィちゃん」
「ちょちょちょ!まぁぁあああああっ!?心の準備ぃぃぃいいっ!!!」
私の理解が追いつくより早く、事態は一気に進展していった。
◇
その後、私は出産用の服みたいなのに着替えさせられ、治療院のベッドで休んでいた。
「ソフィちゃん大丈夫?」
「·····クソ痛い」
「お主、やっと陣痛の痛みを感じ始めたのか·····」
そしてつい10分前くらいに陣痛の本番が始まったみたいで、うん、キツい。
なんて例えればいいかな·····
少なくとも男の頃には一度も経験した事のない痛みって感じだわ。
例えるなら、ハンマーでお腹とか背骨とか骨盤をドコドコ殴られて下痢による腹痛と便を押し出されてるようなイメージかなぁ·····
·····瞬間的な痛みじゃなくて、ずっとこれが何度も襲ってくるしずっと続くから地味にキツい。
ついでに10分前くらいに陣痛が始まった時、本能か何なのか知らないけどいきんじゃって盛大に破水しちゃったのよね·····
「経過観察の時間です、どうですか?」
「キツいです」
「正常ですね、ではもう少し頑張ってください、初産婦ですのであと4時間ほど耐えてください」
「ひえぇ·····」
まじかぁ····· これ以上キツくなるの?
というか4時間もこのままかぁ·····
私は陣痛を紛らわすように、心配してきてくれたなかよし組のみんなと喋りながら、産まれようと頑張っている私の赤ちゃんをお腹の上から撫でて応援して時間を潰したのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
状態:陣痛
ひと言コメント
「この子も頑張ってるんだし、私も頑張らなきゃ····· 痛!むぐぅぅぅうう····· キツい····· マジでキツイわ····· 無事産んだら母さんとお母さん2人に産んでくれた事感謝しないとだわこれ····· いたたたたたたっ·····」
名前:フィーロ
状態:錯乱(軽)
ひと言コメント
「ソフィちゃん僕に何かできることはない?大丈夫?何かあったらすぐに言ってね?ずっと隣に居るから安心してね?心配しないで落ち着いて、僕が居るから大丈夫だから」




