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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第六章 TS賢者は母になるっ!
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出産前最後の冒険者活動!


 エビちゃんが出産してからしばらく時間が経った。


 ·····具体的に言うと3週間経過し、私は妊娠33週目に差しかかった。



 もうお腹ははち切れんばかりに大きくなって、中が狭くなってきたのか赤ちゃんの動きがだいぶ減ってきた気がする。


 そういえば私も産まれる1ヶ月くらい前になったら動きにくくて窮屈で退屈だったなぁ·····



 なぜかアカシックレコードにデフォルトで入ってたゲームが無かったら暇すぎて死んでたかもしれないくらい動けなくて暇で、ただひたすらピンボールとマインスイーパーとオセロと数独とその他色々な簡易的なゲームで遊んでいた記憶しかないわ。


 いいよねレトロなゲームって。

 最近のめっちゃきれいなCGを使ったゲームもいいけどさ、たまには初心に帰って2Dのレトロなゲームをやるのも中々楽しいよ?


 っと、危ない危ない、ついゲーム語りをしそうになっちゃたわ。

 いや、してるけど早めに切り上げよう。



「さーてと、貯まった依頼は····· うわぁ、厄介なの多いなぁ·····」


「·····あの、ソフィちょっといいかしら」


「はいはい?追加で何か依頼あんの?」


「もう子供産んだの?この前エヴィリンさんが出産したって話は聞いてたんだけど·····」


「あー、まだだよ?この調子だと来年になりそうかなぁ·····」


「でもソフィ、ほぼ臨月なのにお腹が·····」



 私は今、フシ町のギルドに一人でやって来て、貯まりまくった詰み依頼をサクッと終わらせにきたのだ。


 ·····で、実は今の私の姿は10ヶ月前から一切の変化が無いスマートで腹筋が割れててほんのり脂肪がついて女の子らしい体つきの、とても妊娠9ヶ月とは思えない姿なのだ。


 まぁただの分体なんだけどさ。



「んふふ、実は私って100人居るのよ?私はそのうちの一人だからね」


「ほんっとソフィって冗談が好きよね、·····で、本当のところどうなの?」


「ん~、私の秘策だから詳しくは教えたくないかなぁ、まぁざっくり言うと魔法とだけ·····」


「ざっくりすぎよ·····」



 ·····ごめん冗談言った。


 私の分体は正確には108人いる。

 そのうちメインで動いてるのは妊娠中の本物の私を含めた13人で、他の95人の私は予備だ。


 まぁバカ正直に言う必要もないし、Sランク冒険者の秘策って言うと流石に聞けないだろうかr



「で、秘策って?」


「わぁお聞いてきたよこの人·····」


 プライベートとか気にせずズカズカ聞いてくるから彼氏できないんじゃないかな?って言おうとしたけどグッと飲み込んだ。


「まぁ、なんていうか、やたらデカい私いるじゃん?アレの応用よ」


「あの巨神へ」

「わーわーわーっ!!!その名前はやめてって前も言ったよね!!?」


「失礼したわね、まぁそういうことにしといてあげる、じゃあ依頼が決まったら呼んで頂戴?私はそれまで別の仕事してるから」


「ったくもー·····」



 まぁいつまでも愚痴を言ってたらキリが無いから、さっさと依頼を見てどれを受けるかきめよっと。



 そういえば説明し忘れてたねっ☆

 私は分体の内の一人で元の肉体に最も近くなるよう調整した私に意識の大半を移して、久しぶりにギルドに依頼を受けに来たのだ。

 というのも、そろそろ年末でギルドの仕事も忙しくなるし、年明けには出産する予定·····なんだけど、エビちゃんの様子を見るに産後の方が大変そうだったから、今のうちにできそうな依頼は完了させておこうという魂胆なのだ。


 でも受ける依頼は私宛に届いた、どうしてもSランク冒険者だったり私にしかできない様な依頼だけに限定されているので、数はだいぶ少ない·····


 ·····少ない?



 私の目の前には、魔法の教科書かってくらい大量に積み重ねられた紙の束があった。





「きっつぅ····· まじざっけんな·····」


「決まったかしら?·····こっちが依頼を受ける方ね、めちゃくちゃ絞ったじゃない」


「そうでーす·····」



 10分後、アカシックレコードと魔法を駆使してスキャンとリスト化と優先順位の決定をやって、ようやく受けるべき依頼を決め終わった。


 そして受ける事にした依頼はたったの6件で、500件近く届いていた依頼の僅か1%程度だ。


 それ以外は別に私じゃなくてもできるし、何なら貴族が怪しげな依頼を出してたりしていて、そういう緊急性の低い依頼はやめてと通達してたはずなのに届いていたのだ。



 んで逆に私が選んだ6件の依頼は、ド緊急の依頼じゃないけど私じゃないと完了させられない依頼という訳だ。



「これはまた····· 頑張ってくださいね」


「へぁい·····」



《依頼受注完了!!》


【大規模瘴気汚染地区の浄化の手伝い】

【大量発生中の悪魔の討伐】

【デミダイヤゴーレムの討伐】

【正体不明のバケモノの調査】

【聖地にある世界樹の手入れ】

【浮遊島の移動か解体】





 ギルドから出た私は早速飛行魔法で空へと飛び出し、私が飛行魔法で町の外へ出たと示す発光サインを放ってから一つ目の場所に向かっていた。



「にしても、瘴気汚染かぁ····· 面倒な事をしやがって·····」



 まず最初の目的地は、クリフ湾に面した火山の町『クリフ町』で、サラキ島という火山と温泉で有名な超巨大カルデラの町だ。

 ちなみにレミアの出身地ね。


 ちなみに日本の地図と照らし合わせると大体鹿児島市····· じゃないね、姶良市あたりにある伯爵家が統治する町で、クリフ湾はまんま鹿児島湾、サラキ(しま)はクリフ湾に浮かぶ桜島とほぼ同じ火山島だ。


 どうやら依頼書によると、近くで大規模な魔物の発生があって、海上から海外と交易が盛んが故に手に入れられた新型魔導砲による艦砲射撃をめっちゃくちゃ浴びせて鎮圧したはいいものの、倒した後に適切な処理をしてなかったせいで魔物の魂や怨念が蓄積してしまい、瘴気が発生して汚染されるようになってしまったとの事。


 そんで今は瘴気を除去しようと自慢の海運業の船でサークレット教の本部から聖女や聖人を沢山連れてきて浄化中らしいんだけど、悪魔が産まれて結構厄介な事になってるらしくて、現状では食い止めるのが限界でだいぶ死傷者も出ててヤバいらしい。


 んで苦肉の策で伯爵とサークレット教会が合同で私に依頼を出してきて、瘴気の浄化と悪魔の殲滅をお願いしてきたという訳だ。



 ちなみに瘴気は私が負の魔力と呼んでいるモノで、魂を適切に扱わないと発生したりする人体に有害な魔力の事だ。

 一般人がこれに触れると体内の魔力が負の魔力に置き換えられ、間違った血液型の血を輸血されたかのように魔力が暴走して最悪死に至る危険な魔力だ。


 これに対抗するには聖の魔力、つまり神聖属性などの特定の波長の魔力が必要で、神聖属性の魔力で負の魔力を中和することで減らすことが出来るのだ。


 だが神聖属性の魔力を持つ者はかなり少なく、数万匹単位の魔物を殲滅して魂を放置してできてしまう瘴気汚染地区なんかが出来ると浄化が大変になるし、しかも放置しすぎるとそこから悪魔系の魔物が出現してくるのだ。


 悪魔系の魔物は非常に強力で、神聖属性が付与された魔法や武器じゃないと攻撃が効かないし祝福が掛かった防具じゃないと攻撃が防げない····· って訳じゃないけど、神聖魔法が無いと倒すのがだいぶ大変なくらい強いので厄介なのだ。



「えーっと、瘴気かぁ····· どうやって浄化すんだっけ、まぁいいや、思い出してる間に先にこっちやろっと」



 でもその前に、私は超珍しい魔物の『デミダイヤゴーレム』を討伐しに寄り道したのだった。





 デミダイヤゴーレムは黒光りするメタリックなゴーレムで、別名『黒鉄の魔神』と呼ばれている。



 その見た目は確かに黒いのだが、コアのある部分は深海のように蒼く透けて見え、表面は虹色にキラキラ輝いていて、表面はかなり歪で鋭くとがった板状の結晶が晶出している不思議なボディをもっており、まるでブラックオパールが歩いているのでは無いかと錯覚するほど美しい魔物だ。



 ·····だが、この魔物は珍しく有益なゴーレムではないとされている。


 その理由として、なんとアダマンタイトの如き硬さを持っているのだが、アダマンタイトを精錬するほどの高温でなければ融解しない上に溶かすと硬度が失われ、あまりの硬さ故に通常使われるガーネット系や石英系の研磨剤では太刀打ちできず、なんと魔結晶やコランダムの研磨剤でも削れないほどの硬度を持ち、熱して叩いても何故か金属のような動きをしない謎の物質で構成されているからなのだ。

 ある学者によると、金属ではなく宝石なのではないかと言われているが、存在する数が少なくて調査も進んでいないそうだ。


 あまりの硬さと加工の難易度と希少性が故に、ダイヤモンドっぽい何かという意味の『デミダイヤ』と名付けられたゴーレムだ。



「よっと、ここか·····」



 そのゴーレムが居るのはクリフ町の北東にある名も無き山の中で、昔の民間信仰の聖地があったと言われている場所だ。


 しかし信仰する人がいなくなった今は遺跡となっていて、苔むした岩でできた祠などの跡地があるだけの霧に覆われることが多いなんだか神秘的な場所だ。

 日本の地図に照らし合わせると、だいたい『高屋山上陵』あたりかな?



 いった事は無いけど、ここと同じできっと神秘的な場所なのだろう。



 ·····ただし『()()を除いて』という言葉を付ける必要がありそうだけどね。



「いた、デミダイヤゴーレム····· いや、モアッサナイトゴーレム、もしくは『炭化ケイ素ゴーレム』って呼んだ方がいいかな?」



 私の視線の先には、岩がゴロゴロ転がる遺跡の中に不自然なほど綺麗な、人工物のように見える黒色を基本として虹色に煌めく人外の形をした謎のゴーレムが静かに佇んでいた。




名前:ソフィ・シュテイン

ひと言コメント

「自然界にはほぼ存在しないと言われる幻の鉱物が、魔物として存在するなんて中々狂ってるねぇ····· 流石は魔法の世界、何でもアリだね」


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