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TS賢者は今日も逝くっ!  作者: すげぇ女神のそふぃ
第六章 TS賢者は母になるっ!
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魔王家の歴史は再び動き出すっ!


『ふぐぅぅぅぅぅううううっ!!っはぁ、はぁっ!』




「·····暇」




「さっきから気になってたんだけどさ、なんでソフィちゃん外にいるの?」

「それボクも気になってた」


『うぅぅぅぅうううううううっ!!!!!』


「·····ウザいって言われて追い出された」



 11月の某日、私はエビちゃんの苦しい声が聞こえてくるフシ町の治療院の中にある産婦人科の分娩室の扉の外で、お兄ちゃんとフィーロ君とお父さんと一緒に居た。



 実はついさっきエビちゃんが分娩室に入ってとうとう出産を始めたのだ。

 ·····んだけど、最初は私もついて行って付き添ってみてたんだけど、少したら追い出されたのよね。


 ちょっと心配しすぎて話しかけたり色々やってたらエビちゃんがキレて追い出されちゃったのよ·····



 あとついさっきと言っても11時間くらい前で、実家に居たエビちゃんが陣痛が始まって治療院に運び込まれて、私もディメンションルームから速すっ飛んできて今の今までずっと付き添っていたのだ。

 そして陣痛でだいぶ辛そうだったし子宮口が開いてないのにいきみ始めてしまっていたので、医者に許可を取って鎮痛魔法で痛みを和らげてあげたらだいぶ落ち着いて、無事に11時間経ってようやく分娩第1期が終わって分娩第2期というか出産が始まったのだ。


 ·····そこでもついて行って痛くないかとか必要なモノは無いかとか聞いてたらブチギレられて追い出されたって訳だ。


\ガタガタガタガタガタガタガタガタガタ/

「ソフィは心配しすぎだ、次は自分の番なんだから少しは落ち着いておけよ」


\てくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてく/

「お父さん、残像が残りそうなくらい高速で貧乏ゆすりしながら言ってても説得力ないよ」


\ちらっ····· カチッ/\ちらっ/

「·····あの、ラクトお義兄さんも歩き回りながら言ってても説得力ないですよ」



 分娩室にエビちゃんが入ってから20分、私が追い出されてから19分経った今もみんなソワソワして落ち着かない様子だ。

 何なら私たちの中で一番落ち着いて見えるのがフィーロ君って言うレベルでみんな落ち着いてない。


 ·····そういうフィーロ君もさっきから15秒に1回くらい時計を見たりスマホを見たりを繰り返して落ち着かない様子なんだけどね。


 ん?私はどうなんだって?

 ·····落ち着かなかったせいで追い出された時点で察して?



「そういえばお父さんって出産に立ち会うのってこれで4回目じゃないの?まだ慣れないの?」


「正確には5·····今のは忘れてくれ、うん、まぁなかなか慣れないな、それに今回は俺の子供じゃなくてラクトとエヴィリンの子供だし初孫だからな」


「ふーん」



 あっれれ〜?おっかしいぞ〜?

 お兄ちゃん、私、イデア、エビちゃんの娘の4回のはずだけど?

 うん、+αについては初孫という幸せな場だから問い詰めないでおいてあげよう。


 ·····町役場にお父さんに雰囲気が似てるお兄ちゃんと同い年くらいの女性職員が居るのはツッコまないでおこう。

 ·····それとその人、やたらルー·····やめとこ、お母さんとルーベさんにバレたら多分記憶飛ばされるし。


 それに、私は人の過ちを許す側の存在だからね。




 何せ私は慈悲深い神様なのだから。




「·····まだかな」


「お兄ちゃんさっきから1分に1回くらいそれ言ってない?1時間以上かかるらしいからまだだと思うよ」


「今何時間経った?」

「21分43秒ですよ」


「·····長いなぁ」



 お兄ちゃんの心配そうな声は、廊下にまで響いてくるクッソうるさいエビちゃんが苦しむ声であっという間にかき消されてしまったのだった。





「·····はい、母子ともに健康ですね」


「ありがとうございます、いやー、通りすがりなのについでで診察してくれてありがとうございます」


「いえいえ、ソフィさんももうすぐでしょうし頑張ってくださいね」


「もちろんです!」

「ありがとうございました」



 エビちゃんはどうやら相当な難産みたいで、あれから50分経ってもまだ苦しんでて院内も大分慌ただしくなってきたので、私とフィーロ君は邪魔にならないように入院患者用の中庭に移動して少し休憩していた。

 するとそこへ暇を持て余した産婦人科の医者がたまたま休憩に出てきたのかふらっと歩いてきて、軽く診察してくれたのだ。


 私もお腹の子も健康そうとお墨付きを貰ってちょっと安心した。



「·····まだかなぁ、かなり辛そうだし、ちょっと不安だなぁ」


「エビちゃんが?自分が?」


「どっちもかなぁ····· 私の時もあれくらい辛かったらどうしよ·····」


「でもソフィちゃん、前に腕が千切れたりする方が出産よりずっと痛いから楽勝とか言ってなかった?」


「言ってたねそんな事、いやでもエビちゃんがあれくらい苦しんでたら流石に不安になるでしょ····· それに痛いもんは痛いしさ」


「確かに·····」



 私は痛みにはとことん強い、何度も死んでは生き返って全身をボロボロに、傷跡が残ってたらヤ〇ザでもそんな奴いねぇよってくらい傷だらけだろう。

 その傷跡の分だけ私は激痛にこらえて、時には死んで、それくらいの痛みを何度も味わって来た。


 だから今更ナイフで切られたとかその程度じゃ平気な体になってしまった。


 ·····でも、やっぱり痛いのは怖いのよね。


 鼻の穴にスイカをねじ込まれる痛みとか意味わからないもん。


 もし普通に産めなかったその時は·····

 うん、考えるのはやめておこう。


 この前それでロクな目に合わなかったし。



「·····ん?あっもうすぐかも?」


「どうしたの?」


「エビちゃんが変な魔力を発してる、だいぶ雑だけど多分来いって言ってるわ」


「わかった、早めに行こっか」



 なんて思ってたら、エビちゃんから雑な魔力通信で早く来い的なイメージが籠った魔力が届いたので、私たちは分娩室に行くことにしたのだった。





 分娩室の前に到着すr


『うがあああああああああああああっ!!!産まれる、産まれるのじゃああああああああああああああああああああっ!!!!』


『エヴィリンさんうるさいです!!もっと落ち着いて!』


『黙ってられるかドアホ!!!死ぬ、死ぬのじゃああああああああああああ!!!』



 ·····こりゃ酷いわ。



「なんかゴブリンがオーガにジャイアントスイングされてる時みたいな声がするけど中でプロレスの中継でもやってんの?」


「·····なんか、相当大変みたいだよ」

「言っちゃ悪いが、酷い声だよな」



 分娩室の前に到着するというか、院内に入った時からもう聞こえてたけどエビちゃんのクソデカボイスが院内にめっちゃくちゃ響き渡っていた。


 エビちゃんの声けっこうデカいからなぁ·····


 しかもうるさすぎて看護婦さんに黙れって言われてるし。



『ソフィィィイイイイイイイッ!!いるんじゃろ!!はよぅ鎮痛魔法を、うぐぅあぁぁあぁぁああああっ!!』


「·····行って来ていいと思う?」


『ソフィさん!居ましたら早く入ってきて患者を黙らせてください!!』


「よし来た、黙らせるのは得意だよっ☆」



 という訳で、私は休む間もなくさっき追い出された分娩室の中に最強の名医気取りで入っていったのだっt



「ふーっ!ふーっ!ふざけるのはナシじゃ!!はよぅせい!!」


「ちぇっ、『鎮痛:強』」


「ふぅぅっぅうううう····· はぁっ、はぁっ、ヤバかったのじゃ·····」



 私は部屋に入るなり鎮痛魔ほ



「強力な鎮痛魔法を一瞬で····· 流石は賢者姫様ですね····· 皆、今です!引きずり出しますよ!!」


『『はいっ!!』』



 ·····私が付け入る隙がないわ。

 怒涛の展開すぎるわ。



「エヴィリンさんは痛みは感じないと思いますが引き続き私の合図に合わせていきんでください」


「う、うむ、ひっひっふー····· ふんぬぬぬぬっ!!」



 とりあえず私もお母さんとかなかよし組で来れた人の所に混ざろうっと。

 ちなみにお母さんとアルムちゃんとウナちゃんとグラちゃんが来ていて、アヤメは店番をして来てないし、リリアとチェルはどっか行ってるし、ミカちゃんは寝てるのでこのメンバーだ。



「ごめんねみんな、どうだった?」


「追い出されてからの話だよね?もうちょっと時間かかりそうだしおしえるよ!」


「ありがとうウナちゃん」


「えーっとね、なんか思ったより大きく成長しちゃっててだいぶキツいんだって、もしかしたら王都の治療院でお腹を切って出すかもって話も出てたよ」


「帝王切開かぁ····· 確かにここじゃ厳しそうだし仕方ないかもね」


「うんうん、でもエビちゃんが頑張るって言ってもうちょっと頑張ってたところ!」



 どうやらウナちゃん曰く、だいぶお腹の子供が大きくなりすぎてて厳しいようだ。


 確か私が今が妊娠30週目だから、エビちゃんは41週目、普通は40週目に産まれるモノらしいから少し遅れていたせいで子供がお腹の中で成長しすぎたのだろう。


 もし厳しそうだったら空間魔法で産道の内部空間を拡張して通り抜けさせたりもできるけど、エビちゃんは自分の力で産みたいって言ってたから最小限にしか手は出さないつもりだ。



「頭が出てきましたよ!!あと一息です!!」

「了解なのじゃぁぁぁああああああああっ!!クソ、普通に痛いのじゃ!ソフィ!お主手を抜いたな!?」


『『おっ!!』』


「頑張ってエビちゃん!というかこれ以上は流石に影響出るから我慢して!!」


「チッ!!あとでブチ殺してやる!!!」


「物騒な事言ってないで集中してください!!ソフィさんも邪魔しないでください!」


「す、すまんのじゃ、ふんんんんっ!!!」



 疲れて頭が回らなくなり始めてるエビちゃんが暴言をはき始めたが、歴戦の戦士の如き看護婦さんにすぐに止められてしまっていた。

 私、邪魔してるつもりないんだけどなぁ·····


 あっ、そういや言い忘れてたわ。



「あっそうだ今日の夕飯、祝い飯でキノコご飯だからがんばってね」


「·····は?おい貴様!それ今このタイミングで言うべき事ふぁ」


「どうしたん?」


「力が抜けた今です!!せーのっ!!」

「すぅ····· テメェは黙っておれぇぇぇえええええええっ!!」



 私の突然の夕飯の献立報告に気を取られて脱力したエビちゃんが、魂まで震わせるような絶叫をするその一瞬の隙をついて看護婦さんが赤ちゃんを優しく引っ張り、そして全身全霊の絶叫と共に全身に物凄い力が入り、エビちゃんが掴んでいた分娩台の····· なんて言うんだろ?あの掴むところを握力で握りつぶした瞬間、事は一気に進んだ。



「出ました!そっち急いで!!」


「·····は?えっ?う、産まれたのじゃ?」


「産まれましたよ!!おめでとうございます、元気な女の子ですよ!!」


「じゃ、じゃが、産ご『おぎゃぁぁぁぁぁああああああっ!!!』上げたのじゃ!!」


『『おめでとーーーーーーーっ!!!!』』



 建国1229年11月10日午後2時38分


 新たにこの世に生を受けた赤子は魔族の特徴である母親そっくりな見事な角を天へ向けて一気に伸ばし、自らが魔族であると、魔王の血を引く者であると産まれてすぐに示した。



 この日、一度は滅び人口が0になって絶滅したアマイモン族の人口が、2人に増えた。



 ·····若干1名疲労困憊で死にかけているが、魔族の、魔王の、明るい未来が再びスタートしたのだ。



名前:エヴィリン・アマイモン・ファゴサイトーシス

年齢:17歳

子供:1人(名前:未定)

ひと言コメント

「いま、むりなのじゃ····· 死ぬ·····」


名前:ラクト

年齢:20歳

子供:1人(名前:未定)

ひと言コメント

「まだ?まだ入っちゃダメ?まだかな····· 早く····· 早く·····っ!!」


名前:ソフィ・シュテイン

年齢:17歳

子供:0人(出産予定:1人)

ひと言コメント

「さてと、私はちょっと体力と魔力が尽きて死にかけてるエビちゃんを助けてくるかな、レミア〜、出血が酷いから輸血おねがーい」

\えへぇ····· ソフィ様からの直談判なら仕方ありません·····わかりましたぁ/

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