少しずつ変わって行く日々
ある日の事、私はリビングのソファで毛布にくるまって横になっていた。
「おえぇぇぇえ····· キッツ·····」
「大丈夫?」
「それ、今ので13回目、ウザイ····· 黙って·····」
「ごめん·····」
「フィーロよ、あまり心配しすぎるのは良くないのじゃ、程々の距離感で接するのが一番なのじゃ」
私は今、絶賛妊娠5週目に入ったところだ。
そして悪阻が始まって早速ダウンしていて、食欲低下と吐き気とダルさでめっちゃイライラしていた。
なんか、もう色々腹立ってくるんだけどダルくて動けないし、大好きな食事も喉を通らなくてマジでキツイ。
これがあと4ヶ月以上続いて更にひどくなるとかマジで最悪·····
あと妊娠検査薬もまだ反応してないのがサイアク、とっとと反応しろよこのポンコツめ。
「あーもうっ!!イライラするぅ!!!おえっ、騒いでたら気持ち悪くなってきた·····」
「·····な?まだ慣れておらんとかなり辛いのじゃ、フィーロ、お主も軽く風邪を患った時のあの感じならわかるじゃろう?アレを面倒にした感じのがずっと続くからキツいのじゃ、ワシはイラつきはせんかったが、情緒不安定になってしまったのじゃ」
「なるほど·····」
マジでどうにかならないのかなコレ·····
調べても症状を軽くする薬とかないみたいだし、耐えろって言われるし、マジでムカつく。
「·····えびちゃーん、私のフィーロ君と話してないで、悪阻に効く何か教えてよー」
「無いのじゃ、わかってたらワシはとっくにやっておったのじゃ」
「ぐえぇ·····」
私は悪阻から逃れることはできず、この日はリビングのソファでひたすら耐えていたのだった。
◇
「んむんむ····· うまっ、あー確かにエビちゃんがフライドポテト食べたいって言った意味わかるわぁ」
「·····ソフィちゃんは普通に好きなだけじゃないの?」
「それもある」
「やっぱり·····」
「というかごめんねフィーロ君、この前は理不尽に怒っちゃって····· 怒ってない?私の事嫌いになってないよね·····?」
「それ聞かれるのもう13回目だよ、大丈夫だから安心していいよ」
「うん·····」
「ほら元気出して、ハンバーガー食べなよ」
今日は悪阻が始まってから1週間後、つまり妊娠六週目に差し掛かった週で、私たちはとある理由で日本にやって来て用事を済ませてファストフード店で休憩をしていた。
実は昨日やっと簡易妊娠検査キットを使ったら線が出たのよ!!
ちなみに例の検査キットに指さすポーズやってみたけど、鏡の前でやったからなんか虚しくなった。
そんで魔法による検査じゃなくて日本の検査キットでちゃんと反応が出たから、日本の産婦人科にも行った。
行ったのはエビちゃんが行った時と同じ、日本の方の実家の近くにある前世の私が産まれる前にお世話になっていた産婦人科病院で、ちゃんと検査を受けて日本の医学上でも妊娠が確定したのだ。
ついでにエコー検査も受けたけど、バッチリ我が子が写っていて思わず破顔してしまったりもした。
ちなみに悪阻に関しては慣れてきたのと、魔法を使えばお腹の子供に影響を及ぼすことなく体調が良くなることがエビちゃんへの実験で分かったので、独自で魔法を生み出したおかげでだいぶ楽になって、こうして日本で歩き回っても平気なくらいになった。
「あーカロリーが美味しい·····」
「·····ハンバーガーとポテトLが2個ずつに味付けチキンとパンケーキとジュースって、また太るよ?」
「大丈夫、というか最近カロリーがやたら消費するのよね、たぶんお腹の子がめっちゃ大食いなのよ」
「また冗談いってるし·····」
「マジだもん!」
そう、実は最近私は食事の量が増えた。
多少の吐き気はあるんだけどエビちゃんほどひどくはないっぽいし、何なら逆に消費カロリーが増えて体重がガンガン減り始めて、最近肥えていてダイエットしていた苦労が水の泡になる勢いで痩せ始めていたのだ。
妊娠して太るのはわかるんだけど、なんで痩せてるんだって詳細に調査したらお腹の子にめっちゃ栄養素が流れ込んでいることが判明した。
調べたら臍の緒が出来てたし、臍の緒が出来るのが妊娠5週目くらいかららしいのでお腹が空くようになった時期と一致しているのだ。
ついでに先週は悪阻による食欲の低下が原因の食事量の減少と、お腹の子に栄養を吸われた事が重なってめちゃくちゃ辛かったんじゃないかと推測したりして、無理やりご飯を食べまくってたら一気に元気になったのよね。
「はむっ、うまっ!·····でも不安だなぁ」
「大丈夫だよ僕が居るから、ダイエットくらい付き合ってあげるから」
「ちがうそうじゃない、お腹の子ねぇ····· ツクモさんみたいになったら困るなぁって·····」
「あぁ、あの腹ペコな女神様·····」
「そうそう、妊娠6週目でこの食いっぷりだからさ?不安なのよね·····」
「ただでさえ皆んなよく食べるから食費大変な事になりそうだね·····」
ちょっと前にエビちゃんのお腹の子を魔法で調査させてもらって、どれくらい栄養が送られてるか計測させてもらったこともあるけどこれくらい食事をとらないと栄養が足りないなんてことは全然なかったし、さっきも産婦人科に来ていた患者さんをこっそり調査させてもらってみたけどエビちゃんの娘とほぼ同じだったから、明らかに私の子がおかしいと判明したのだ。
あっそうそう、この調査の時に判明しちゃったんだけど、エビちゃんの子供の性別は女の子だって判明したよっ☆
そんであの浮かれポンチになったエビは自分の娘の名前を決めると言って大はしゃぎしてて、あまりにもウザかったから軽くゲンコツしてやった。
·····で、話を戻すけど、私の子供はなんか成長するために莫大なエネルギーを私から奪っているみたいで、もしかしたら神人族関係かなと思いガイア様にも相談したけど、『えっ私そんなの知らん····· なにそれ怖っ·····』って言われたので既にだいぶヤバい感じだと判明した。
そんで詳細な調査をした結果、原因は私が子宮内部に飽和状態の超高密度の神属性魔力を毎日送り込んでいて、それに対応するためにお腹の子が普通の人間から神人族へと種族を変化させているから物凄いエネルギーを消費しているって判明した。
神人族に神化するには莫大なエネルギーを消費する。
それこそ宇宙が産まれるほどのエネルギーが必要で、私の時も宇宙が誕生するほどの魔力が必要だったんだけど普通の方法じゃ集めきれないから、特殊な手段を用いて掻き集めてようやく神人族に神化し、余波で魔力が似ていたフィーロ君も巻き込まれて半神半人になってしまったりしたくらいの高エネルギーが必要だ。
ちなみに、神化する際の消費魔力は1京なんてレベルじゃ全く足りなかったりする。
私が神化した時に賢者の石を起動さていたけど、実はアレは遠回りをしていたりするのだ。
賢者の石はあくまで『神人族に進化するのに必要な魔力は普通じゃ貯められないから、先に永久機関の賢者の石を起動して無限大の魔力を生み出して無限大のエネルギーを生成して神人族に覚醒した』っていう時短ルートを通るために使用した道具でしかないのだ。
簡単にまとめると、普通に向かうと一生かかっても到着しないから、めっちゃ遠い場所にあるけどいけない事は無いくらいの場所にある空港に行って飛行機に乗り込んで目的地に向かう、っていうのが私が賢者の石を起動した理由なのだ。
·····後から知った話だけどね、これ。
そんでお腹の中の子はまだ人間の形になる前のようやく臓器ができ始めたくらいの状態で、母親であるわたしから供給される膨大な魔力を受け止められるように、そして神化できるように肉体を変化させているのだろう。
ついでに胎児の超初期段階だったら神化するのにそこまで多くの魔力は必要ないし出産までには十分貯まるみたいなので、今は肉体の改変に全力を注いでいるんだと思う。
いやぁ、産まれたらどんな子になるか今からもう楽しみでしょうがないわぁ·····
◇
ハンバーガーをたらふく食べた私と普通の量を食べたフィーロ君の2人は、私の前世の実家へと帰って来ていた。
「おかえりなさい賢人、どうだった?」
「急かさないでよ母さん、今から見せるからさ」
「みーせーろー!!!」
「姉貴はうるさい」
「チッ!!!」
一応病院に行く前に家に居た母さんにだけは妊娠したかもって報告したけど、帰ってきてちゃんと診断書を見せて報告しに来た感じだ。
あと珍しい事が起きてて、あの姉貴が結構前に私が妊娠したことを教えたのに母さんたちに黙っていたのだ。
コイツ、噂話とかを広めるのが大好きでひどい時は未来予知レベルで話を聞く前日に既にウワサを言いふらしてたりするやべぇヤツなのに黙ってて死ぬほど驚いたのよね。
「まぁ姉貴は無視して、これがエコー写真ね」
「あらまっ、懐かしいわぁ、エコー写真なんて見るの賢人の時以来だわぁ····· 本当に妊娠してるのねぇ、よかったわね賢人····· いや、もうソフィの方がいいかしらね」
「んへへ····· どっちでもいいけど、母さんにやっと吉報を伝えられてホントよかったよ」
「ちょ!お義姉さん!なんで僕ににじり寄って来てるの!?」
「グゥエヘヘヘ····· オネエチャンねぇ、ブラコン以前にショタコンなのよぉ····· 丁度フィーロたんくらいの大人になり始めた前後くらいのオトコノコがだぁいすきなのよねぇ·····」
「おいこら姉貴、何してんだ」
「え?いやちょっとアッチでフィーロたんとちょっと大人のプロレスをしようかな、なんて····· あはは····· お願いだからその物騒な形のモノしまって?」
「これね、エルフに伝わるお仕置きアイテムのヴョチョンピって言うんだ」
「へ、へぇ~、え~っと?どういう道具?」
「ミェリㇻルツ゚をユィネッチャしてブチィッ!!ってするための道具」
「最後だけ擬音だよね!?意味わからないけど絶対ヤバいってそれ!!」
その後、私はヂョウェンピを使って姉貴のミェリゥルルのイェヮワックェをネミェヴェヂェしたあとビォト゚ョッベして、徹底的にヂェビェマッペにたところでやってようやく気が済んだのだった。
そしてしばらく家で父さんが帰ってくるのを待って、帰ってきた父さんに私が妊娠したことを報告して、ついでに夜ご飯を作るのも手伝ってあげて、ついでに夜ご飯も食べて、久しぶりに家族団欒をしてから向こうの世界へと帰っていった。
ちなみに姉貴は私たちが帰るまでずっとヂョミズィッビォしたままだったのは言うまでもない。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「いやー、私は絶対に姉貴みたいにブェキョェニェになるのだけは勘弁だわ····· まぁ姉貴だから別にほっといていいや、それよりも、どんどん体が変わっていくのがわかるのは面白いんだけど、結構ガチできついのよね·····」
名前:フィーロ
ひと言コメント
「お義姉さんがとうとう僕にまで手を出してきた····· エルフ語は僕にはよくわからないけど、うん、ソフィちゃんの言う通りヴョチョンピでお仕置きされて良かったと思う」
名前:藤石 穂乃花
ひと言コメント
「痛ぇぇぇええっ!!?!?!ミェリㇻルツ゚をユィネッチャしてブチィッ!!って『『ヂョウェンピ』でミェリㇻルツ゚』を『ユィネッチャ』してブチィッ!!』って意味かよぉっ!!!あいってぇぇえっ!!絆創膏、絆創膏は·····そういや治癒魔法使えるようになったんだったわ、私」




