そこに 3つの魂があるじゃろう?
余計な事を言ったガイア様の鼻に消臭ビーズを詰め込んでるエビちゃんを見守ってたけど、香料付きも入れようとしたあたりで止め、私たちは三つの魂の元へとやって来ていた。
ちなみにそのガイア様は今は何をしてるかというと、鼻の奥まで入った消臭ビーズを出そうとフンフン唸ってる所だ。
「ふむふむ····· お主じゃったらどれが良いと思う?」
「えっ私?自分で決めなよ、自分の赤ちゃんのスペックが決まるんだし」
なんて言いながらも、私は3つの魂の特徴を観察した。
一番左は世界に干渉する系の性質があって、見た感じだと『事象の堰き止め』をすることが可能らしい。
多分だけど、物理的に結界のようなもので穴に蓋をして堰き止めたり、時流を堰き止めて時間を止めるとかそう言ったことも可能かもしれない、かなりぶっ飛んだ能力だ。
続いて一番右は、世界の理に干渉するタイプで自分の身の回りにある『確率』を変更することができるようになるっぽい。
要は乱数調整ができる感じらしい。
最後に真ん中だけど、これはちょっとヤバい。
アホかってガイア様に言いたい。
「ガイア様アホですか?」
「言ってるじゃん····· でも面白そうだったし、ソフィちゃんが近くに居れば大丈夫っしょ?」
「流石に母体が持ちませんってコレ·····」
「そんなにヤバいのじゃ?」
真ん中の魂は、特殊能力というかこの世の理に干渉する力はまだ付与されていない。
でもその代わりに限界まで性能を上げまくってあって、普通の人が宿せば胎児どころか母体まで死にかねないほど強烈に強化された魂だった。
簡単に言えば、特殊能力なしだけど全ステータス極振りでバランスもへったくれもなく全部がめちゃくちゃに高い魂だ。
「·····これどうするんですか、ウナちゃんとグラちゃんも耐えきれないですよ?エビちゃんでもかなりキツいんじゃないかな」
「まぁねー、だからソフィちゃんが傍でサポートしてあげなよ、上手い感じに彫刻みたいに削ったりしてさ?」
「無理ムリむりムリ無理!!私まだそこまでやった事ないですし魂の器に入ったまま調整するの怖いですよ!!」
「·····行けるのじゃ、いや、これしかないのじゃ」
「えっ?」
「何となくじゃが、ワシの子がこの魂を求めておるような気がするのじゃ」
「自分で魂を求めるって····· お腹の子つよすぎじゃない?」
「そりゃワシの子じゃからな、それにワシの体は強い、一応何となく感覚でわかるのじゃがこの魂であれば宿しても問題ないのじゃ」
ええ、マジで·····
正直私でも引くくらいヤバい魂なのにそれを受け入れるってヤバいわコイツ·····
「その顔をやめるのじゃ、凹ませて見えなくしてやろうか?」
「キャーコワーイ!·····まぁ、エビちゃんとお腹の子供がそれを選ぶなら私は否定しないよ、むしろエビちゃんとお腹の子供が壊れないように全力でサポートするよ」
「急に真面目な顔になるな、お主はテンションジェットコースターか」
「なんかエビちゃんのツッコミが最近鋭い気がする····· やっぱり審神者じゃなくて難波なんじゃ····· もぎゃっ!!」
「うっさいわアホ」
私の顔面にツッコミを超えた強烈なエビちゃんの拳がめり込んだ。
◇
「ねぇソフィちゃんそれ前見えてる?」
「あのセリフ言わせたいだけですよね?」
「うわ喋ったキモ」
ブチッ☆
「同じ顔にしてやるか逆に凸らせますよ?」
「凸らせるって何!?怖っ!北〇の拳か何か?」
「キノコの拳ですよ、キノコ神拳奥義·····」
「やめっ!ストップ!」
「まったくもー·····」
「お主らなにアホやっておるのじゃ、これどうすればいいのか教えろなのじゃ!」
「あっはーい、ガイア様、出番ですよ?」
エビちゃんに殴られて顔が凹んだまま様子を見守りながらガイア様と口論になっていたが、エビちゃんがついに真ん中の強烈に強い魂を我が子に宿すことに決めたようだ。
ここからは私は干渉できない····· というかやり方を知らない。
都合よく上司が隣に居るし、私は全部任せてしまう事にしたのだった。
「自分でやりなよ~って言いたいけど、別に何も難しい事は無いし、キミも大体わかってるんじゃない?」
「どういうことなのじゃ?」
「魂をお腹に近付ければ勝手に入っていくよ、そのくらいまで成長した胎児は自ら魂を求めるからね、·····まぁ本当はもっと複雑なんだけど、近付けば引き寄せるからキミは何もしなくても、しいて言えば近付けてあげるくらいで十分だよ」
「なるほど、意外と簡単なのじゃな」
「動かすくらいなら姉貴にもできるから一般人でも訓練すればできるくらい簡単だよ、ただ····· ねぇ」
「創ったり改変したり調整するのは難しいんだよね~」
そうそう、魂は操る程度だったら別に普通にできる。
まぁ多少の魂魄魔法とか神聖属性とか死霊属性とかの適性が必要だけど、基本的に少しなら操る事はたやすいのだ。
ちなみに例としては幽体離脱とかね。
「ようわからんが、やってみるのじゃ」
「がんばれ~」
そしてエビちゃんは私たちの話について来れなかったみたいで、首をかしげながら魂を赤ちゃんに渡す作業を始めたようだ。
3つある魂の真ん中の魂に近付くと、恐る恐る手を出してシャボン玉でも持つかのように優しく持ち上げて·····
ヌルンッとすり抜けた。
「·····どう動かすのじゃ?」
「えっ?」
「·····ごめん、知らない」
「はぁ!?」
「いや、私たち普通に触れるから逆に触れない人の感覚がわからない·····」
「上に同じく、だって私たち神だし?」
私も気が付いたらいつの間にか触れるようになってたし、ガイア様も同じような感じだったみたいでどうすれば触れるようになるかなんて知ったこっちゃないのだ。
「·····いいから教えろなのじゃ」
「えーっと·········· 神属性のある魔力を手に集中させてみたら?」
「それならいけるかも····· ソフィたん名案じゃんそれ」
「ようわからんが、魔神の魔力じゃな、やってみるのじゃ」
そう言うとエビちゃんは両手に魔神の魔力を集中させて、紫焔を纏ったような状態にして再び魂を掴みにかかった。
すると·····
「おっ!持ち上がったのじゃ!·····持ち上がっておるよな?」
「うまくいってるじゃん!ちなみに重さは無いに等しいよ」
「じゃろうな、持った感覚がせんのじゃ」
振り返ってきたエビちゃんの手の間には、小さい星みたいな輝く玉がフワフワと浮いていた。
やっぱり綺麗だよね、魂の輝きって·····
「でもそれ相当強化してるから普通のよりはだいぶ重いよん、100倍くらいあるよ」
「えっぐ!どんだけやったんですか·····」
「まぁまぁ、あとはそれをお腹に近づけてあげて?」
「わかったのじゃ、よし、ゆくぞ·····」
エビちゃんはガイア様の指示に従って魂をお腹の膨らんでるあたりに近付けた。
すると魂がひとりでに動き出し、フワフワと漂ってお腹の中に吸い込まれていって見えなくなってしまった。
でも私は神眼で見ているから、エビちゃんのお腹の中に居る子供の魂の器にちゃんと魂が収まって早速共鳴と変化を始めたのがしっかり見えていた。
「·····コレで良いのか?特に何も変わらぬが」
「大丈夫、しっかり魂を宿したよ、おめでとうエビちゃん」
「いやーいつ見ても我ながら見事すぎるシステムを作ったって思うわぁ、おめでとさん」
「うむ、そろそろ妊娠も折り返しの時期じゃし、この子が動いて腹を蹴ってくるのが楽しみなのじゃ!」
ここまでくれば、あとは特にやることはもうない。
しいて言えばお腹の子に負担を掛けないで成長を促す生活をするくらいだろう。
その後はガイア様に妊娠や出産についてアレコレ聞いて勉強をしたり、エビちゃんも神様としての仕事を少しだけやってみることになったり普通に雑談したりして、今日は帰ってのんびりすることにしたのだった。
名前:ソフィ・シュテイン
ひと言コメント
「この子の魂、自分で作るのかぁ····· 頑張らなくちゃ!」
名前:エヴィリン
ひと言コメント
「むふふっ、良い子に育つのじゃぞ~♪」
名前:ガイア
ひと言コメント
「おーおー浮かれてるねぇ、·····こっからが大変なんだけどねぇ」




