行方不明
僕はいつも通り目覚めると、いつもと違う事に気が付いた。
僕の隣に、いるべきはずの人がいない。
·····いや、よくご飯を作っていて居ない事はあるけど、今日は訳が違った。
ソフィちゃんがいつも寝ている場所に、置手紙が置いてあったのだ。
「·····えっ」
置手紙には『しばらく家出します』と一言だけ書かれていた。
僕はその紙を持って、リビングへと飛び出して行った。
◇
「みんな!」
「あっ来た!」
「やっと来たのね····· 遅かったじゃない」
「うんうん、もうみんな起きてるよ!あっミカちゃんはまだ寝てた!」
「お主が慌てておる事情も分かっておるのじゃ」
「大丈夫だから、安心して?」
リビングに出ると、なぜかなかよし組のみんなが集合していて、テーブルの上に置かれた紙を見て騒いでいた。
多分、あの紙にも僕の持ってる紙と同じ事がかいてあるんだろう。
「ソフィちゃんが、家出した·····」
「みたいじゃな、ワシらも何も聞かされておらぬし、さっきまでソフィの家出の原因について考えておったのじゃが、ワシらが原因となるようなことは特に思いつかなかったから、お主をまっておったのじゃ」
「でもその様子だと何も知らなそうだよね····· でも何か家出した原因になりそうなことはなかった?例えばケンカしたとか·····」
「特になかったと思うけど····· これ言っていいのかな·····」
「どうしたの?」
「·····昨日は珍しく消極的というか嫌がってたんだ、確かその時謝ったんだけど、ソフィちゃんは私の事情だからって言ってその後寝ちゃって、僕も一緒に寝たんだ」
「·····お主、何か嫌な事をしたんじゃないじゃろうな?」
「絶対にしてない、僕はソフィちゃんが嫌がる事なんて絶対にしない!」
「まぁ落ち着け、原因を総当たりで考えてるだけなのじゃ、他に何か心当たりはあるか?」
·····よく思い出したら、昨日はお風呂の後からなんか機嫌が悪いというか、あまり元気じゃなさそうな感じがしたかも。
無理して笑顔になってるというか、結構本気で悩んでて思考に集中しちゃってぼんやりしてるような感じだったような気がする。
「そういえばお風呂の後からテンションが違ったような気がするけど、もしかしてお風呂の中で喧嘩した?」
「してないのじゃ、しいて言えばじゃが、やたらワシに構ってくるというかじゃれついてきておったのぅ·····」
「それさっきも話したけど、エビちゃんのお腹をみんなで触ってるくらいだったよね?」
「そうね、大体妊娠13週目に入って目だつようになったって話をしたくらいだったと思うわ」
「私も触ったから、覚えてる·····」
「うーん····· いつも通りっぽいね····· そうだ、アヤメちゃんがソフィちゃんに変身したら何を考えてたかわかるんじゃないかな」
「できない、ソフィに化けても、記憶を読み取れないの」
「意図的に思考を遮断しておるのじゃな····· それか神じゃから変身が不可能なのか····· どちらにせよ、今回は無理そうじゃな」
「うん、ごめんなさい」
「気にせんでよい、とりあえずわからないという事がわかったのじゃ、一旦は飯に····· そうじゃ!ソフィが居らぬと飯が食えぬではいか!!くそ、あやつめ····· やっと悪阻から抜けて食欲がだいぶ戻ってきたというのに·····」
「悪ふざけじゃない?『探さないでください』ってネタやりたいだけかもよ?」
「·····たぶんタイトルが短いから真面目な話だと思う、今までのタイトルが短かい回は真面目な話が多かったから、本気で何か悩んでるんじゃないかな」
「それより、悪阻が落ち着いてる間に朝飯を食いたいんじゃが·····」
『朝食ならございます、そして昨晩の事ですがソフィ様からある程度の事情を聞きましたので、朝食をいただきながらお聞きください』
みんなでソフィちゃんが何で家出したか考えていると、事情を知っているというソフィちゃんが雇っている家事精霊のアキさんが朝食を作ってキッチンから出てきた。
そして僕たちは朝ご飯がまだだったから、とりあえず朝ご飯を食べながら話を聞くことにした。
◇
「まず皆様がお気になさっているソフィ様の家出理由ですが、少し一人で悩みたいと仰っておられました、なのでフィーロ様や皆様が原因となったわけでは····· いえ、間接的な原因はありますが、元々お悩みになっていた事を真剣に考えていらっしゃるようです、皆様が悪いわけではないのでご安心ください」
よかった·····
僕が何か嫌われるようなことをして、それが原因で居なくなっちゃったんじゃなかったんだ·····
とりあえず一安心はできたから、落ち着いて続きを聞こう。
「理由についてですが、ソフィ様から言わないよう命令されているため口外できませんが、多少であれば許していただいておりますので説明いたします、原因は将来の事と仰っておられました」
「·····ふむ、ワシらには事情を教えず、自力で考え出すという事じゃな、いつ帰るとかは聞いておるか?」
「申し訳ございません、特には····· ですがあの様子では暫くは帰ってこないかと」
「そんなに思い詰めてたんだ·····」
どうやらソフィちゃんは将来の事で悩んでいて、一回頭の中を整理しながら考えるために、1人になるために家出してしまったようだ。
でも、ソフィちゃんが家出することはよくあるからいつも通りひょこっと帰ってくるとは思うけど、こうやって思い悩んで家出するのは本当に珍しいからちょっと不安かも·····
「仕方ないですね、もう少し後に言うように頼まれていたのですが····· ソフィ様はもし考え事に行き詰ったらフィーロ様へと連絡をすると仰っておりました、なのでそれまでお待ちください」
「·····わかった」
ソフィちゃんはもし悩んで行き詰ったら僕に連絡をするつもりだったみたいだ。
だったら、僕が出来るのはソフィちゃんが自分で悩みを解決して帰ってくるか、連絡が来たら相談に乗ってあげるかの二つしかない。
どちらにせよ、僕は待つのが最適解みたいだ。
◇
その後、お昼を過ぎてもソフィちゃんが帰ってくることも無く、連絡も無く、日が暮れ始めて周囲はだんだんと暗くなり始めてしまった。
「·····うーん」
「フィーロ、お主は少し落ち着くのじゃ、アヤツは大丈夫じゃから気にするでない」
僕は最初は特に気にしないようにしていたんだけど、やっぱりだんだん気になってきちゃって、居ても経っても居られなくてずっとソワソワしていたら、エビちゃんに咎められてしまった。
でも、やっぱりソフィちゃんが大丈夫か気になって仕方なくて·····
プルルルルッ
「きた!ちょっと話してくる!」
「その前に通話に出るのじゃ」
「そうだった、もしもし!?」
『·····もしもし、フィーロ君?』
「うん、僕だよ、どうしたのソフィちゃん、大丈夫?」
『大丈夫、でも、お願いがあるんだけど·····』
「·····何?僕が出来る事なら何でもするから」
『今、大丈夫?』
「いつでも大丈夫」
『·····一人で来て、ゲートは私たちの部屋に開いたから』
「わかった、今行く」
『·····待ってるからね』
ピッ
「どうじゃった?」
「僕と話がしたいって言ってた、ちょっと行ってくる」
「·····ワシらは来るなと言っておったか?」
「うん、僕一人で来てほしいって言ってたから、行ってくるよ」
「気を付けるのじゃぞ、言葉選びをミスしたら逆に落ち込ませることになるかもしれぬからの」
「フィーロ君、ソフィちゃんを必ず連れ戻してきてね!」
「戻ったらちゃんと理由を説明しなさいよね」
「いってらっしゃーい」
「いってらっしゃい、気を付けて」
「みんなありがとう、いってきます」
そして待ちに待った連絡が来て、ソフィちゃんが僕に来てほしいと言って来た。
僕はソフィちゃんのお願いを聞き遂げ、なかよし組のみんなに見送られながら彼女が開いたゲートのある自分たちの部屋へと向かった。
名前:フィーロ
ひと言コメント
「ソフィちゃんなら大丈夫ってわかってる、でも、やっぱり不安だ·····」
名前:なかよし組
ひと言コメント
アルム
「·····もしかしてだけどさ」
グラちゃん
「もしかするわね」
ウナちゃん
「次はソフィちゃんかな?先越されちゃったかなぁ」
エビちゃん
「ワシのせいなのかのぅ·····」
アヤメ
「どうなるのかわからない、この感情は、たぶん不安なんだと思う·····」
ミカちゃん
「いまおきた」




