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作者、創造中!  作者: 闍梨
主人公と横殴りのラブストーリー
14/14

好感度メーター!

『あのな、作者……』


「どうした? 光速土下座シャイニング・ソーリー


『その名で呼ぶな!』


 主人公は二年一組の教室の外で一人待機していた。作者に対しての不平不満を、この時間--転校生を紹介するまでのホームルームの時間--を使って喋っているのである。


『しかし、恋愛モノかぁ……。なんか、こう、緊張するな』


「どうした? いつになく、しおらしいな」


『そりゃ、な。だって、作者は俺の気持ちとか……ドキドキしたトコとか、全てお見通しなんだろ?』


「まぁ、大概な」


『そりゃあ、恥ずかしくもなるぜ! アレだ! 彼女との初デートに両親が同伴するよーなもんだろ? それってスゲー……』


「ゾッとするな……」


『だろ?』


 作者と一通り会話をしたところで、教室の扉が開く。続いてブリリアント先生の元気の良い声が中から聞こえてくる。


『し、シツレーシマスっ!』


 両手足を同時に出しながらギクシャクと、主人公は二年一組に入る。

 黒板にチョークで大きく『主人公』と縦に書き、教室にいる生徒に向かい合う。ここで主人公は作者に脅かされることとなる。


 この教室……。男子しか居ねぇぇぇええ!


『え、えーと……作者? 幾つか不審な点が見つかったんだが』


「さぁ、どこだろうか」


『まず一つ目だが……男子校かよ!』


「そう来たか!」


『それしか言えねぇだろ!』


 主人公は握り拳を作り、天井に話しかける。心配する事なかれ、今は時間が止まった状態を作り出しているので屈強な男子達にいじめられる事はない。


『二つ目はこれだよ! ご都合主義過ぎる!』


「そういう作品の方がやり易いんだよ」


『お前は本当に天才だな! ……で、三つ目だが』


「はいはい、直す直す。共学な、共学。はい、解除っ!」


 時は動き出す。

 一旦、目の前が真っ白になり、新しい生徒達が続々と創造される。


『……っ! お、おお』


 先生はそのままだったが、男子の数が減った。女子が教室に居る光景に少しばかりたじろぐ主人公。

 間髪を入れずに、先生は転校生である主人公に話しかけた。


『じゃあ、自己紹介よろしくなぁ。転校生』


 主人公は何を言うか決めていなかったので、少しの間を置いてから口を開けた。


『……主人公です。よろしく----』


『あーーーっ!!!!』


 主人公が自己紹介している途中、突然教室の真ん中で一人の女子が立ち上がり、大きな声を出した。主人公もその顔とポニーテールには見覚えがあった。


 メルヘン星空だった。


『あーーーっ!!!!』


『なんでこの変態がここに!?』


『うるせぇ! いきなりぶつかってきたクセに、なんて事言いやがる! 人の顔二発も引っ叩きやがって!』


『あたしは一回しか叩いてないわよ!』


『俺の中では二回なんだよ!』


『意味わかんないっ!!』


 教室が『何? このベタな展開』という辛辣な空気に満ち溢れてきた。そこで口を開いたのはブリリアント先生だった。


『おっ? なんだお前ら、知り合いか。ちょーどよかった。転校生、お前メルヘンの隣の席に座れ』


『えぇ!? メルヘンの隣の席? 空いてないじゃないですか!』


 主人公が座る予定のシートには先客が居たようだ。丸い眼鏡をかけた地味な女の子だった。

 今時お下げ髪というのも珍しい。と主人公は思っていた。


『いいだろ? なぁ? イインチョ』


『…………ぇぇ』


 声小さっ! 主人公は心の中でツッコミを入れた。

 すかさず『イインチョ』は席を空け、窓際の一番後ろの席に移動する。


『じゃ、あの席だ。転校生』


『申し訳ない気持ちで一杯なんですが……』


『気にするな。イインチョといってもモブだ』


『教育者のセリフじゃねぇーー!』


 主人公はそれでも席に座った。メルヘン星空の隣に、座った。メルヘン星空と、主人公が、であったぁ〜〜。


『なんで徐々にウルルン滞在記のナレーションみたいになった!?』


 主人公はツッコミを入れるが、誰からも返事は無かった。

 少し機嫌が悪くなった主人公に話かけてきたのは、メルヘン星空と逆サイドに座っている、茶髪の男だった。


『よ! 転校生っ!』


 主人公の目は冷たく、茶髪の男に降り注いだ。


『ええ……!? なんか冷たくネ? 冷たくネ?』


『ああ、すまんな。今すっげぇ調子悪かったんだよ』


『おぉ? そかそか。じゃあ、自己紹介な! 俺はセンチュリー竹若たけわか。宜しくな!』


『ああ……。おお』


 主人公はセンチュリー竹若の左上に目線を移動させる。そこには周りだけが縁取られたハートが宙に浮いていた。


『作者、なんだこりゃあ?』


「好感度メーターだ」


『だからどーして男にこんなモン付けるんだ!』


 ピピッ。という音と共に好感度メーターが少し増えた気がした。いや、増えた。確実に。


『オイオイ、コレじゃホモゲーじゃねぇか』


「まさしく、バットエンドだな」


『……バッドな』


 さてさて、これからどーなることやら。

 兎にも角にも、主人公の学園生活はバタバタとスタートするのであった。

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