第二十七話:交差する刃と、借りの重さ
山の空気が、震える。
ゲイルと幹部の男。
互いに一歩も引かない。
男が笑う。
「いいねぇ……人間でここまで来るか普通」
ゲイルは答えない。
ただ――踏み込む。
ドンッ!!
地面が割れる。
一瞬で間合いが詰まる。
ガギィン!!
刃と刃がぶつかる。
火花。
衝撃。
その横から――
「行くぞ!!」
レイグが斬り込む。
男は舌打ち。
「チーム戦かよ」
軽く身をひねり、受け流す。
だが――
そこにしゃもじ持ちの勇者。
「しゃもじアターーック!!」
「武器おかしいだろ!!」
ゴンッ!!
意外と効く。
男の体勢が一瞬崩れる。
遊び人ユウマがその隙を逃さない。
「遅い」
背後から一撃。
だが男は笑う。
「甘い」
影のように消える。
元王子
「上だ!」
空中。
男が両手を広げる。
「じゃあさ」
「まとめていこうか」
その瞬間――
周囲の魔物の死骸が、動く。
しゃもじ持ちの勇者
「え!?ゾンビ化!?」
レイグ
「来るぞ!!」
一斉に襲いかかる。
数。
多すぎる。
遊び人ユウマ
「うわ面倒くさいタイプ!キモッ」
元王子が剣を構える。
「下がるな!立ち向かえ」
スライム
ぷるん!!(意外と頑張る)
だが――
押される。
数が違う。
その時。
ゲイルが、ぽつりと呟く。
「……邪魔だ」
次の瞬間。
空気が変わる。
静かに。
だが確実に。
遊び人ユウマが気づく。
「……おい」
「今、何した」
ゲイルの周囲だけ――
魔物が近づかない。
いや。
「近づけない」
レイグの目が細くなる。
「……威圧?」
元王子
「いや、違う……」
ゲイルが一歩踏み出す。
それだけで。
前にいた魔物が――崩れる。
しゃもじ持ちの勇者
「何それ!?ズルくない!?」
男が、初めて表情を変える。
「……やっぱお前」
「人間じゃねぇな」
沈黙。
だがゲイルは否定しない。
ただ言う。
「関係ない」
そして、男を見る。
「お前を倒す」
男はゆっくり笑う。
「いいね」
「そういうの好き」
だがその目は、さっきまでと違う。
“警戒”している。
遊び人ユウマがぼそっと言う。
「……立場逆転してきた感じ」
レイグ
「だが油断するな」
元王子は剣を握る。
「姉さんと関係あるんだろ」
男は肩をすくめる。
「あの女ね。昔、ちょっと邪魔された」
ゲイルの目がわずかに動く。
男は続ける。
「山で暴れてたらさボコられた」
しゃもじ持ちの勇者
「姫つえぇ!!」
遊び人ユウマ
「いや知ってたけど」
男は笑う。
「だからさ、今度は俺が潰そうと思ってた」
空気が冷える。
元王子
「……姉さんを狙ってるのか」
男
「ついでにね、面白そうだから」
ゲイルが、一歩前に出る。
「それはさせない」
短い言葉。
だが重い。
男は目を細める。
「借り、か」
ゲイル
「ああ」
その一言に、嘘はなかった。
レイグが構える。
「全員で行くぞ」
遊び人ユウマ
「今度は逃がすな」
しゃもじ持ちの勇者
「しゃもじの攻撃準備完了!!」
スライム
ぷるん!!(やる気)
元王子
「決めるぞ」
そして――
再び、ぶつかる。
今度は全員で。
ゲイルという“異物”を中心に。
パーティは、再び一つになる。




