第十九話:玉座に響く“真実”、止まる王国
焚き火の夜が明けた翌日。
空気は妙に重かった。
「……行くのか」
レイグが剣を肩に担ぐ。
「行くしかないだろ」
元王子は短く答えた。
女武道家は無言で腕を組んでいる。
遊び人ユウマは欠伸をひとつ。
「王城か……めんどくさ」
しゃもじ持ちの勇者
「でっかい飯ある?」
「ない」
「即答!?」
スライムたち
ぷるん……(不安)
そして一行は――王都へ向かった。
王城。
石造りの巨大な門。
衛兵たちは一瞬で気配を変える。
「……正規勇者レイグだ」
その一言で空気が変わった。
「通せ」
門が開く。
元王子
「信用すごっ」
遊び人ユウマがぼそり。
「顔パス強すぎ」
しゃもじ持ちの勇者
「俺もそのうちいける?」
レイグ
「無理だ」
即答だった。
玉座の間。
王がいた。
重い空気。
「……何をしに来た」
低い声。
「功績を上げるまで帰ってくるなと言ったはずじゃ」
元王子は一歩前に出る。
「親父」
空気が凍る。
王の眉が動く。
「王と呼べ」
元王子
「……この娘が誰の娘かわかるか」
静寂。
一瞬。
王の目が細くなる。
「……誰だ、その娘は」
視線が女武道家に向く。
どこかで見たことがあるような顔。
王城の空気がわずかにざわつく。
女武道家は一歩前に出る。
そして――
はっきりと言った。
「私は、お前が捨てたビアンカの娘だ」
沈黙。
王の表情が止まる。
「……ビアンカ」
低く呟く。
「まさか……あの時の」
元王子が歯を食いしばる。
「やっぱり知ってたのか」
王はゆっくり立ち上がる。
「……違う」
「違うだと?」
女武道家の声が冷える。
「なら何を“違う”と言う」
レイグが一歩出る。
「王、これは――」
空気が重くなる。
王は女武道家を見る。
そして、静かに言った。
「……似ているな」
その一言で、空気がさらに張り詰める。
元王子が怒鳴る。
「じゃあ認めるのか!」
王は答えない。
代わりにゆっくりと近づく。
女武道家の前に立つ。
「ビアンカは……」
王が言いかけて止まる。
一瞬の沈黙。
そして――
「……生きているのか」
その言葉に、場が止まった。
女武道家の目が見開かれる。
「……は?」
元王子も固まる。
「何を言ってる」
王は静かに続ける。
「私は、彼女が山で死んだと聞いていた」
「独りで子を産み、そして――」
言葉が途切れる。
女武道家の拳が震える。
「……生きてる」
低い声。
「ずっと」
一歩前に出る。
「山で、たった一人で」
「私を育てて」
王の目が揺れる。
「……なら」
小さく呟く。
「なら、なぜ――」
その瞬間。
女武道家が叫んだ。
「“捨てた”のはお前だろ!!」
空気が爆ぜる。
遊び人ユウマがぼそり。
「これ、国家案件だな」
しゃもじ持ちの勇者
「俺のしゃもじで収まる?」
レイグ
「無理だ」
即答だった。
スライム
ぷるん……(戦慄)
そして王は――
ゆっくりと目を閉じた。
「……話をしよう」
「すべての真実を」
玉座の間に、重い静寂が落ちる。
血の話は、まだ終わっていない。
そしてこの王城は――
これから一番めんどくさい真実を吐き出す場所になる。




