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勇者としゃもじの冒険  作者: レモンティー


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第十六話:加入条件、重すぎる問題

街道。

今日も平和――ではないが、平常運転。

レイグ

「戦力の確認が先だ」

元王子

「補給と配置だ」

遊び人ユウマ

「話し合いです」

しゃもじ持ちの勇者

「混ぜ混ぜだ」

しゃもじで混ぜる動作をする。

三人人同時。

「「「「いや、それは違う」」」」

スライム

ぷるん!!

――そのとき。

ズドン。

地面が揺れた。

「……なんだ?」

振り向く。

そこにいたのは――

女武道家。

背が高い。

引き締まった体。

無駄のない動き。

全体的に露出が多い。

そして。

やたら目立つ。

揺れる何か……

しゃもじ持ちの勇者、小声。

「でっか」

レイグ

「言うな」

元王子

「言ったらだめだ」

遊び人ユウマ

「言ってしまいましたね」

女武道家が腕を組む。

「お前らが例のパーティか?」

レイグ

「……何の話だ」

「変な戦い方で結果を出す連中」

しゃもじ持ちの勇者

「褒められてる?」

遊び人ユウマ

「たぶん半分」

女武道家はうなずく。

「気に入った」

一歩前に出る。

「私も入れてくれ」

沈黙。

風。

スライム

ぷるん?

しゃもじ持ちの勇者

「戦力アップじゃん!」

胸を見る。

元王子

「前衛が厚くなるのは良い」

常に視線は胸だ。

レイグ

「戦力としては申し分ない」

遊び人ユウマは一歩出る。

そして――

じっと胸を見る。

女武道家を見る。

もう一度、全員を見る。

そして。

レイグが言う。

「……ダメだ」

「え?」

全員、同時。

しゃもじ持ちの勇者

「なんで!?」

レイグ

「理由は」

元王子

「合理的に説明しろ」

胸を見ながら言う。

女武道家も眉をひそめる。

「……私が弱いと?」

遊び人ユウマは首を振る。

「逆です。」

少しだけ間を置く。

そして、真顔で言う。

「強すぎる」

沈黙。

しゃもじ持ちの勇者

「褒めてるよな?」

遊び人ユウマ

「褒めてる」

レイグ

「……続けろ」

遊び人ユウマは指を一本立てる。

「まず」

「パーティのバランスが崩れる」

元王子

「具体的には?」

遊び人ユウマ

「まず視線が胸に行く」

レイグ

「行くな」

しゃもじ持ちの勇者

「行くなとわかっているが避けられない!!」

元王子

「行くだろ」

遊び人ユウマ

「戦闘に集中ができなくなる」

沈黙。

誰も否定しない。

女武道家

「……は?」

遊び人ユウマは続ける。

「集中力が落ちる」

しゃもじ持ちの勇者

「確かに落ちる!!」

胸を見る。

元王子

「それは落ちて当然だ」

胸を見る。

遊び人ユウマ

「落ちます」

また沈黙。

レイグ、少しだけ目を逸らす。

元王子、咳払い。

しゃもじ持ちの勇者、空を見る。

女武道家

「……おい」

遊び人ユウマはトドメを刺す。

遊び人ユウマは指を二本立てる。

「つまり」

「争いの原因になる」

全員、静かにうなずく。

女武道家

「納得するな!!」

しゃもじ持ちの勇者

「でもちょっと分かる!」

レイグ

「……否定はしきれん」

元王子

「組織崩壊のリスクはある」

女武道家、こめかみピクピク。

「お前ら……」

遊び人ユウマはやわらかく言う。

「悪いけど」

「俺たち、ギリギリで回ってるんです」

しゃもじ持ちの勇者

「それはそう」

レイグ

「否定できない」

元王子

「むしろ常に崩壊寸前だ」

遊び人ユウマ

「そこに“強すぎる刺激”入れたら――」

全員

「壊れる」

女武道家、深くため息。

「……とんでもない理由で断られたな」

スライム

ぷるん(同意)

ピカウルフ

「ばぅ」(同意)

少しの沈黙のあと。

女武道家は、ふっと笑う。

「まぁ面白い連中だな」

しゃもじ持ちの勇者

「だろ!」

「だが」

くるっと背を向ける。

「なら私は一人でやる」

レイグ

「問題ないのか」

「問題ない」

少しだけ振り返る。

「強いからな」

遊び人ユウマ、ニヤッとする。

「分かります」

女武道家は去っていく。

地面と胸を揺らしながら。

見送る一行。

しゃもじ持ちの勇者

「もったいなくね?」

レイグ

「……惜しい戦力だ。だが判断は正しい」

元王子

「だが判断は正しい。あの胸からは目を逸らせない。勘当されてからは禁欲生活だったので今は特に。」

遊び人ユウマ

「ですね」

スライム

ぷるん!

そのとき。

遠くで――

ドゴォン!!

「「「「え?」」」」

煙が上がる。

しゃもじ持ちの勇者

「今のあの人!?」

レイグ

「……だな」

遊び人ユウマ

「ほらな」

元王子

「単独で十分だ」

全員、同時にうなずく。

「「「「入れなくてよかった」」」」

スライム

ぷるん(強く同意)

風が吹く。

遊び人ユウマがぽつり。

「パーティってのはな」

「足りないくらいが、ちょうどいいんです。」

しゃもじ持ちの勇者

「わかる」

レイグ

「じゃあ俺はどうだ?」

三人

「過剰」

レイグ

「ひどくね!?」

笑いが起きる。

街道は続く。

バランスも、たぶん続く。

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