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HEROs: 第二次英雄時代  作者: 夜風なぎ
アース編
6/8

第五話 救助と窮地

爆発音が轟くビルの只中、アトラスは避難誘導を行っていた。


「この扉の向こうが外だ!列を崩さず落ち着いて行け!!」


アトラスの指示に、人々が応える。


「ヒーローが来たのか!?」「よかった、もうだめかと思った……」「おい、押すなって!」「列を崩すなってよー!」「みんな落ち着け―!」


「――誰かぁ!こっちに負傷者が!」


皆が口々に騒ぐ中、アトラスはたった一人の苦しむ声を聞き逃さなかった。


『誰かぁ!こっちに負傷者が!』


声を脳内で再生し、負傷者の場所を突き止める。


声の響き方から空間を感じ取り、頭の中に地図を生成した。


アトラスの背中についたアーマーが変形し、翼になる。


その場で翼を何度か動かすと体が宙に浮き、前傾姿勢をとったアトラスの身体は前方向に飛行を始めた。


器用に角を曲がり、声の方向へと身体を進めていく。


やがて、アトラスは固いコンクリートに倒れ伏す男と、その傍らにしゃがむもう一人の男を発見した。


「なんだ、女じゃねえのか……」


言いながら横たわる男に近づいたアトラスはポーションを取り出し、男の患部に塗り広げる。


「よし、これで段々傷が癒えていくはずだ。けが人は運ぶから、お前は先に避難していろ」


「ありがとうございます!!」


そう言い残して、もう一人の男は去っていった。


「立てるか?」


アトラスの問いかけに、男は首を縦に振り立ち上がった。


「よし。じゃあ背中に乗れ」


そうしておんぶの態勢になった二人は、宙を浮かんで出口を目指した。


――が。


唐突に地面が揺れ、鉄筋コンクリートにヒビが入る。


頭上からはパラパラと小石が降り注ぎ、この建物の限界を否応なしに知らせてくる。


アトラスは飛行をやめ、その場にとどまった。


「ヒーロー……お前のスキにはさせぬ。」


そんな声の方向に目を向けたアトラスは、思わず息をのんだ。


「悪そうな黒い仮面に黒いローブ……セリフや身なりからしてザ・悪役って感じだな」


「ご名答。俺はこの町でギャングのボスをやらせてもらってる――」


バサッ!とローブを脱ぎ捨てた仮面男の、趣味の悪い柄の黒スーツがあらわになる。


「――カオスってモンだ。」


名乗ると同時、カオスがアトラスにとびかかる。


アトラスは地面を蹴って後退し、背負っていた男性を下ろした。


腕に痛みを感じたからだ。


ふと目をやると、ヒーロースーツごと切り裂かれた傷跡が。


違和感から目をやったカオスの右腕は、ギザギザとした刃物に変形している。


「なるほどな……ギャングお得意の身体改造(注1)ですか」


「またもご名答だっ!」


言いながら切りかかるカオスを、アトラスはしゃがんでかわしつつ、カオスの足に蹴りをくらわせる。


しかし、バランスを崩したカオスは地面を殴り、高く飛び起きた。


カオスが殴ったコンクリートは凹んでしまっている。


「ありゃ、正面から食らえねえなぁ……」


力の差は互角か、カオスの方が上回っている。


さらに、けが人を庇いながらの戦闘を強いられる状況で、アトラスは困難を極めていた。


アーマーの下を滴る冷や汗……


アトラスにとって、久々のピンチが迫っていた。


その時だった。


――今までそこになかったはずの、落ち葉が舞った。

〈注意〉

1.身体改造・・・ギャングや犯罪者・犯罪集団員の間で流行している行為。その名の通り、自身の身体の一部を機械化したり、臓器を増やしたりすることで、戦闘におけるパフォーマンスの向上が見込まれている。ヒーローのアーマーや変身システムの開発を手掛ける研究者たちからは『邪道』と呼ばれているが、身体改造によって活躍しているヒーローも今では少なくないと聞く……

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