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HEROs: 第二次英雄時代  作者: 夜風なぎ
アース編
5/7

第四話 さすらいのヒーロー

「よし、俺は手前のビルに行く。お前はもう一つ奥のビルを頼んだ」


ツバメの指示に、モリオカは眉間にしわを寄せる。


「二人で一緒に行かないのか……」


と、弱音まで吐く始末である。


「行くわけないだろ。学生ヒーロー(注1)じゃあるまいし。」


ツバメは当然のようにツッコんだが……


「学生ヒーローは避難誘導が主だ!突撃なんてマネはしねえよっ!」


モリオカはツバメの倍くらいの声量で言い返した。


「政府お抱えのヒーローはお堅いなぁ……」


「うるさいなぁ!!奥のビルな、わかったよ!!」


モリオカはそう叫びながら、手早くフォレスフォンを起動して変身を始めた。


「纏着!!」


アーマーを身にまといつつ、ネイチャーことモリオカは足早に現場へ向かってしまった。


「落ち着きのないやつめ……」


ツバメは瞬く間に粒になっていくネイチャーを眺めつつ、懐にしまってある『アトライセンス』に手をかける。


アトライセンス。それは、ツバメがヒーローに変身する際に使用する、地図を模したカード型ライセンスである。


ツバメはトランプを投げる要領でそれを正面に投げ、左腕を前へ突き出す。


やがて、ライセンスはブーメランの如くきれいな弧を描きながらツバメの左腕に装着する『アトラブレス』に装填された。


『ATLAS READY?』


ブレスが発するネイティブ且つハイテンションな音声とともに、ツバメの正面に空中ディスプレイが浮かび上がる。


そこに映し出されていたのは、東京都の地図。


ツバメはその地図が示す渋谷区を軽くタッチした。


纏着(てんちゃく)


途端、空中ディスプレイがアーマーに変形し、ツバメの身体を包んでゆく……


そして、まばゆい発光とともに姿を現したのは、さすらいのヒーロー『アトラス』だった。


燕を模したデザインのアーマーと、取り残された古いマントのコントラストが映えている。


「同時変身……したかったな」


アトラスはそう言い残すと、マントを翻しつつ、屋上の床が落ちるほどの力で地を蹴ってビルへ飛んで行った。


誰もいなくなったかと思われた屋上。


しかし、そこには黒いパーカー姿で額にゴーグルをつけた青年が立っていた。


青年は呟く。


「変身系ヒーローが二人も上陸ねぇ……」


彼の腰には革のベルトに雑にくくられたロープやナイフ、さらにポケットには拳銃。


「加勢、してくれんのかな。」


青年の独り言にこたえるように、静かに吹く夜風が彼のフードを揺らす。


「まぁ、どっちでもいいが」


言うと、彼はフードを深くかぶり、喧騒の中に消えていった。

〈注意〉

1.学生ヒーロー・・・ヒーローを育成する専門学校に所属する学生らの総称。実習として実際に緊急時の避難誘導や地域復興を手伝っている。

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