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夜は静かだった。
野営地の奥。
焚き火から少し離れた場所で、二人は並んで座っていた。
ユーヴァスと、ガル。
ユーヴァスは小石を拾って、ぽいっと投げる。
ぱし、とキャッチ。
「でさ」
軽い声。
「どうだった?」
少しニヤッとする。
「“当たり”だったろ?」
ガルは、はぁ、と小さく息をついた。
「……いや、当たりとかそういうレベルじゃないでしょ」
「想定外すぎ」
ユーヴァスは楽しそうに笑う。
「だよな」
「顔に出てたぞ」
「出してません」
即答。
でもちょっと間がある。
ユーヴァスがじっと見る。
「出てたって」
「うるさい」
ガルが軽く睨む。
けど、すぐに視線を逸らした。
「……最初は、ただの“ちょっと速い素人”だった」
ぽつりと続ける。
「でも途中で変わった」
ユーヴァスが石を指で弾く。
「戦ってる最中に?」
「うん」
ガルは頷く。
「スピードも、剣の重さも……別物になった」
「その場で上限上げてる感じ」
少しだけ眉をひそめる。
「普通じゃありえない」
ユーヴァスは笑った。
「最高じゃん」
軽く言う。
ガルが呆れたように見る。
「軽く言うなって」
「制御できなかったら普通に災害だから」
「できたら?」
ユーヴァスがすぐ返す。
ガルは少し考えて——
「……帝国の柱。ずっと空いてた“あの席”が埋まるかもしれない」
そう言い切る。
ユーヴァスは満足そうに頷いた。
「じゃあ当たりじゃん」
「だからレベルが違うって言ってんの」
軽くツッコむガル。
少しだけ間。
焚き火の音だけが響く。
「……あれ、王国のやつなんでしょ」
ガルがぽつりと呟く。
ユーヴァスは肩をすくめた。
「元、な」
「捨てられたっぽいし」
軽い言い方。
でも、目は笑ってない。
ガルは少しだけ目を細める。
「……やらかしたね、向こう」
「だな」
ユーヴァスはあっさり頷く。
「まあいいけど」
「こっち来た時点で、もう関係ないし」
火がぱち、と弾ける。
「で?」
ユーヴァスが横目で見る。
「あの人に鍛えてもらえば、伸びると思う?」
ガルは少しだけ笑った。
「そりゃあね」
「俺たちの師匠なんだから」
立ち上がる。
「壊れない程度には気を付けてくれるさ」
少しだけ振り返る。
「……まあ、あいつが壊れるとも思えないけど」
ユーヴァスは笑った。
「だろうな」
ガルは軽く手を振り、そのまま闇に消えた。
一人残ったユーヴァスは、空を見上げる。
「ルクス、ね」
小さく呟く。
「楽しみだな」
その声は——
少しだけ、子どもっぽかった。




