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神に愛された者たちの戦い  作者: コウ


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8/8

帝国

面白かったら反応、応援よろしくお願いします!

森を抜けた先、視界が開けた。


ルクスは足を止める。


「……でか」


巨大な城壁。


だが、それ以上に目を引いたのは——


人の多さだった。


門の前。


中へ入ろうとする人々の列。


農具を持った者。


荷を引く者。


子どもを連れた家族。


城壁の中に入ると——


空気が変わる。


騒がしい。


活気がある。


笑い声。


呼び声。


生活の音。


それなのに——


思わず深く息を吸いたくなるほど、空気が澄んでいた。


戦う者の気配はない。


訓練された兵でもない。


ただの人間。


それでも——


「安心してる、だろ」


ユーヴァスが言う。


ルクスは少し驚く。


「……分かるのか」


「見ればな」


軽く返す。


通りの端。


子どもが走る。


それを、母親が笑いながら追う。


誰も怯えていない。


誰も警戒していない。


「ここはさ」


ユーヴァスが続ける。


「“守られてる”って分かってる場所なんだよ」


その言葉に、ルクスは黙る。


(……王国は違った)


あっちは、違う。


強さが求められる。


結果が求められる。


役に立つかどうか。


それが全てだった。


「弱くていい」


ユーヴァスはあっさり言う。


「守るのはこっちの役目だから」


軽い口調。


だが、その言葉は重い。


「そのための席次だしな」


ルクスの胸が、わずかに揺れる。


(……そういう、国なのか)


その時。


通りの奥。


一人の女が立ち止まる。


こちらを見ている。


静かな目。


だが——


民を見る目とは違う。


(……こいつは、強い)


直感で分かる。


「ヴァス」


女が声をかける。


「帰ってきたんだ」


軽い口調。


だが視線はルクスに向いたまま。


「……それ」


間。


「何?」


ルクスの視界に、光が走る。


——《外部観測を検知》


女は、わずかに眉をひそめる。


「……変」


一言。


「守る側でも、守られる側でもない」


その言葉が、刺さる。


ルクスは無意識に拳を握る。


女は続ける。


「でも——」


少しだけ興味を示す。


「どっちにもなれる」


その評価に、ユーヴァスが笑う。


「だろ?」


軽い声。


「拾い物」


ルクスは顔をしかめる。


「物扱いすんな」


ユーヴァスは笑う。


「冗談だって」


だが、その目は真剣だった。


「でもまあ——」


少しだけ間。


「守る側に来いよ」


その言葉は——


どこまでも自然だった。

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