選別
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「ええ。状況確認と——選別を」
ガルと呼ばれた男は、軽く笑った。
その一言で、空気が変わる。
だが、ユーヴァスは動かない。
止めない。
ただ一言。
「加減しろ」
それだけだった。
ガルは肩をすくめる。
「善処します」
そして視線が、ルクスに向く。
「来い」
圧が、叩きつけられる。
呼吸が重くなる。
(……これ、ヤバい)
本能が警鐘を鳴らす。
だが。
ルクスは、一歩踏み出した。
「……やる」
その瞬間。
ガルが消えた。
「——遅い」
背後。
咄嗟に振り向くが——間に合わない。
衝撃。
体が吹き飛ぶ。
地面を転がり、止まる。
「ぐっ……!」
立ち上がる。
速い。見えない。
「ほら、どうした」
余裕の声。
完全に“格上”。
(……勝てねぇ)
理解する。
それでも。
「……でも!」
踏み込む。
剣を振るう。
——届かない。
「雑だな」
軽く弾かれる。
再び、衝撃。
膝をつく。
その時だった。
視界に、光。
——《外部圧力を検知》
——《権能同期率上昇》
——《第二段階、解放》
(……来た!)
立ち上がる。
世界が、変わる。
さっきより、はっきり見える。
ガルの動きが——“追える”。
「……ほう」
初めて、ガルの目が細くなる。
ルクスは踏み込んだ。
今度は——速い。
剣が、届く。
「——っ」
ガルがわずかに避ける。
初めての“回避”。
【ステータス更新】
権能:第二段階解放
・光速歩(強化)
・光圧付与(NEW)
適合率:100%
ルクスは気づいていない。
だが。
一撃一撃が、重くなる。
「……面白い」
ガルの目が細まる。
ルクスは踏み込んだ。
——速い。
さっきとは比べ物にならない。
一歩で間合いに入る。
剣を振るう。
今度は——届く。
「——ッ」
だが。
ガルが完璧に反応する。
「……甘いな」
キィン——!
鋭い音。
ルクスの一撃は、正確に弾かれる。
「なっ——!?」
ただの防御じゃない。
完全に“合わせられている”。
「速さは悪くない」
ガルの声は冷静だ。
「だが——単調だ」
次の瞬間。
剣が滑る。
絡め取られる。
「——ッ!」
視界が回る。
体勢が崩れる。
そのまま——
弾かれる。
衝撃。
体が宙を舞う。
「がっ……!」
地面に叩きつけられる。
呼吸が止まる。
動けない。
ガルは一歩も動いていない。
ただ一度のやり取り。
それだけで——勝負は終わった。
「——そこまでだ」
ユーヴァスの声。
空気が緩む。
ガルは剣を下ろした。
「合格、ですか?」
軽く問う。
ユーヴァスは、ルクスを見ていた。
その目は、確信に満ちている。
「ああ」
短く答える。
「問題ない」
ガルは笑った。
「なら、歓迎しましょう」
帝国の一員として。
ルクスは、荒い呼吸のまま立っていた。
勝てなかった。
圧倒された。
だが——
(……見えた)
確かに。
“届いた”瞬間があった。
その時。
視界の端。
祝福表示が、わずかに変化する。
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【祝福】
名称:■■■◼︎■■■■
加護種別:光
権能:
・光速歩(強化)
・光圧付与(NEW)
適合率:100%
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一瞬だけ。
文字が、崩れずに表示された。
「……今の……」
だが、すぐに元に戻る。
その変化にルクス以外の誰も気づかなかった。
——ただ一人を除いて。
ユーヴァスは、わずかに目を細めていた。




