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魔物使いはめんどくさがりながらも相棒と異世界で生きていく  作者: 千歳
1章~別名説明回とも言う~
7/42

二日目の朝

昨日の次回更新予告間違ってました

ごめんなさい

 木の天井。当然前世で貼ってあった俺の嫁のポスターはない。

 しかし、落胆はない。

 昨日の村長との話でエルフも獣人もいることは確認済みだからな。

 エルフはスレンダーなのかな、ダークエルフはボンキュボンなのかな、そんなことを考えながら起き上がるとぽりぽりと掻くような音が聞こえる。

 フェンが首もとを後ろ足で掻いていた。前世ではほとんどいなかったけどここにはどうやらノミがいたらしい。このあたりも早くどうにかしてやりたいものだ。

 

 コンコンと音がなったので返事をして扉を開けるとヘレンが鍋を持って立っていた。その後ろには別の少女。朝食を持ってきたようだ。

 

「シンジさんは随分お寝坊さんなんですね」

 

 「いやー」と言って頭を掻くと二人の少女はくすくすと笑う。朝から女の子と話が出来るなんて前世ではありえなかった。顔がにやけているのがわかる。奥さんには悪いが、正直若い子のほうが嬉しい。村長わかってるな。

 話を聞くと村では日が落ちたら眠り、日の出頃には起きるのが普通らしい。じいさんばあさんでもそんな早起きは珍しかったのになぁなんて思ってしまう。どうにも前世の記憶があるせいでその記憶と比較しがちだが、もうここは日本ではない。郷に入っては郷に従え。慣れるしかないだろう。

 もう一人の少女はヘレンから話を聞いていたのか興味深そうにフェンを見つめる。

 ヘレンとこそこそと話し、「ほんとに全然怖くないね」なんて声が聞こえる。

 それから、なにやら肉を二人してあげ始めた。

 それが終わると思い出したように俺を見て鍋に視線を写す。

 

「あ…少し冷めちゃったので温め直しますね。薪を持ってきますから待っててください」

 

 俺はフェンより後かよ。このときばかりはフェンの愛嬌が恨めしい。

 5分ほどで薪を抱えてヘレン達は戻ってきた。

 ヘレンはテーブルにパンなどを並べ、もう一人の少女、ナーシャが竈に薪をくべるとなにやらぶつぶつと呟きながら火打ち石を打つ。するとなんと薪に火が灯った。

 通常火打ち石というのは打っただけで薪に火を点けることなどできない。普通は誘火綿などに点火して、そこから小さな木、薪へ移すという手順…だったはず。とにかく火打ち石から直接薪に着火はさせないはずなのだが、火を移す手順がない。

 

 あれが魔術か。

 この世界では魔法ではなく、魔術というらしい。大差ないような気もするが明確に違いがあるようだ。村長は何が違うのか知らなかったが魔法というのは昔にはあったと言われているが今はほとんどないらしい。

 

「このあたりでは皆どれくらいから魔術を習うの?」

「そうですねぇ、人によりますけど大体5歳過ぎくらいでしょうか?といっても、私達が覚えるのは生活魔術くらいですけどね」

 

 生活魔術というのは魔術の分類ではなく名前の通り日常生活で用いられる魔術の通称だ。今のように薪なんかに火を灯す〈種火(ファイアシード)〉やほこりなどを集めるのに使う〈弱風(ウィークウィンド)〉などがそれに当たる。

 

「そうなんだ。ちなみにこのあたりではどうやって教えてもらうの?」

 

 直接的に教えてくれっていうのは避け、あたかも使えるけどここではどうやって教わるの?という感じで聞いとく。5歳前後で覚えるようなことを出来ないのはさすがに不自然だろう。

 

「え?まぁいいですけど…もしかしてそういうことを調べるために旅をしているんですか?」

「え、あ、うん、まぁそれがメインではないんだけど、いろいろ旅してると村ごとに教え方が違ったりして面白いかなって。話のタネにもなるしさ」

「へぇ、旅にはそんな楽しみかたがあるんですね。知りませんでした。あ、〈種火〉をどうやって教わったかでしたね」

 

 ヘレンが勝手に前向きに解釈してくれて助かった。細かく追求されたら詰みだったぜ。

 ナーシャがスープを温めている間に〈種火〉を習った。

 詠唱は三節ほどですぐに覚えられた。あとで試してみよう。

 いくつかの詠唱を教えてもらうとナーシャがスープを持ってきてくれた。

 昨日の夕食同様なんというか素朴な味だ。取り繕わず言えば味が薄い。

 いくつかの野菜を塩と香り付けの香草で煮込んだだけ。パンもフランスパンの比じゃないほど堅い。最初石かと思った。それがこちらのスタンダードなパン、黒パンだ。

 フェンの肉も今回はちょうどよく在庫があったが基本的に肉を食べるのは野鳥などを狩れたか祝い事のときだという。

 昨日村で見た家畜も馬が1頭と牛が5頭。

 これらは食用ではなく、馬は街などに物を売りに行ったり緊急時に近隣の村や街に知らせを送るための足で、牛は主に農業用だそう。

 それにしても俺の食事の準備が終わったからって二人してフェンのところに行かなくても…俺、イケメンになったよね?もしかして思い上がり?それとも美的感覚の違いなのか?

 そういえば、魔物は魔術を使えるんだろうか。使えるならフェンも使えるようになるんじゃないか?

 疑問に思うがそれは聞けない。魔物使いということになっている俺が聞くのはさすがにおかしいだろうからな。

 

 食事が終わると二人は手早く食器を片付ける。

 帰り際に二人には銅貨を5枚ずつ渡した。日本円にすると500円ほど。とてもチップなんてかっこよく言える額じゃない。手持ちにまだ90000円以上あるとはいえ、今の俺は無収入。これが精一杯だ。それでも二人は声が出るほど喜んでくれた。

 ちなみに昨日案内と食事の世話してくれた村長の奥さんには渡していない。世の中は平等ではないのだよ。

 

 さてと、これからどうしようかな。

 まずは情報収集がしたい。図書館とかはないのか聞いたがこの国、ガンタルシアには王都にしかないようだし、入館料も馬鹿にならないらしい。なんでも本自体が高級品らしいからな。

 とにかく、国の情勢とか大きなものからどんな仕事があって生活するにはどの程度の収入が必要かっていう身近なことまで出来るだけ調べたい。そういう情報も吟味しつつ仕事を探したい。他の国にも行ってみたいし、ドラゴンとかも見てみたい。戦うのとかはうーん、まぁちょっとやってみたい気がしないでもない。成り上がり的なのも興味がないかというとそうでもない。でも、貴族とかそういう面倒なのは嫌だなぁ。

 次に出来るだけ魔術を知りたい。これは敵を知らねばってのもあるけど興味のほうが大きい。誰でも使ってみたいと思うでしょ?

 

 そんなわけでとりあえずある程度の規模の街に行きたいな。街道を行けばラパームって街があるらしいけど、フェンと二人で街に行って大丈夫だろうか。それなりの街だと身元の確認もされるって聞いたな。俺身分証とかないし、保証人ももちろんいないしな。

 あ、そういえば行商の人がいたな。確か…ヴァレンだったかな?

 あの人に着いていけばなんとかならないかな?

 うん、それがいいな。とりあえずダメ元で聞くだけ聞いてみるか。

 

 

次回更新は2日0時予定です。

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