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ブックマーク、評価して頂いた方、そして読んでくださる皆さんありがとうございます。
あまり気にしないようにはしてますがやっぱりpv数などが増えると嬉しいものです。
日も完全に登ったころ、日本で言えば8時ってとこかな?俺は村を見回しながらうろうろと歩いている。
目的はヴァレンを見つけることだ。
ヴァレンは村の外れで荷の積み込みなどをしていた。他にも5人の姿が見えた。
部下か?いや違う。腰に剣を下げている者やいかにも魔術を使いますって服装の人もいるし、何より足運びが戦う者のそれだ。たぶん護衛だろう。
護衛の内の一人が俺達に気付いたので手を挙げると、護衛がヴァレンに伝えに行った。
すぐにヴァレンが駆け寄ってきた。フェンをちらちらと見るな。
「これはフェンくん…とシンジさん。なにか御用ですか?」
こいつ…フェンのあとに付け足しやがった。
まぁいいや。一応好意的な感じだし。俺にじゃなくてフェンにだけど。
「俺…じゃなくて私は出来れば近くの街に言ってみたいのですが、ヴァレンさんが街に向かうようならばご一緒したいなと思いまして。村長に道は聞いたのですがなにぶん土地勘のない場所ですから。なんなら道中の雑用なんかもさせて頂きます。それにフェンは鼻も効きますから魔物の接近もすぐに気付けますよ」
「ええ、もちろんいいですよ!むしろ歓迎です。私も拠点ラパームに私の担当する店舗があるんですが、そこに戻ろうと思っていましたので。あぁ、雑用は別にして頂かなくて結構ですよ。代わりと言ってはなんですけどフェン君と遊ばせてください」
…徹底してるなぁ。ここまでくると清々しい。まぁフェンが嫌がらないならいいけどさ。
後ろの護衛があまりいい顔してないのはちょっと気になるけど、護衛対象を増やされたらそりゃ嬉しくはないよな。
「ありがとうございます。出発はいつごろになりますか?」
「そうですね。1時間後にここに集合でどうでしょうか?」
「わかりました。ではそのくらいにこちらに来ます。私は村長に挨拶してきます」
こちらの礼儀作法はよくわからないが一宿一飯の恩があるし、挨拶くらいするのは筋だろう。
村長の家を訪ねると奥さんが出てきた。匂いからして昼食の準備だろう。日本なら今朝食時だったと思うとなんとなく時差のようなものを感じてしまう。
「あら、シンジさん。どうかしました?」
「いえ、用事があったわけでは…。もうすぐ村を出ようと思うのでお礼をいいに来ました」
「まぁまぁ、若いのに偉いわね。あの人は今畑に出ちゃってるのよ」
「そうですか。ではそちらに行ってみます。奥さんもお世話になりました」
「いいのよ。お金も多めにもらっちゃったし、フェンちゃんだったかしら?ヘレン達は可愛い可愛いってその話ばっかりよ。シンジさんも礼儀正しいし、かっこいいのにその話は全然…って本人を前に話す話でもなかったわね。ごめんなさいね。あ、そうだ、ちょっと待ってて…これ持っていって頂戴。少しだけどラパームなら夕方には着くでしょうからお腹が空いたら食べてね」
「なにからなにまですみません」
「いえいえ。良かったらまた来て頂戴。あの子達も喜ぶわ」
「はい。ではまた」
いい人だったな。話題になってないのはショックだけど。
大きな葉で包まれた弁当を抱えて裏手にある畑を覗くと村長が切り株に座って休憩しているところだ。
軽く挨拶して、ヴァレン達の元に向かっているとヘレンとナーシャが走り寄ってきた。もちろんフェンにお別れを告げるためだ。
最後には「シンジさん、またフェンちゃんを連れてきてくださいね」なんて言われてしまった。一社会人として内心を見せずに笑顔で返したけど。
「あ、フェン君…とシンジさん。今ちょうど準備が終わったところです。さぁ出発しましょう。今から出れば日が暮れる前には到着出来るでしょう」
もう、なんかめんどくさいからこれ以上反応しないことにしよう。
俺とフェンはヴァレンと共に馬車に乗り込む。
歩いても構わないと告げたのだが、護衛達がうろちょろされるのも困るというので乗り込むことにした。フェンが乗り込むことになったのはヴァレンの希望だ。
馬車が静かに動き出した。めちゃくちゃ揺れるって聞いていたから少しビックリだ。もちろん、車に比べれば揺れるけど酔ったりするほどではない。
それにクッションがあるため尻が痛くなることもなさそうだ。
「驚いているようですね?」
フェンをわしゃわしゃと撫でながらヴァレンが顔だけ俺に向ける。手も止めろよ。
「ええ、思ったより揺れが少なかったので」
「自慢の馬車です。車体には〈振動軽減〉を掛けてもらって、クッションも良いものを選びましたから。他にもいろいろと工夫したのですよ。なんせ年の半分以上は仕入れなどで馬車の中ですから、少しでも快適にと思いましてね」
「へぇ。何を扱っているんですか?」
「うーん、一概に何を、とは言いにくいですね。私の顧客は貴族や高位の冒険者、その他富裕層がメインです。そういった方達は珍しい物を好みますから方々を回ってはお客様に気に入って頂ける物を仕入れているというわけです。他にも旅で得た知識などから商品の開発を担当する者に情報を伝えるのも仕事ですね」
あー、やっぱりいるのか貴族。まぁガンタルシア"王国"だもんな。まぁカーム村の様子だと圧政をしてるようには見えなかったけど。
「なるほど。手広くやられているんですね。どうりでお若いのにいい服を着てらっしゃる」
「はは、まぁ年寄りの幹部には服に着られている、なんて皮肉を言われますけどね。確かにそれなりに稼いでいるとは自覚していますが、さっきも言った通り年の半分はこうして馬車の中ですから少しでも見映えを良くして取引先の覚えを良くするくらいしか使い道がありませんので。それを言うならシンジさんだってすごいじゃないですか。その若さで旅だなんて。危険も多いでしょうに」
答えるのに困るなぁ。一応言い訳を考えといて良かった。
「そうですね。でもフェンがいますから。さっきも言った通りこいつは鼻が効きますから襲ってくるような相手がいたらすぐに気付けるんですよ」
「なるほど。確かに狼種の嗅覚はすごいですからね。相手にすると厄介ですけどね。そうだ、シンジさんは何か珍しい物を知りませんか?もちろん対価は支払いますので」
いきなり珍しい物って言われてもぱっとは思い浮かばない。この世界のことも謎知識さんと村長に聞いたこと以上は知らないしそもそも何が珍しいかもわからないんだよな。
変に答えて軍事技術とかに使われるのも困るし、目をつけられるのも…あ、そうだ。これなら絶対珍しいな。
「ハシ、ですか?」
次回更新は3日0時を予定しています。
ラパームに着いて一通りあれこれしたところまでで一章を閉めようかなと思ってます。




