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【連作短編】レーテーのほとりで、虚構とワルツを。―亡霊は白に花を描く―  作者: 蒼樹ろーさ
今日は、必要ありません ~神様のチートアプリより、あなたと選ぶ今日がいい~
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第二話 また明日

森の中。

リオンさんが薬草の場所を教えてくれます。


「ほら、あそこ」

「ああ、本当ですね」


私はその薬草を摘みます。

アプリに、記録されました。


『薬草採取:1/10』


順調です。


「レイナ、上手いな」

「…そうですか?」

「ああ。仕事が丁寧だ」


少し、口元が緩みます。

褒められるのは、好きです。


「次は、あっちに群生地がある」


リオンさんが指差します。

私たちは森を進みました。

30分ほどで、目標の薬草をすべて集め終わりました。


「終わりました」

「早いな。優秀だ」

「当然です」


私は胸を張ると、リオンさんはまた笑います。


「…なんですか」

「単純な奴だなと思って」

「馬鹿にしてるんですか?」

「いや、興味深い」

「観察しないでください」


⊹‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⊹


おしゃべりしながら、ギルドに戻りました。

報酬を受け取ります。

銀貨8枚。


「初日にしては上出来だ」


リオンさんが言います。


「ありがとうございました」

「礼なら、また一緒に行くことで返してくれ」

「…え?」

「また一緒に、依頼行こうって言ってんの」


私は目を瞬きました。

また?


「…私で、よければ」

「しばらくは、保護者になってやるよ」


戸惑う私に、リオンさんが頭を寄せます。

そして、耳元で囁きました。


「……一人だと、道に迷いそうだ」

「なっ…!」


思わず私は耳を押さえて、一歩下がりました。


「わわ、わたしは子供じゃありません!」

「はいはい。じゃ、また明日な」


リオンさんは私の頭をガシガシと撫でました。

髪が乱れる、と思いつつ、伝わった温もりが案外心地よくて。

その温もりが離れるのを、少しだけ寂しく感じました。


彼が手を振って去っていった後。

私は頭を押さえたまま、その場から動けません。

胸がドキドキしています。


アプリを開きました。

『感情分析』の機能を使います。


『該当する感情:期待、喜び』


確かに。

明日、また会える。

それだけのことが、嬉しいです。


⊹‧┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈‧⊹


宿の部屋。

ベッドに座って今日の記録を見返します。


『07:15 転生』

『08:30 ギルド登録』

『09:00 リオンと出会う』

『10:00 薬草採取開始』

『11:30 採取完了』

『12:00 報酬受取』


すべて記録されていました。


でも。


リオンさんとの会話。

「素直じゃない」と言われたこと。

彼の笑顔。

頭を撫でられた感触。


記録を見なくても覚えています。

鮮明に。


私は画面を閉じ、窓の外を見ます。

二つの月がきれいです。


「明日も、会える」


私は小さく呟いて、ベッドに入りました。



翌朝。

いつも通りに目を覚ましました。


アプリを開きます。


『おはようございます』

『今日の推奨スケジュール』


いつも通り。

私は、身支度を始めました。

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