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第一話 リナの配信

「えへへ、今日も見てくれてありがとう!」


頬を染め、はにかむ配信者の少女――リナ。

数ヶ月前まで、フォロワー2桁の底辺配信者だったと、誰が信じるだろうか。


ぺろ、と唇を舐める癖が出た瞬間。

画面の端を、コメントが勢いよく流れる。


「りなたん、かわいい」

「天使!」


だが、ほんの数ヶ月前。

画面に流れるコメントは、ほとんどなかった。


同時視聴者、2。

そのうちの1は、きっと自分。


「……今日も、ありがとう」


返事はない。

静かな部屋に、自分の声だけが残る。


愛想笑いが、痛い。


配信を切ったわたしは、お気に入りのぬいぐるみを抱きしめた。


「半年、かぁ…」


余命、半年。

説明する医師の姿は、現実味がなくて。

いつドッキリ大成功ってバラされるんだろう、なんて考えていた。


けれど、何も起きないまま家に帰って。

夜、ご飯を1口食べた時。

ふと、口からこぼれた。


「――私、いなくなるんだ」


誰の記憶にも残らず。

通知も鳴らず。

タイムラインにも流れず。

ただ、いなかったことになる。


怖かった。

死ぬことよりも、

「存在しなかったことになる」ほうが。


その夜、暗い部屋で。

滲むスマホの画面を見ながら、思った。


――このまま、消えたくない。

何か、残したい。


写真?

動画?


「違う……私を、残したい」


ふと、ひとつの記事が目に付いた。


「……ディープフェイク」


自分の顔を学習させれば、私がいなくなっても、“私”は配信を続けられるかもしれない。


笑って、ネットの中で。

誰かの画面の中で、「私」が生き続ける。


「……はは。馬鹿げてる」


でも。

それは、絶望の中で見つけた、小さな、小さな希望だった。

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