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62の舟券  作者: 広瀬修一
15/22

再会


仕事はコンベアの上をゴロンゴロンと転がってくる長い鉄のパイプをスムーズに

流れるようにするという簡単な仕事だったので、すぐに慣れた。


一ヶ月ほどたったある日、仕事が終わって休憩室に戻って帰る準備をしていると

広瀬をじっと見ている奴がいた。


広瀬が視線を向けるとニヤリと笑った。


榊原であった。


「びっくりしたわ、なんでお前がここにおるんや」


榊原はあのあと大阪の友人のところに居候をしていた。


最初は歓迎されていたのだが長居するようになるとイヤミを言われるようになり、

居づらくなっていたところに広瀬がいった会社の、求人募集をスポーツ新聞で

みつけ、半田の工場にやって来たのであった。


寮の部屋の方は空いていなかったが、会社が借りている近くのアパートに入り、

食事と風呂は寮で済ませることになった。


しかし勤務が反対番になり休みの日以外は工場の休憩室で短い時間だけ

しか顔を合わすことがなかった。


半月ほどたって榊原が急に


「仕事をやめて京都に帰りたい」


と言い出した。


「いったいどないしたんや」


訳を聞くと榊原が入ることになった部屋には、桧山という男がいて


「おれ達はアンコ(日雇い労務者)やから、おれのことにはかまうなよ」


「ここは大阪の西成の手配師が作った会社で、仕事になれてくると

24時間でも働けといってくるぞ」


と脅すように言った。


さらにある日桧山が、ものすごい形相で部屋に戻ってきて、


「いまさっき、そこの時計屋で金を盗んで来た。」


「だれにも言うんじゃねぇぞ」


と凄まれ怖くなり、ここから出たいということだった。


「京都でアパートを借りる金が貯まるまでもうちょっとまてへんか、事務所には

いっしょの部屋に入れるようにたのんだるから」


と広瀬が言ったが、


「もうがまんできへん」


榊原はここにいることさえ嫌になっていた。

広瀬はしかたなく、一緒にやめることにした。


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