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62の舟券  作者: 広瀬修一
13/22

流転


アパートを出ると二人はそれまで、仕事やギャンブル場に出かける前には

必ず寄っていた観月橋のそばに有る行きつけの喫茶店に入った。


モーニングコーヒーを注文して厚切りのトーストパンとゆで卵を食べながら

スポーツ新聞を見て住み込みの仕事を探した。


「大阪やけど軽作業、住み込みで2交代ゆうのがあるわ、これええんやないか」


広瀬が声を出すと、榊原もその新聞をのぞいて


「お!日払いやんかそこいくか」


さっそく広瀬は店のピンク電話から電話をかけた。


「働きたいんですけど、二人です」


というと


「もう定員になるんで採用は一人だけや」


といわれ榊原にそれを告げると


「お前が行けよ、俺は大阪に友達がおるしちょうどええから

大阪駅まで一緒にいくわ」


会社の場所をおしえてもらい、ふたりは最寄りの観月橋の駅から

京阪電車に乗った。


大阪の京橋駅に着くと榊原は


「それじゃまたな」


広瀬も


「じゃぁな」


とひとこと言って別れた。


あれだけ世話になったのにあまりにもあっさりとした別れであった。


広瀬は地下鉄を乗り継ぎ平野にあるその会社を訪ねたのだが

そこは会社というより小さな事務所だった。


すぐ簡単な面接をうけ採用となったのだが、


「今、大阪の工場の方はいっぱいやから、愛知県の知多半島にある工場に

いってもらうけどえぇか?」


もう後戻りも出来ないので広瀬が


「お願いします」


というと


「すぐ出発するからそこのマイクロバスに乗って待っとって」


マイクロバスに乗リ込むと3人の男が先に乗っていた。


みんな押し黙っている。


広瀬は視線を落とし眠ったふりをした。


しばらくすると運転手の男が


「今から出るでぇ」


と声をかけながら乗ってきた。


出発して、大阪の市街を抜けて阪奈道路に入り、途中、三重県のドライブインに

寄ると運転手は車を降りて弁当を買ってきて食べさせてくれた。


朝、喫茶店でモーニングセットを食べただけだった広瀬は

流し込むように弁当を食べ、タバコを一本取り出し、火をつけ、

ふぅーと煙を吐き出すと、やっと気持ちが落ち着いて来るのを感じた。


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