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62の舟券  作者: 広瀬修一
12/22

転落その2


そんな榊原をさらに追い打ちをかけるような出来事がおこった。


それは竜神大学福祉学科の実習で訪れた京都府下の綾部にある

養護施設の彩美園でのことだった。


そこには榊原の通う大学の先輩が就職して働いていたのだが、

その先輩が知恵遅れの兒童を虐待しているのを見てしまった。


「イライラしたから殴るんだよ」


「こいつらの親は正月だって迎えにこないんだぜ、

だから何やったってわかりゃしないさ」


「お前だっていずれこうなるさ」


大学では心の底から尊敬していた先輩だっただけにショックも大きく榊原は

それ以来大学に行かなくなり、ちり紙交換のバイトもやめてしまった。


しばらく部屋にこもって打ちひしがれていた榊原だったが、

気晴らしにでもと近くのパチンコ屋に出かけた。


そこでたまたま隣り合わせたパチプロの夫婦に出会い、

彼らの自由で仲睦ましい雰囲気に触れ癒された榊原は少しづづ元気を取り戻し

優しく接してもらううちに手ほどきを受けてパチプロになっていった。


当時はまだ手打ち式の台が残っていて、榊原はチューリップがたくさん付いた

10とだまと呼ばれていた台が専門で左側のチューリップめがけて

たくさんの玉を打ち出しチューリップを開きっぱなしにして出玉をふやす

「落とし」と呼ばれる技を身につけ、一日一台の終了を

こなして確実に稼げる腕前になっていった。


しかし手打ちの台は数が少ないので同じ店で長く打つことができずに、

パチプロ夫婦と共に台を求めて転々と店を変えていった。


そんな時にパチンコ界にその後一大革命をおこすことになるセブン機が登場して

各店舗に置かれるようになると、ますます手打ちの台は隅っこに追いやられ

そして次々と消えていった。


やむなく榊原もセブン機に手を出した。

ほぼ半日がかりで一台終了させていたのに一瞬にして終了してしまう。

そんな快感に魅せられてセブン機に切り替えたのだが、一つの店に2列

ぐらいしかなく台を確保することすら難しくて台を選ぶことができないので

負ける日が多くなりアパートの家賃が払えなくなってしまった。


一方広瀬は相変わらずギャンブルに明け暮れそのひぐらしであったため

とうとうアパートを追い出されることになってしまった。


家財道具をリサイクルショップに売却して粗大ゴミは夜中にこっそり

近くの宇治川に流し翌朝、二人はアパートを出た。


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