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62の舟券  作者: 広瀬修一
11/22

転落その1


「さてこれからどうしようか」広瀬はあとのことはなにも考えずに

遍路に出たのでさっぱりあてがなかった。


そこでとりあえず荷物を預かってもらっている京都伏見の観月橋の近くにある

榊原のアパートを尋ねることにした。


「いくとこ無いんやろ、ここに住んだらえぇわ家主さんもうるさないからなぁ、

いつまでもおってえぇでぇ」


「すまんなぁ又ちり紙交換の仕事やってアパート借りるわ、

そやからそれまでたのむわ」


しかし広瀬は、仕事を始めるとまたギャンブルに手をだしてしまい以前

と同じように稼いだ金はすべてつぎ込んでしまい、榊原のアパートから

出ていくことは出来なかった。



大学に通っていたはずの榊原が毎日パチンコ屋に出かけていくので、

朝、広瀬は声をかけてみた。


「今はパチンコ屋でバイトしとるんか?」


「いやパチプロやっとるんや」


「え!なんでや大学には行っとるんやろ?」


「いや休学中や」


好き勝手に生きてきた広瀬と違って真面目で将来の目標をしっかり持っていた

榊原をずっと尊敬していただけに、にわかには信じ難かった。


「いったいどないしたんや」


「今度の休みの日にゆっくり飲みながら話すわ」


仕事場にしているパチンコ屋が休みの日に、いつもの焼肉屋でビールを

飲みながら榊原は語りはじめた。


それは2年前の二人で琵琶湖競艇場に行った頃の話からはじまった。


その琵琶湖競艇場に行く数日前に榊原は学生運動の青年リーダーと口論になり

グループから離れたのであるがその原因が同じグループの中谷綾子との

恋愛関係にあって、以前に中谷に横恋慕してふられたリーダーの木村から


「俺たちは革命のための同士なのだからグループ内の恋愛は禁止だ」


と言われ


「おかしいやないか恋愛は自由だろう」


と言い返した


数日後また同じことで言い争いになり


「こんなグループやめてやる」


と榊原が言うと、感情的になった木村が


「日本で共生主義革命が起きたらまっ先にお前を粛清してやる」


と言い放った。


理性の積み重ねによって作り上げられ高い理想をかかげた共生主義者のグループも

ささいな感情によってもろくも壊れてしまう、榊原は一切の学生運動から離れ

グループに残ることを選んだ中谷綾子とも別れてしまったのだった。


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