49.殲滅戦
僕達の載る軍用馬車が相手にYの字を描くよう割れ、側面を向ける。
まだ弓の射程にははいっていないのだろうか、矢は跳んでこない。
僕は幌の部分を少しめくると、緋氷槍を短く持ち、槍先を相手に向ける。
使う魔法は、爆発。得意の火魔法だ。
これなら、射程・攻撃範囲・連射性能・消費魔力を考えると、最も優れているだろう。
「いくぞ」
「え?もう?」
ティアさんが、準備している間に、僕は間髪入れずに3連で爆発連射をする。
一発目が着弾して粉塵が舞った瞬間、さらにもう一発が着弾してさらに大きな爆発が起きる。
さらに、止めとばかりの爆発が起きると、正面の2台の馬車が粉々に吹き飛び、その周りで構えていた兵たちが倒れこんでいた。さらにもう1台の馬車も横転して動けなくなっている。
「よし。」
シャナに戦法だが、爆発に爆発を重ねることで、多少だが威力を高めることが出来るのだとか。
「これは・・・・。まいったな。1台でも過小評価だったか。」
ローさんがそうつぶやく。
「捕虜とかは?」
「いや、邪魔なだけだ。相手はこの隊だけではないし、本丸は船だからな。」
「では、殲滅させてもらいますね。」
そういうと、さらに爆発横転していない馬車に向けて爆発を放つ。
お互い走っている馬車同士なので、直撃こそさせれなかったが、爆発の影響で馬車が横転する。
「マロウ!!」
僕がその馬車を指さすとマロウが横転した馬車に向けて疾走する。
そして、数秒後には馬車の方から複数の叫び声が聞こえた気がした。
・・・・
「流石にこれは・・・、相手に同情するぜ。」
馬車から降りて、念のために確認にいった旅団の人たちが両手を上に向けて肩をすくめて見せた。
もちろん本当に同情するはずはないのだが。
これは戦争で、相手は兵。実際相手は僕達を視認すると迎え撃とうとしていたし、実際に何組もの小隊や補給隊が彼らに襲われている可能性が高い。
やらなければやられるし、手を抜けば僕の大事な人が傷つく可能性が高いのだから、最善を尽くしたまでだ。
生存者は最初の爆発で横転した馬車に乗っていた4名だけ。しかも火傷でとてもではないが動ける状態ではなかった。
「アルキラ帝国の兵で間違いないな。」
ローさんが、捉えた兵に話しかけ、兵たちは無言でローさんを睨み返す。
「答えたくなければ、それでもいい。ところで、お前たちの他にもまだ兵これで全部か?」
その問いにも兵たちは答えない。
しかしローさんは頷くと、次の質問をした。
「待ち合わせ場所は、この先。明日で間違いないな?」
それだけを言うと、しばらくして剣を取り出し、1人の兵の首を刎ねた。
その動作に、残りの3人の兵が慌てる。
「ちょ・・・まってくれ。しゃべる。しゃべるから」
「俺達は、間違いなくアルキラ帝国の兵だ。それに待ち合わせ箇所もこの先で間違いない。
なんだったら、案内してもいい。」
「な・・。おまえら!」
二人が命乞いをはじめ、一人がそれを咎めるように食って掛かる。
そして、その瞬間ローさんはその男の首を刎ねた。
そして、瓶を1本二人に渡して、飲むように言う。
「安心しろ、魔法薬だ。そのままではつらかろう。低級だが、痛みは和らぐはずだ。」




