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48.遭遇

野営は、明日に備えて最低限の人数ということで、ディーン副団長率いる補給部隊が主体で行うことになった。暗視の魔法を使うことで効率的な見張りを行うことが可能だとの判断だ。

もちろん、それだけでは足りないので、ロッソさんやエリック達のように暗視に慣れた人も参加していたが、通常の交代制よりも皆しっかりと休むことが出来たようだ。


「今日は、ちょっと今日は隊を分けさせてもらう。

まずは、旅団の中でも戦闘力の高い者中心の少数遊撃隊。

こちらにはエリック君達とエリー君が参加してもらい、私が指揮を執る。

積極的に敵を索敵して急襲する部隊として運用する。

そして、残りが主戦力になるが、こちらはディーン副団長に率いてもらう。

船の接岸地点を正確に把握することと、その手前で陣を張り帰還兵の迎撃を行ってもらう。」


「俺は、兵法は詳しくないが、兵を分けるのは下策ではないのか?」

ロッソさんの質問に、ローさんが答える。

「普通であれば戦力の分散は下策だな。

ただ、今回用意できた軍用馬車は2台しかない。戦力に余裕があるなら、その機動力を活かしたい。」

そういって、僕とその隣で蹲っているマロウの方を見る。

ロッソさんは、それですべてを察したようで、頷いた。

”一角獣の角”と”不死の鷹団”の人たちは不思議そうであったが、自分達はどちらかといえば安全な本隊側であるし、ロッソさん達や半数とはいえ旅団の人たちもいるので、何も言わなかった。



・・・

旅団の精鋭と僕達を載せた馬車2台は、草原を進んでいた。

街道のように整備されてはいないので、速度は速いとは言えないが、それは相手とて変わらないだろう。


二手に分けた最大の理由は、相手に油断させて逃亡を防ぐためらしい。

「東側前方に、生物の反応です。距離は2kmほど。

 おそらく馬車が4台。それぞれに5~6人乗っているわ。」

エリーさんが、御者台にいるアレックさんに声をかける。


「商人にしては人が多いし、駅馬車や場所がおかしい。まず目標(てき)だと思っていいだろうな。」

「人数的にはこちらの方が劣勢ですけど・・・」

「まぁ、やれんことはない。君達にも期待しているぞ。

「アーディル君とティアさんは魔法使いだったな。遠距離でどれだけ捌けるかが勝負の鍵になる。

合図があったら、盛大にぶちかましてくれ。エリック君達は、エリーも含めた3人の護衛を頼む。」


こちらは戦闘能力の低いエリーさんをいれて14名。

相手の戦闘力は不明だが、情報によると今回は盗賊に偽装などしていないらしいから、防具などは前よりも良くなっている可能性が高い。怯むエリック達に比べ、旅団の人たちには余裕があるように見える。


「そう緊張するな。なるようにしかならん。むしろ、力みすぎると本来の力もだせんぞ。」

中年の男性が、笑いながら話しかけてきた。

通常であれば、冒険者の方が場数を踏んでいるはずなのだが、旅団のメンバーはそれを上回る経験と実力をもっているらしい。武器と予備の武器を確認しながら、肩を軽く回して準備運動をしている。


「速度をあげる。デリードとガーファンクルは魔法を準備してくれ。

ロー。左右でわれて、そのまま駆け抜けるぞ。馬車がやられた場合はその場に留まらずに走れ。」

アレックさんが指示を出す。

軍用馬車は、通常の馬車に比べて悪路にも強く、速度をあげることができる。もっとも、馬車には違いないので、極端に早くなるわけではないが、こちらは封魔紋にしまって物資をほとんど積んでいないので、追いつくはずだ。

そして、アレックさんは馬車のまま戦うつもりらしい。


「アーディル君。君とその狼に馬車1台対応をお願いしたいのだが、可能だろうか?」

ローさんが、控えめに僕に提案をしてきた。

普通に考えると、かなり無理な依頼だが、ローさんはかなり僕たちの実力を買ってくれているようだ。

ただ、実際問題でいうと多分問題ない気がする。

僕は頷くと、マロウを優しくなでてやった。


速度をあげてから数分。馬車が視認できるようになる。

大小4台の馬車は商人などが扱う馬車とは違い、魔物の素材が使用されている軍用の物であるのが遠目にもわかる。

「間違いないな。」

「王国のものである可能性は?」

「まずない。この先は特に守るべき場所もないし、この情勢からすればザッカートかシモンの砦に集結するはずだ。例外があるとすれば我々旅団だが、この地区には今俺達以外にはいないはずだし、人数が多すぎるからな。」


僕達と馬車の距離が詰まってくると、相手も気が付いたようで馬車を止め向きを反転させてきた。

道を塞ぐように、10人ぐらいの兵が降りてきて、半数が大きな盾を構え残りは弓をつがえている。

「よし。魔術師はいないか少なそうだな。」

一般的に、実践レベルで魔法が使える者は、一般兵にはならない。

冒険者の方が稼げるし、安定を求める場合でも魔法師団など特殊で給金の高い部隊に志願するからだ。

これは、王国の第二騎士団にも当てはまる。例外的なのが、第一騎士団・・いわゆる親衛隊と第三騎士団である銀の旅団なのだ。給金について詳しいことはわからないが、同一ということはあるまい。

もちろん、このような特殊任務だから、魔法師団に所属する者がいたりする可能性も高いと思っていたが、今回はそうでなかったようだ。


アレックさんは魔法使いがいないのを確認すると、僕達に自分たちの射程で魔法で遠隔攻撃をするように指示した。

「馬車の動きが激しくなるから、しっかりつかまってろよ。」

そういうと、2台の馬車は正面を避けて左右に分かれて突っ込んでいった。

 




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