41.黒船奪取作戦
「さて、ザッカートの件、どこまで聞いた?」
ギルドマスターのマービックさんの横にアレックさんが座ると、僕達を見ながら話しをしだす。
既に、魔石と頭蓋骨については封魔紋の中だ。
「帝国軍にほぼ包囲されている状態にあって、相手の兵力は約5千程度とかなり多いこと。
そして、海上も帝国の武装船に抑えられていることぐらいかな。」
「そうだ。では、王都からの補給線の話は?」
「いえ、まだ何も」
するとアレックさんは頷いて、ディーン副団長に話すように促す。
「じゃぁ、まず初めての方もいるから、自己紹介から・・・。」
そうして、ディーン団長は僕を王都から護衛しつつ輸送をしたこと、そしてその道中、アルキラ帝国の物と思われる私掠部隊に遭遇し、あわや全滅の危機にあったが、僕の活躍で無事にアルキラ帝国の私掠部隊を撃破し、ザッカートについたことを話した。
「まぁ、さもありなん・・というところか。あの爆発を起こせるのだからな・・。」
「いや、あれは運が良かったんです。あの爆発は、地面に鉄鉱石の岩があったり特殊な条件でないとできないんです。」
「にしても・・・じゃよ。爆発は運でも、あの大火力はまぐれではなかろう。」
サイクロプス討伐の時のことをデュルゲルさんが言い出すと、アレックさんとディーン副団長は、あの爆発の原因を知って驚いていた。
「話を戻そうか。あの後、僕達の情報を諜報部隊が分析して、活動した結果、なんとアルキラ帝国が海上から船で戦力を送り込んだ可能性が高いことがわかったんだ。
それどころか、わが軍の保有するよりもはるかに大きく強固な武装艦を数隻保有しているとゆうところまで突き止めたというわけだ。」
どうやら、話によると僕達がアルキラ帝国の私掠部隊を倒した後、しばらくは被害が無くなったらしいのだが、1週間もするとまた被害が出だしたらしい。
しかも、今度は盗賊のように偽装することもなく、堂々とアルキラ帝国兵として活動するうえ、どうやら少なくとも数部隊は出るらしく、補給部隊はかなりの打撃を受けたらしい。
そして、現在は銀の旅団が補給部隊の護衛をしているらしい。
「幸い、前回の私掠部隊ほど狡猾ではないのでね。旅団のおかげで、一気に被害が減った。」
「第二騎士団は、どうしたんですか?」
「現在、ザッカートに順次集結していっている。第二騎士団も行きは護衛に加わるのだが、それだけだと帰りの空馬車や脱出する民間人が襲われてしまうんだよ。」
第二騎士団は半数は王都にいるが、残りは地方の大都市などに派兵されている。
そのため、他の町から補給物資を運ぶときは、第二騎士団が護衛をできることが多く、アルキラ帝国の私掠部隊も襲って来る事はほぼないらしい。
だが、相手は補給線を絶つことが目的なのだろう。
盗賊ではよほどでないとありえないことだが、ザッカートからの帰りの荷物のほとんどない状態の補給部隊を襲って来るというのだ。そこで、銀の旅団の登場というわけらしい。
「で、冒険者ギルドに来たってことは、何かあるんだろ?」
ギルドマスターのマービックさんが鋭い眼光でアレックさんを見つめながら言う。
「そう睨まんでくれ。今回、俺達が殲滅した部隊から情報が得られたんだが、ちょっと戦力不足でね。依頼を頼もうと思っていたんだ。緊急かつ危険度もそれなりなんで、直接ギルドマスターに依頼をと思っていたんだが・・・。」
「なるほどな。で内容は?」
「それは、僕達が聞いてもいいんですか?」
僕が、何やらどんどん話が進んでいくために確認をすると、マービックさんが答えた。
「構わん。内容にもよるが、場合にっては君たちに依頼するかもしれんからな。」
「良いのか?」
「ええ、あんたもロッソもBランクだろう?それに、アーディル君の話が本物なら、うちの常連に対抗できそうなやつはいないからな。」
「で、今回つかんだ情報だが、どうやら私掠部隊は間もなく交代の時期らしく、船がここからそう遠くない岸壁に来るらしい。で、我々の作戦は、私掠部隊に化けて船に近づき、船を鹵獲する。」
「おいおい・・・正気か?」
「ああ。このままでは鼬ごっこだからな。我々はこういう任務は比較的得意なんだよ。
だが、いくら何でも手が足りん。というわけで腕利きを斡旋してほしいのだが・・・。」
そういって、僕達の方をみてニヤリと笑った。




