39.マロールの街
「さて、どちらに向かうべきでしょうか?」
エリックが、ロッソさんとデュルゲルさんに相談をする。
ダンジョン以降、僕から見てもエリックはかなり頑張っていた。
明らかに格上や年上の人たちとも上手く立ち回りながら、決めることは決め、実践していた。
「流石に見覚えがないが、とりあえずは街道まででるのが良いのではないか?」
デュルゲルさんがそう答えると、ロッソさんも頷いた。
この3人が実質的なこのメンバーでのリーダーとなっていた。
デュルゲルさんとロッソさんが冒険者ランクが最も高いことと、人望があったこと。そして、エリックは今回の情報提供者であることもあるが、僕のパーティーのリーダーであることが大きいようだ。
実際、僕に対しての対応は真っ二つ。実力を認めて頼れる仲間として扱ってくれる人と、畏怖の対象として距離を置く人たちだ。ロッソさんのパーティなどは前者で、新人層のランクの低い冒険者が後者が多い。
まぁ、その気持ちはわからなくもないが。
結果として、僕達は街道が見えるまで直進していくことになった。
おそらく樹海は、ヴァルジラ王国とアルキラ帝国の国境に面しており、太陽の方角から見てもこちらは王国側に抜けているはずだ。そうすると、かならず王国を縦断している街道の一つもしくはその枝道にぶち当たるはずなのだ。
街道は、安全上の問題から樹海からかなり離れて作られているが、樹海も外縁部はさほど強力な魔物もおらず、豊かな資源の宝庫なので、町から街道ほどではないが道ができていることも珍しくない。
このどれかにあたれば、街たどりつくへのは難しくない。
また、街道であれば運が良ければ商隊や乗合馬車に遭遇する事も考えられる。
そうすれば、ここがどのあたりかもわかるはずだった。
樹海からおよそ1日ほど進んだ先に、整備された大きな街道はあった。
まず間違いなく王都から北都と呼ばれる大都市メリオノールまでを縦断する大街道、通称メリオノール街道だろう。この街道は、国の大動脈ともいうべき街道で、途中には様々な都市が点在する。
オフェルスなどもこの街道沿いにあり、ザッカートへの道はそこから分岐した街道となっていた。
「メリオノール街道か。ならばどちらに向かっても街はあるな。」
「だとすれば、南に向かった方がいいですかね。」
「そうだな。オフェルスとの間にしては見覚えがない。どちらの方が近いかはわからん以上、王都方面に向かった方が、懸命といえるだろう。」
流石に、ベテラン勢は大丈夫だが、若手は最近無口になっている。
村でも街でもいいので、早く安心して休める場所につきたいと思うのは、僕も同じだった。
そして、メリーノール街道を進むことほぼ丸1日。
夕暮れ間直に僕たちはそれなりの大きさの街につくことが出来た。
門番の人には、こんな時間にボロボロになった50人近くの者が現れたので、かなり疑われたが事情を離すと上司らしい男と冒険者ギルドのギルドマスターという人が現れていくつかの質問をされた後、解放され宿まで手配してもらった。
もっとも、後でロッソさんに聞いたところ、宿をギルドが手配したのは、不審な動きがあった時にすぐに対応ができるようにするためらしく、善意ではないようだった。
「この街並みは、マロールじゃな。随分と久々に来たわい。」
そういって、ベットに座るのはデュルゲルさんだった。
明日以降はどうするかは別として、流石に夕暮れに50人もの人数の宿をとるのは、なかなかに大変であったのもあって、エリックとセドリック、そして僕とデュルゲルさんは、同室に泊まることになったのだった。流石に、今日は皆寝るだけだろうし。
「デュルゲルさんは、ここに来たことがあるんですか?」
「まぁ、伊達に年はくっておらんからのぉ。ここは、オルフィスの北側にある街じゃな。
商業都市としても栄えておるし、近くに鉱山の町が多いので、鍛冶なども盛んじゃ。
まぁ、明日はちょっと街を案内してやろうかの」
「いやいや、明日はギルドマスターに呼ばれてるじゃないですか。」
「なに、1日まるっと使うわけじゃないじゃろう。それはそうと、今日はもう休もうや。
流石に、疲れたわい。」
こうして、僕達の波乱に満ちたダンジョン脱出劇は終わったのだった。
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