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35.サイクロプス登場

設備がないし、材料も量はあるのだが偏りがあるので十全とはいかないが、短時間でそれなりに魔法薬(ポーション)を用意することもできた。傷薬や解毒・解麻痺などの薬が中心になるが、変わったところでは、催涙薬をいくつか作ってみた。

狼などもそうだが、魔物の中には嗅覚などが人間と比べて桁違いに良いものが多い。

本での知識だが、そういう魔物には、強力な臭いを出す催涙薬が効果があるらしい。

人型以外の魔物の多くは、鼻をつまむなどの行動がとれないだろうしな。


「そろそろ、交代の時間・・うお、何だこの匂いは。」

風魔法で、臭いがみんなの方に行かないようにしていたので多分、皆気が付かなかったのだろう。

この匂いの中、風下から魔物が襲ってくるというのは、よほどの物付きやそもそも臭覚が効かないような魔物に違いない。

「ちょっと、催涙薬を作ってました。

まぁ、使わないに越したことはないですけど、手段は多い方がいいですからね。」

「そ、そうか。確かに催涙薬の類は魔物によっては効果があるが・・・。これはきついな。」

「一応、魔法薬(ポーション)なんで。普通よりは効果は高いと思いますよ。」

「助かるが、しっかりと休むことも大事だぞ。森を抜けるのに、まだ数日はかかるだろうし。」


最近は、エネルギー消費拡大の影響を受けながらも、随分余裕をもって魔法を使えるようになってきた。

僕には、”闇の癒し”があるので、朝には十全の状態になるのもありがたい。

まぁ、言葉にあまえて、少し休ませてもらおうか



・・・


翌朝の朝食も基本は肉だった。

一応、昨晩はオーク肉で今日は鰐肉と多少味は違うが。

本当は、野草や芋の類などで食べれるものがあれば摂ったほうがいいのだが、残念ながら薬の材料になるものはいくつか採取できたが、そのまま食べることができるものはほとんどなかった。

それでも、水も補給できているし、これだけしっかり食えるのは恵まれているとロッソさん達は笑っていた。野営も人数もいることや”暗視”もあったので、最低限にして休息時間を多くとれるように配慮されたのも大きい。


「しっかり、水だけは確保しておけ。浄水がないパーティーは、遠慮なくできるところに頼むんだ。

今晩も今日みたいな場所で過ごせるとは限らんからな。」


食事を片付け、水を確保し、キャンプ地を後にしようとした時だった。

鳥の鳴き声とともに、森の一方から鳥が一斉に飛びたった。

さらには、大猪が2頭ほど現れると、こちらに気づいたのか進路を変えながら、森に突っ込んでいって消えていった。


「何が起きた?」

「えっと、生命反応がひとつ・・・っ・・大きい。」

エリーに状況を確認するが、それよりも早く答えを僕達は知ることになる。


森の高い木々にも迫り、大鬼が子供に見えるほどの巨大な体躯、太い木々を倒しながらゆっくりと力強く動いてくる一つ目の巨人がそこにはいた。

緩慢な動きながら、その大きさから、一歩が大きいため、全速力で走ったであろう大猪よりも早く迫ってくる感じがする。


一つ目巨人(サイクロプス)・・・だと・・。A種災害指定種じゃねぇか」

災害指定種とは、その存在が村や街を壊滅するほどの損害をもたらすことが確認されている魔物で、存在が確認されれば、可能な限り単独で対応せずに速やかにギルドに報告し討伐隊を編成することが義務付けられている魔物である。そのなかでも、A種は危険度が高い魔物だ。


ランクの低いパーティーは、魔物(サイクロプス)をみて、恐怖のあまりその場に座り込んで立てなくなってしまう。エリック達も流石に立ってはいるが、明らかに怯えているのがわかる。そんな状態だった。


「デュルゲルさん、ロッソさん。どうすれば・・・。」

「参ったな。流石に1体とはいえ、あれを相手にやれる気がしねぇ。」

「だが、逃げるにしても無傷というわけにはいかんじゃろ。」

そういうと、後方の動けなくなっているパーティーを親指で指さす。

「でも、まぁやるしかないか。」

「ですね。」


「戦える奴は迎撃態勢を取れ。魔法と遠距離攻撃攻撃が出来るやつは、眼を狙え。

 近接職は攪乱と回避の役目だ。間違っても攻撃を受けようなんざ思うなよ。

 戦えそうにない奴は、とにかく逃げろ。悪いがかまってやれん。」

 ロッソさんが叫ぶ


 僕の背中にも冷たい汗が流れるのを感じた。


”やれやれ。こいつは運が悪いのぅ”

”シャナ?!”

いつもは、こちらから呼びかけないと現れないシャナが、いつの間にか僕の隣にいた。







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