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34.野営

そこは、太陽を隠すように続く高い木々が急になくなり、少し伸びた下草があるだけの開けた空間だった。

しかも、少し拓けたというにしては、かなり広い。おそらく、長いところで100m近くはそのような木々が生えていない空間になっていた。

50人近い僕達が野営するには、木々が絶え間なく続いているよりは良いのだが・・・


「キャンプとしては張りやすい場所だが、問題は・・・」

「なんで、ここだけ拓けちまってるかだな」

キャンプ候補地を見つけて、ほっとした顔の若年層に対して、ベテラン層が渋い顔をして呟いた。

そう、普通の森ならば、こういう場所は狩場だったり、キャンプ地だったりと結構ありがちである。

大抵は、材木を伐採した後であったり、何度も冒険者達が行き来する事で段々と植物が生えてこなくなったりしてできるのだが、ここ樹海ではそれはあり得ない。


「川か池でもあるのか?」

もっとも考えられるのが、それである。

木々にとって水は欠かせないが、一方で常に水に浸かっていては腐ってしまうので、ほとんどの木々は育てない。

「生命反応は?」

「小型の生物反応はあるけれど、魔物らしきものはいないわね。もっとも、こういうところの場合、毒蛇などの場合もおおいから、注意した方が行けれど、流石にその辺の見分けは出来ないわ。」

「まぁ、それは仕方がないな。だが、生命反応がないなら大丈夫か」


「おーい。奥に小さいが池と川があって水が流れている。おそらく湧き水でもあるんじゃないか?」

周りを調査していた中堅の冒険者パーティーが報告してきてくれた。

やはり、水源地のようだ。


「よし、今日はこの辺りでキャンプでどうだ?水の補充もできるしな。

ただ、エリーに見てもらったところ、今は大丈夫そうだが、これだけ拓けてる上に、水があるとなるとここは水飲み場になっている可能性が高い。火を焚いてしっかりと見張りを立てるのが前提になるが、樹海の只中よりもなんかあった場合の対応がとりやすいからな。」

「はい。異論はありません。」

「よし、じゃぁちょっと待ってろよ。ニース。」

ロッソさんは、そういうと自分のパーティーの女性に声をかけた。

ベテランパーティーだけあって、若くはないが綺麗な女性がこくんと頷くと、草場に向かって魔法を唱える。

ビュンっと強い風が吹くと、下草の丈が少し短くなった気がした。

みると、まるで鎌で草刈をたあとのように、スパッと下草が付け根のあたりで切断されていた。

風の鎌(ソニックブーム)だよ。そんなに遠くまでは効いていないが、念のためにな。毒蛇とかに

噛まれちゃつまらんだろ?それに、草はそのまま燃料になる。乾燥していないから煙も凄いんだが、逆にそれが魔物避けになるのさ」

ニースさんと呼ばれた女性は、キャンプのまわりを囲むように次々と風の鎌(ソニックブーム)を放ち、下草を刈っていく。


「もういいわよ。草を集めてきて。あ、完全に蛇とかを駆除できたわけじゃないから気をつけてね。」

なるほど、これは勉強になる。いわゆる学校では教えてくれないことだ。


そんなことをしているうちに、キャンプの準備は整った。

といっても、テントを立てるわけではなく、魔物避けと炊事のための火を起こし寝床を確保するだけなのだが。


「確かに、凄い煙ですね。」

僕は、魔物避けの火を見ながらロッソさんに話しかけた。

「だな。だが、この煙が魔物に山火事と勘違いさせて近づかないようにさせるといわれている。

それより、君がいてくれて助かったよ。水と食料の心配が本来は一番注意を払うことだからね。

ニースが羨ましがってたよ。」

「これだけは、自身があるんですよ。」

「そりゃ、謙遜だな。ただ、あまり見せびらかしすぎるのも良くないぞ。

その封魔紋の容量だけで、軍や商人にとっては垂涎だろうからな。中には、敵国や悪い奴らもいる。十分注意することだ。」

「はい。ありがとうございます。」

「見たところ、君は十分に強いが、その若さもあって、経験がまだ少ないのだろう。いい仲間を持っているようだが、無理だけはするなよ。」


・・・


”アウロス、久しぶりだね”

”ご主人も”

”悪いけど、また見張りを頼む”

”随分と大所帯で”

”うん。心強いけれど、夜はアウロスがいないとやっぱり不安さ”

”期待には、お応えして見せますよ”


食事後、僕はアウロスを召喚すると同時に、エリック達とディルゲルさん、そしてロッソさんを呼んで、暗視の魔法をかける。エリック達は暗視について既に知っているし、この二人は既に色々話して信用しても良いと感じたからだ。実力も申し分ない。


「これは、中々凄いじゃないか。」

「ええ。これも秘密でお願いします。」

「懸命だな。似たようなスキルを持つ奴はいるが、こんなのがお前さんみたいなのが使えると知られたら、闇ギルドのやつらが放っておかねぇだろうからな。」

「でも、ここで使わないと後悔しそうで。できるだけ安全に行きたいですから。」

「まぁ、信頼には答えて見せるさ。なぁロッソ」

「ああ。しかし、君たちには借りっぱなしだな。」

「儂なんか武器まで借りとるわい。」

やはり、二人は頼りうえに、信用できるようだ。

これで、万全だろう。あとは、念のためいくつか魔法薬がつくるか・・・。器具がそろっていないが、ちょっとした物なら、できるだろう。材料もかなり手に入っているし。

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