28.新しい魔法
”シャナ!どうしたらいいと思う?!”
”別にあのようなものなど、アルの敵では無かろうに”
”いやいや・・・確かに毒はなんとかできそうだけど、大鬼だよ?見たでしょあの太い腕。でかい斧。
あんなの当たったら、やばいでしょ?”
”当らなければ、どうということはない”
いや、どこかで聞いたことがあるセリフだけど、そんなの無理でしょ。
”毒を吐く変異種といっても所詮大鬼よ。知能も低いし遠距離での攻撃といっても、あの斧を投げつけてくるか、周りの岩を投げるぐらいしかできまいて”
”いや、それ、十分にやばいですけど。”
”なんじゃ心配性じゃのう。まぁ、仕方がない。では簡単な闇魔法をついでに教えてやるわい。
お主の魔力もなんだかんだであがっておるから、直ぐにでも使えるじゃろう。”
そういうと、シャナは僕にいくつかの術式を転送してくる。
僕には、まるで本を喰った時のようにこの魔法が瞬時に理解できた。
”なるほどね~”
”じゃろう。魔法というのは、難易度や威力よりも使い方が大事じゃ。特に儂の得意とするのは闇魔法はの。”
そういって、得た魔法は、全部で4種類。
1つ目は、”暗黒の雲”
文字通り、真っ黒の雲を発生させる魔法だ。効果は、その範囲内のあらゆる光を遮ること。
主に、目くらましにつかう魔法になる。
面白いのは、遮るのは光だけなので、ランタンを持っている場合、ランタンの炎を消さずに光だけを消すことが出来る。またわずかな光源が必要なスキルの”暗視”も無効化できる優れものだ。
ただし、同じく闇魔法の”暗視”を使えば見えるようになるし、意外と魔法消費効率が良くない。
つまり、広範囲に使いにくいという欠点がある。
2つ目が、”恐怖の眼”
相手を錯乱・恐慌状態にし、正確な判断ができなくするための魔法になる。
精神に作用する魔法のため、知能の高い者のほうが効果がある。
ただし魔術のレベルと相手の精神力によっては、抵抗されることもある。
3つ目が、”闇の法衣”
闇を身体全体に纏い、対物・対魔法の防御力を高める魔法になる。
1枚1枚は薄いが、複数の防御層によって膜が張られるような構造になっており、使用する魔力量によってかなりの防御力を発揮できる。
そして最後が、”捕縛の闇縄”
縄状に編んだ闇を地面から這わせ、相手を捕縛する。
地属性や植物属性の魔法に似た魔法があるが、闇は不定形で強度が強いなど効果が高い反面、魔法効率が悪いのが特徴になる。なお、込める魔力量によっては、そのまま”絞め殺す”ような運用もできる。
闇魔法は、他の属性の類似魔法と比べ、結構強力で使い勝手はいいのだが、いかんせん消費魔法効率が良くないようだ。
”暗黒の雲と捕縛の闇縄だけで、大鬼は何が起こったかを把握できずに、ただの的になるだろう。念のために、闇の法衣もかけておけば、斧があたっても致命傷にはならんじゃろ”
”でも、これ魔力足りるかな?”
”なんじゃ、自分の総魔力量も把握しとらんのか。
この間の精霊を喰ったことで、かなり上がっとるからな。アルは既に数値上は上級魔法使い以上はあるぞ。ただ、もう少しレベルをあげんとうまく使いこなせんじゃろうが。
なので、順番に使って火線を100発撃っても魔力切れを起こしたりはせんじゃろう。”
”そうなの?”
”うむ。どうせなら、少し発現速度が遅くなるかもしれんが、一発の威力をあげてみるのもいいかもしれん。大鬼程度なら、火線でも効くが、もっと強力な相手用の魔法があったほうがいいじゃろ”
”例えば?!”
”竜撃砲は知っとるか?”
”いや・・・・なんかすごい名前だね。”
”うむ。上位の遠距離火属性魔法じゃな。我は使わんが、アルなら相性がよさそうじゃ。
龍種の息吹をイメージしてつくられた魔術じゃ。
もっとも、威力をそれと比較するのは酷というものじゃが。
だが、火球などとは、次元の違う魔法じゃの。威力も消費魔力も。
少々術式が複雑じゃから、少し練習したほうがいいが、これも覚えておくがよい。”
そういって、転送されてきた術式は、とてつもなく複雑で、今の僕では発現に1分近くはかかりそうだった。




