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24.初日終了

「だ‥大丈夫なの?」

起きた僕を見て、皆が一斉に驚く。

「う・・ん。どれぐらい経ちました?」

「10分・・いや15分ぐらいかしら?」

ティアさんが心配そうにしながら答えてくれた。

たしか、マロウと契約した時は、4時間近く意識を失っていたはずだ。

それに比べると、随分短いが、それは成長なのか負荷が少なかったのか。

スキル把握による脳内アナウンスを聞く限りは、かなり能力がアップしたように感じたが。


「とりあえずは、ちょっと服乾かしていいですかね。」

ティアさんが”ウォーターボール”を何度も放ってくれたからだろう。

僕の周りは、ちょっとした水たまりが出来ていた。


僕は、その辺に集まってる手ごろな枝と落ち葉を少し拾って、”発火(テンダー)”の魔法を使う。

簡素化した術式は、生活魔法としても普及した超初歩的な火魔法だ。

ところが、指先から出たのは小さな火花ではなく、頭よりも大きな蒼い炎だった。


「うわ!」

一瞬のことだったが、驚いた。

どうやら加減を間違えたようだ。ああ、そういえば火魔法が一気にレベルアップしていたな・・・。


「えっ?!、何?どうやったの?」

「いや、ちょっと加減を間違えました。」

嘘はついていない。が、ちょっと苦しかったかもしれないな。

同じく火魔法を使えるティアさんは、今の炎の火力がわかったのかちょっとひいている気がする。


今度は、魔力量をさらに絞って、”発火(テンダー)”の魔法を使った。

そうすると、普通と同じように焚き木に火がついた。



「で、何がどうなったのかしら?」


最初に口を開いたのは、エリーさんだった。

とはいえ、僕にもどう説明していいもかわからない。

「そもそも、”あれ”って何だったんだ?

 まさか炎魔人(イフリート)炎悪魔(バルログ)・・・じゃないよな。」

「それって上位の災害指定種だろ?そんなわけないじゃないか。」


災害指定種はその名の通り周囲に甚大な被害を与える魔物たちで、発見時には上級冒険者以外はとにかく逃げることを推奨されている物達だ。代表的なものが龍種だろうか。

国やギルドでは、討伐隊の編成の目安として、災害指定種は細かく分類がされていて、対応法については国家間を超えて連携されている。

それらは、『人類の敵』であって被害があまりにも大きいためだ。

例え、敵対しているアルキラ帝国とヴァルジラ王国であっても、ギルドを通じてほぼ共有されていると言われている。


”当たらずとも、遠からずってところじゃな”

突然、背後から聞き覚えのある声がする。

”シャナ。自分から出てくるなんて珍しいね。”

”なに。さっきの炎の精霊のおかげかの。今までよりも楽に出てきやすくなったんじゃ。”

”ところで、当たらずとも遠からずっていうのは?”

”さっきの炎の精霊な。あれは、成長すれば炎魔人(イフリート)になる。

もっとも、炎魔人(イフリート)といっても、ピンキリじゃがな。名前を持つような我と同格の者もおれば、力だけのとるに足らん奴もおる。”

”へぇ・・・。じゃぁ、今の段階でなんとかなったのは良かったんだ。”

”じゃな。本来、こんなところにおるべき奴ではないのだけは気になるがの。

 そうさな・・一番考えられるのは、マジックアイテムに封印されていたのが解けたとか・・か”

”マジックアイテム?”

”うむ。我もそうであったが、精霊の力をうまく使いたいと研究するのが流行った時期があっての。

 弱い精霊などでも剣やアイテムに封じれば、ほとんどノーコストで、様々な効果を出せる故な。

 それらが、何かのはずみで封印が解けたとなれば、このようなダンジョンの低階層に、あやつのようなものがいてもおかしくはない。”



「おい、アーディル。大丈夫か?」

僕がシャナとの念話をしているのを、意識が朦朧としているとでも捉えたようで、セドリックが心配をしてくれた。

「ああ、大丈夫です。多分ですけど、炎魔人(イフリート)とまではいかなくても、今のは精霊の類だと思います。」

「炎の精霊っていうと、火蜥蜴(サラマンドル)だと思っていたけれど、あんなのもいるのね。」

「多分・・・ですよ。で、問題は、なんであんなのがいたかですが・・・。」


「その前に、あれって倒したでいいのかしら?」

「ええ。これも多分ですが大丈夫かと。核となるようなものを壊しましたから。まぁ、おかげでちょっと情けない姿になりましたが・・・。」

「いや、お前がいなかったら詰んでたさ。

”はぐれ”とは聞いていたが、あんなのだとは思いもしなかったからな。」

「いや・・・その件なんですが、多分情報にあった”はぐれ”は奴じゃないと思います。」

「そうね・・・。情報にあったのは”紫色をしたオーガ種”。まぁ、遠目から見たらさっきのも近いと言えなくはないけれど、流石に、あれを表現するなら、”炎に包まれた”でしょうね・・・。」

「何?そうなのか。まぁ、討伐証明が何もないからむしろありがたいのかもしれんが・・・」

「それは、私がいればなんとかなるわ。一応、ギルド職員でも古株だし。」

ちょっと話が脱線したが、おそらく炎の精霊は”はぐれ”ではないだろう・・・。

というか、あれがそうなら、ギルドの信頼性を疑われる。



「話を戻しますね。多分、あれは何かに封じられていた精霊だと思います。」

古代魔法具(エンシャントアイテム)ね。確かに、過去にそういう事故例はあった気がするわね。」

他の3人は、話についてこれないようだが、エリーさんは何となく察しがついたようだ。

「でも、それを証明する物は?」

「今のところないですね。というわけで、そういう物が落ちていないかも含めて、明日探しましょう。」

「そうね。じゃぁ、階層境まで行ってキャンプね。」


こうして、初めてのダンジョン攻略の初日が終わった。




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